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82話 洞窟のはじまり

 「あらぁ…。へなちょこもちでごめんのぉ…。」


 魔力が足りないので【カイダル】まで行けず洞窟を通ることになったことを、ハクリが謝っている。


 「いゃ!!へなちょこなんかじゃないのぉ!!ワシがそもそも悪いんじゃ…。ごめんのぉ…。」


 「いゃいゃいゃ!!もちがへなちょこだから!!アピちゃんは悪くないっ!」


 「「いゃいゃいゃいゃ!!」」


 へなちょこと言って聞かないハクリと何度もこんなやりとりをしていると、レオグが二人をつまみ上げて洞窟へと歩き出した。


 「おうおう。ひんやりして気持ちいいじゃねぇかっ!!なっ??二人とも。」


 洞窟は、まるで息をしているように、冷たい風が吹いている。ユキツグがランタンに火を付けて先を歩いているのが見える。

 アピスの目には他にも暗い中で見えているものがあった、『氣』だけが見えている。それは顔の表情までわからないものの、背格好や動きなんかはハッキリわかるほどだった。


 「ほぉ!!涼しい〜!!」


 ハクリの声が洞窟の奥へと響いていく。波の音が段々遠くなって聞こえてくる。


 「レオグ〜下ろしてのぉ〜。」


 レオグにつまみ上げられたままだったので下ろしてもらい、ランタンに火を分けて貰いにユキツグへと声をかけた。


 「ユキツグ〜!!」


 「シッ!!…。」


 「!?」


 声をかけた瞬間にユキツグが身構えた。

 ランタンの光は数歩先を照らしているが、なにを感じとったのかわからない。


 後ろを振り返るとハクリはキョトンとしていて、レオグは落ち着いた感じのまま様子を伺っているように見える。


 ピチョン。


 なにか聞こえる。水滴の落ちる音だろうか。


 ペチョン。ペチョペチョン。


 いや、足音だろうか。ぼんやりと見える『氣』は小さく2つ並んでいるように見えるが、なにが歩いているのかハッキリとわからなかった。


 ベチャッ!!


 「ん?こけたのかの?」


 「レオグ殿!!」


 レオグが、身構えているユキツグを追い抜いて倒れた何かに近づいて行くと二人の人影が見えた。


 「人じゃの…。」


 「えっ!!人がいるの!?」


 アピスとハクリもレオグの後を追った。

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