81話 カイダルへ向かって
「【カイダル】までまだ遠いのかの?全然見えぬのじゃが…。もっちーにまた鎧船動かしてもらったらいいんじゃないかの??」
出来れば早めに医者?に見て貰おうかと考えたが、医者で解決するのだろうか。
「ん〜ハクリの魔力を見る限りそれが難しそうだぜ。航路の途中によ?なんでも吸い込んじまう渦潮が出るところがあってよ。そこで魔力が尽きちまったら、みんな海の藻屑よ…。」
ハクリの魔力は増えてきているが、渦潮に捕まると危ないようだ。
徒歩で向かう経路は、海岸沿いを歩いて行き、途中洞窟を抜けて行くのが早いようだ。そしてこの洞窟も少し厄介らしい。
「拙者が【カイダル】にいる時に、洞窟の噂がやたらと流れていたでござる。」
「どんな噂なんじや〜?」
ハクリが起きないままなのでレオグが肩に背負って4人は海岸沿いを歩き出した。
「魚人が出る、水竜がでる、異世界に繋がる入口がある、迷宮がある、などなどでござるな。」
「なんだか噂に噂をくっつけたような噂だなそりゃ!!」
「えー…。そんな洞窟ぬけていくのー??」
「洞窟避けて行くとなると…。一回【アストルム】に戻るようなもんだな…。」
「いゃいゃ〜。冗談…。じゃろう??」
ユキツグもレオグも苦笑いしている。
それもこれも魔法が使えなくなった自分のせいなのだと気がついて視線を落とした。
「おい、アピス。自分のせいだとか思うんじゃねぇぞ??」
「…。」
「ん〜でものぉ…。すまぬのぉ…。本当に行くしかないんじゃよね…。」
「いこうぜ!!魔物は出そうだけどよっ!なんのこたぁねぇ!!オレに任せとけって!!」
レオグがニカッと笑ってそう言った。
しばらく海岸の砂浜をシャクシャクと音を立てて進んでいくと、断崖絶壁が見えてきた。それは、海へと突き出すように尖っていて波を切り裂いている。
あれは、さすがに登って越えるとか出来ないレベルの大きさだ。それにしても洞窟に入るのが嫌な予感がして仕方がない。
「あれかの…??」
まるで巨大な魔物が大きく口を開けているような禍々しい入口が見えてきた。
「おー噂にもなるなこりゃ!!なかなか迫力のある入口だぜ!!」
「ムニャムニャ…。ん??海!!ほぉぉぉ〜!!!レオグん!!」
「おっ?ハクリか、なんだ起きたのか??」
「なになに??アピちゃんだっ!!大丈夫??」
レオグの肩の上でハクリが目を覚ました。あちこちキョロキョロしながら目を丸くしている。
「大丈夫じゃよ!もっちー!!これから洞窟に入ることになったんじゃ!!」
「ほぉ!!洞窟!!えっ!?洞窟が【カイダル】なのっ??」
色々とチグハグになったハクリの理解を説明しながら4人は洞窟の前に立ったのだった。