8話 魔法のランタン
母は、しばらく考えると。答えを出したようだ。
「アピスも学校の卒業試験が近いこともあるし。少し冒険してもいいかもしれないわね。今夜だけ特別よ?」
普段は夜間に森へ入ることは禁止されているのでアピスは単純に嬉しかった。母が、森へ向かう為の道具を持って来てはテーブルへ乗せている。
「ほぉ…。アピちゃん。もう暗いし明日、明るくなったらもち1人で探しにゆくから。」
「いやじゃ!ワシは行きたい!!」
「ほぉ…。ならばっ!もちもゆくー!!」
テーブルの上に用意された物は、ランタンのような物が2つ、印の入った木の棒が2本だった。
「このランタンは、魔法道具でね。中に火属性か光属性、まぁ灯りになる魔法を入れるのよ。」
「ほぉ!!魔法!!えっ!!アピちゃん達は魔法使いなの??」
「そうじゃ、魔法使いじゃ…一応…」
母は、光属性でランタンの中に魔法玉を入れてくれた。魔法玉はランタンの中でフワフワと浮いて光っている。火属性でも機能するが、光属性の方が3倍は明るいのだそうだ。
「これでよしっと。卒業試験の練習になるかもしれないからね?でも無理しちゃだめよ?木の棒は、なにか緊急事態になったら割るのよ?わかってるわね?」
印の入った木の棒は、手のひらに納まる小さな物で、片方が割られると対となる木の棒も割れるようになっている。魔法でわなく、呪術により呪文がかけられていて、村長が少し使えると噂で聞いたことがある。前にもアピスが初めて森へ入った時に持たされた記憶が今でも残っている。
「わかったじゃ。」
アピスとハクリは、それぞれランタンを持つ。
「ハクリちゃんもランタン以外になにか〜…」
と、母がなにか考えている。
「もち。大丈夫!へなちょこだけどのぉ!はっはっは!」
笑い?ながら玄関の方へ歩いてゆく。
「もちー!こっちじゃ!こっちー!」
とアピスがハクリ(もち)の腕を掴み、「ほぉ!」と言いながら庭へと出るのだった。