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78話 変化

 「おひっ。アヒス、ハクイ、めひにするほ。」


 振り返るとほっぺがやたらと腫れているレオグが、船室から呼んでくれた。


 「ほぉっ!!レオグほっぺが膨らんで真っ赤だ!!」


 「えー!!そんなに効いたの…??」


 「効いたなんてもんじゃねへー!!歯が折れてふかと思うくらひだったぞ!!」


 「す…。すまぬ…。」


 でもおかしい。『氣』を使った覚えもないし、レオグの強さならそこまで効きそうにないのに。

船室に入りながらレオグの具合を気にしてみた。


 「レオグ?…。『氣』入れたつもりは無かったんじゃけど…。入っておったのかの??」


 「ん??そういや…。『氣』の感じはなかったな…。不意打ちすぎてよく分からんが…。おへは常に『氣』を使ってるから…。ん〜…。アヒスはもう、おへより強いかもなっ!!ガハハっ!イテ!」


 「イヤイヤイヤイヤ!!…。」


 本気なのか冗談なのか分からないが、『氣』を使ったレオグにこんなに痛手を負わせたのが信じられなかった。


 「『氣』を使ってなかったらどうなってたんじゃ…??」


 「…。死んでた…かもなっ!!」


 「えええええっ!!本当にごめんのぉ…。気をつけるのぉ…。」


 「いいってことよ!!それだけ強くなったのは、おへも嬉しいからなっ!!めひにしよう!」


 なにか腑に落ちないまま船室の休憩室で食事をとることになった。ユキツグも元気になっていて安心した。


 「ひっかひ、くいずれぇ…。そういやユキツグは船に慣れてると言ってたけど…。大丈夫か??」


 「かたじけない…。あそこまで上下左右に揺れる船には、耐えきることができなかった…。不覚…。」


 「ユキツグー!!もちにカタナ教えてー!!」


 「あっ!もっちーずるいー!!ワシにも教えて欲しいじゃー!!」


 「恥ずかしいところをお見せした礼だ。拙者で良ければ稽古を致そう。」


 「ほぉ!!やったの!!アピちゃん!」


 「やったのぉ!!」


 ユキツグにカタナの稽古をお願いしたところで、今後の行き先を確認し合った。


 港町の【カイダル】を目指し、そこから【ワ国】へと向かう。【カイダル】へは、この川を下ってから海をこの鎧船で行けば今日の内に着くらしい。海は村の魔法学校で絵や本を見たことがあるだけで実際に見たことがないのでワクワクした。海の水は本当にしょっぱいのだろうか??


 「ってことでな。海へ出たらアヒスの魔力次第で【カイダル】に着く予定だ!!」


 「なるほどのぉ…。わかったじゃ!!」


 食事を済ませると、早速ユキツグにカタナを教えて貰うことにした。獅子の鍛冶屋で見せた斬撃は『居合い』と言うもので、『抜刀術』の一種だと言うのだが、アピスとハクリは初めて聞く言葉についていけなかった。


 ユキツグの説明が終わると実際にやって見ることになり、ハクリはユキツグの太刀を借りて。アピスは脇差で練習することになった。


 「良いか?刀と鞘に『氣』を込めるのだ。2つの『氣』が反発する力を使って『居合い』とするのだ。」


 「ほぉ!!反発!!やってみるのぉ!!」


 「うむっ!!ん…。んんん…。あえ??」


 アピスは、『氣』が使えないことに気がついた。何度試しても身体、お腹にさえ『氣』を感じない。


 ハクリは、太刀を使って『居合い』の感覚がなんとなく分かってきたようだった。


 「ハクリ殿は、筋が良いな。綺麗な抜刀だ。『居合い』は『氣』を瞬発的に強く込めることで辿り着くものなのだ。だがその分刀と鞘への『氣』のバランスが難しいのだ。だがハクリ殿ならすぐに使い物にしそうだ。…。アピス殿はいかが致した?」


 「んっ!!いやぁ…なんか調子が悪い…。見たいでの…。」


 ハクリの抜刀を見ながらまたもや自分に起こっている変化に戸惑っていた。ハクリの『氣』の流れがハッキリと見えている。今まで肌で感じる温かいものという認識がハッキリと視覚化したのであった。


 「んっ!!やっぱ駄目じゃ…。『氣』使えぬ…。」


 「ほぉ!!!えっ!?アピちゃん大丈夫??」


 「なんと…。拙者またもや力不足…。無念…。」


 「いやいやっ!!ユキツグは悪くないのぉ!!あとでレオグにも相談してみるのぉ!」


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