76話 赤い光の中
「はじまったみてぇ〜だ!!ここを開けば見えるんじゃねぇ〜か??」
レオグが操縦室の天井を掴んでずらすと、窓が出てきた。天井が開かれると同時に赤い光が操縦室を段々と照らしていく。アピス達は振り返るようにして空を見た。
そこには、赤い光を遮るように両翼を広げたドラゴンが魔法都市へ向けて咆哮を放っている。赤い光の根源は尚も大きく膨れていく。
「あっあれが…。大魔法かの!?」
「おうよっ!」
見たこともないような大きさの火属性の槍が、魔法学院のてっぺんに光輝いている。それがドラゴンへと切っ先を向けて大きくなっていく。
赤い光はどんどん強くなる一方で時折紫の光も混ざっている。まだドラゴンの攻撃は止んでいないようだ。あの大魔法がドラゴンには見えないのだろうかとアピスは思った。それともドラゴンにとってなんでもない魔法なのか?と考えていた直後にドラゴンが大魔法によって貫かれた。
「んおおおおぉぉ!?」
ドラゴンは凄まじい咆哮をあげながら、大魔法を抱きかかえるようにして真っ直ぐにこちらへとふっ飛ばされてくる。
「なっ!なっ!!」
「おいおいおいおいっ!!しゃれにならねーぞっ!!」
「…。」
「ほぉ!こっちにくるのぉ!」
ユキツグは、先程腹の中の物を吐き尽くしてぐったりしているようだ。そんなことよりも、ドラゴンがこちらへ吹き飛ばされてくる。アピスは混乱する中、必死で杖を握り魔力を込めた。
「ぐぬぁぁっ!!…。って川がないっ!?」
赤い光に照らされた川が途中で無くなっている。その先には綺麗な星空が広がっていた。
「なになになになに!?」
「アピス!!ハクリ!!踏ん張れっ!!」
「ほぉっ!!むむむむむむむ!!!」
「ぎゃぁぁぁあ!!」
勢いよく川の切れ目から飛び出すと、船の真上をかすめるようにドラゴンが飛んでいく。まるでスローモーションのように見えて、アピスはなんとなくドラゴンと目があった様な気がしたのだが、そんなことよりも船はそのまま落下していく。
「また落ちるのかのぉぉぉおおお!!??」
「ほおおおおっ!!」
そこは大きな滝で、なんでも天気の良い日中は常に虹がかかって綺麗なんだとか。そんな話をレオグから後で聞かされた。




