74話 船
ドラゴンの攻撃が続いているのだろう、ガタガタギシギシと時折嫌な音を立てて揺れているような感覚がする。
アピスはいつの間にかハクリの手を握っていた。
「ほぉ…。大丈夫アピちゃん。」
しばらくすると昇降機が止まった、レオグが扉を開けるとランタンがポツポツと光始め通路を照らした。そこに段々と見えてくるのはアピスが想像していなかった船だった。
「レオグ…。でっかい鎧見たいな船じゃの…。」
「ガハハ!!おうよ!なにせオレも少し関わったからな!雨風やら岩に少しくらいぶつかったって壊れないぜ??凄いだろ?まんまだけど『鎧船』って言うんだぜ?」
何隻もの船が吊るされているが、全て鎧で出来ているかのような船だったのだ。これにはユキツグも驚いていたようで、細い目が丸々と開いていた。
ハクリは鎧船の近くへ行くとなにかを確かめるようにコンコンと叩いてみたりしている。
「レオグー!これって浮くの??沈んじゃいそ〜!」
「大丈夫だ!ちゃんと浮く!!」
「ほぉ!なんだか不思議だ!」
確かに、鎧で出来ているなら重そうだし沈んでしまいそうなものなのだがちゃんと浮くのだという。レオグは得意気な様子で船を選び、決まったようだ。
「あったあった!コイツだ!」
バシバシと船を叩きながらニコニコしている。
レオグの決めた船は長さが20メートルくらいで立派なものだった。船の先端には獅子を模した装飾が着いていた。
「獅子がついておる…。レオグが作ったの??」
「おうよ!まぁ一番関わった部分が多くてな!愛着があってよ!オレが作ったって言うには、ちと大袈裟かもな…。ガハハ!それっ!乗った乗った!」
レオグに急かされてハシゴを登り吊るされた鎧船へと乗り込むとそこには、まるで大きい卵を伸ばして半分にしたような流線型の物が乗っかっていた。
「ほぉ…。」
「拙者、驚きすぎて腰が抜けそうだ…。」
「ガハハ!さーその卵見てーな中に皆入ってくれや!!その中に部屋と操縦室があるからよ!」
「部屋まであるのかえ…。」
「あとな!アピス!この船の操縦を頼むぞ?」
「ふむ…。えっ!?えーー???」