71話 ドラゴン襲来
2人が雨の中かたまっていると名前を呼ばれて我にかえる。
「…。んあ!!レオグだ!」
「…。ドラゴン…。パパ!?」
「おーい!!2人とも!!ヤベーことになった!ありゃドラゴンだ!早く学院に行くぞ!!」
空ばかりに気を取られていたが、街の住民は家に籠もっているようで、旅人や冒険者のような人達が武器を持って広場にズラズラと出て来ていた。
「学院??学院になんで行くんじゃ?」
「避難だ!都市にはちょっとした仕組みが隠されているんだが、俺の家には無いんだ。」
レオグ、ダーテにユキツグも荷物を抱えて2人の元に来ていた。そのまま雨の中を歩きはじめる。
「パパも避難するの??あっ!竜石を隠すの??」
「あぁ…。竜石を再封印してもらう。戦争する前にやられちまったら勝つも負けるもないからな…。」
雨は止むことなく、雷とドラゴンの咆哮が響く中、学院へと進んで行く。旅人達や冒険者は都市の出口へと向かっているようだ。歩き方で逃げ出そうとしている者や、戦ってやろうと奮起している者もいるように見える。
「みんな大丈夫なのかの??」
「ん〜まぁ。アイツの目的は竜石だしな。なにもダーテの持ってる竜石だけって訳でもねーんだ。」
「…。ほぉ!まだ竜石ってあるの??」
「あぁ…。過去に倒したドラゴンの竜石がいくつかある。これを譲り受けた時に封印のバランスが崩れたのかもしれない。」
ダーテが苦い顔をしている。アピスには、あのドラゴンを倒す方法など想像もつかなかった、なにせ雷に負けない鳴き声の生き物なのだ、倒せる人がいる方が恐ろしいとさえ思った。
学院に着くとレオグが大きいバックからタオルをくれた。学院の中は学生達がドタバタしていて凄いことになっていた。時々罵声すら聞こえる。
「ハクリ、私は学院長のところへ行ってくる。アピスやレオグを守ってお役にたちなさい。」
「パパ!!もち。立派になるから!また会えるよね!?」
「あぁ。もちろんだとも!」
ダーテは今まで見せたことのない優しい笑顔でそう言うと、学院の階段を登っていった。途中なにやら眼鏡をかけた人と合流したようだ、あれが偉そうな人?だろうか。しかし学生達の数が凄い。
「うわぁ…。なにがなんだか…。どうするんじゃ?レオグ。」
「ん〜。俺にゃ魔力はないし、仕掛けの役には立ちそうもねーしなぁ…。」
「仕掛けってなんなんじゃ?」
「大魔法だよ。」