7話 少女ハクリ
「もちのこと?」
「「・・・」」 「もちって名前なの??」
「いぁっ!もちはハクリというっ!」
「「???」」
「ってゆーか…ここわどこなのー!!??」
「ワシはアピスというじゃ、んでワシの母じゃ〜!ここはワシの家じゃよ〜えっと…ハクリ?は森の中で倒れておったんじゃよ??」
「ほぉぉ…もちのことは、もちでよいぞ!!」
「「???」」
「じゃ、じゃ〜もちよ、どうして森で倒れたのか覚えておるの??」
ハクリ(もち)は、髪の毛をモシャモシャしながら考えはじめたが、母が割り込んできた。
「まぁ、話はあとにして!お腹空いてるでしょ??一緒に食べましょうよっ!ね?」
「ほぉぉ!!よいのぉ??もちなんかこんなボロボロ……。ほぉぉぉ!!!綺麗になっている〜!アピちゃんがやってくれたの??」
「母が綺麗にしてくれたじゃよ?」
「アピママさんっ!!ありがとー!!」
「いいから!いいから!食べましょ〜?」
ハクリ(もち)との言葉のキャッチボールが止まることない中、ピピオカ団子に終始モチモチ〜!!とアピスとハクリ(もち)の掛け声にも似た声が響く中、夕食は賑やかなものになった。
ハクリ(もち)は、どうやら3つほど山を越えた町【カルーナ】から来たのだという。道中団体で動いていたはずが、気がついたら1人になっていて、今に至るらしい。
母は、その町【カルーナ】に行ったことがあるらしく、3つ山を越えるのに大体10日はかかるようだった。母はハクリ(もち)に質問をした。
「ハクリちゃんは、団体って言っていたけど、なんの団体なの??」
「えっと〜剣士の寄せ集めだの!!もちは、へなちょこ剣士なのだ!!」
「その剣士の人達は、どこへ向かっていたの?」
「えーーーっと…えーーと……。」
思い出せないようだ。母が考えるに、その町【カルーナ】には、冒険者ギルドというものがあり。剣士が集まってどこかへ向かうということ、ハクリの言う「寄せ集め」に、なにか引っ掛かるようだった。
「やっぱり変ね〜、ハクリちゃんギルド証ないみたいだし…」
ギルド証は、ネックレスが一般的のようで、ハクリはネックレスなどしていなかった。
「もちの父や母は、カルーナにおるのか??」
「もちのママさんはいなけど…パパはいたよ!!」
「いた??」
「うんっ、もちのパパさんのぉ…鍛冶屋なのだけど、武器とか防具がスッカラカンになって。偉い人?に連れられて、もちを置いてどこかにいっちゃって…」
ハクリは、父親が偉い人?に連れて行かれたのを探すつもりで、町で剣士の募集をかけていることを知りナマクラの剣と盾を持って、父を探そうとしていたようだった。
「もち、もちのパパさん探したい。あっ!もちの剣と盾はどこに??」
「あれのぉ!倒れているの運ぶ時に重たかったから置いてきたじゃ。」
ハクリの父が作りかけた剣と盾のようで、ハクリにとっては宝物になるだろうな…とアピスは少し申し訳ない気持ちになった。
「夕食も食べたし!暗いけど取りにいくかの!!」
「えっ!よいの??」
「母、よいだろう???」
アピスの母は、ため息をつきながら頬杖をつき考え込むのであった。