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67話 『魔氣』

 ハクリを背中に背負って部屋をあとにする。魔力には余裕があるが、『氣』を使いすぎたのだろうか、結構フラフラして大剣まで持つ余裕はなかった。


 「もちもちもち??」

 「くか〜。ぐ〜。…」


 ハクリは起きる様子はなく、案内の人に大剣2本も鉱石と一緒に運んで欲しいと頼んでみるとすんなりと了承してくれた。


 「帰る…よ〜?もっち〜?」


 フラフラしながら昇降機へ向かって行くので、また注目を浴びてしまった。学院の生徒達は水属性の魔法を使って倒せるとはいえ。どうやって倒すのか疑問しか浮かばない。


 やっとのことで【獅子の鍛冶屋】まで戻ると、レオグが元気に迎えてくれたが、2人の様子をみると心配してくれた。


 「話しは後でいいから、今日はもう休めや。お疲れ様だ。」


 「うん…。すまぬの〜。」


 アピスは、ハクリを寝間着に着替えさせて自分も着替えようと思ったのだが、そのままハクリと一緒に眠ってしまった。


 目が覚めると、ハクリはそこにいなくレオグと話している声が聞こえた。目をこすりながら、レオグの部屋に入るとハクリが抱きついてきた。


 「ほぉ!アピちゃん!!起きたのだのー!」


 「おう!お疲れさん!ハクリと話していたんだが、結局どうやって倒したんだ?」


 「そー!もちも聞きたい!!」


 「えっとじゃの…。殴った。」


 大剣に『氣』を込めてみたが、上手くいかなかったことや、『氣』と『魔法』を一緒に使えないか一か八か試したことなどを話した。どうやらレオグも初めて聞くようで、目を丸くしていた。


 「同時にってのは初めて聞いたぞ?もちろん『氣』と『魔法』両方使える奴には会ったことがあるけどよ?だいたいどちらかを使い分ける。近距離は『氣』、遠距離や絡め手なんかで『魔法』ってな具合でよ?」


 「だってワシ魔法飛ばせないし、『氣』も弱いから。それしか思いつかなかったじゃ。それに剣に魔法を纏わせても弱くなるだけじゃし…。」


 「おう…。確かに…。でもよく素手でやろうなんて思ったよな!がはは!」


 「ほれ、もっちーの剣の師匠が(えだ)で相手をしてくれたって話してたじゃろ?」


 「ほぉ!たしかに!あれ?もち風の鎧やったら『氣』使えなかったのぉ…。」


 「多分なのじゃけど、『魔法』で体全体を覆ったからかなぁって考えたじゃ。『魔法』を『氣』で包むような…押し出すような…イメージでやってみたら上手くいったんじゃ!」


 「なるほどな…。んっ?待てよ?そしたらもうアピスにゃ武器いらなくなっちまうな!!」


 「えー!!武器なしは…。なんか嫌じゃの…。」


 「アピちゃん!!アピちゃん!!もちにも出来る??『魔氣』!!」


 「マキ??薪ならワシ割ったことあるよ?」


 「いあっ!魔法と氣で『魔氣』!!」


 「おっ!いいじゃねーか!洒落ててよ!」


 「ぬえー!?そ、そうかの??あっ!もっちーは、魔力が少ないからちゃんと魔力が増えたらの!!もうゴーレムの前で、寝ちゃうとかごめんじゃ…。危なすぎるじゃ…。」


 「でへへ〜。」


 レオグが結局ハクリに『氣』をもっと磨いたほうがいいんじゃないのかと釘を打たれて凹んでいた。

 そんなハクリを見ながら、ハクリがいなかったら、ハクリと出会わなかったら。『氣』に触れることも【獅子の鍛冶屋】にいることもなかっただろうと思い返すのだった。


 「もっちー、ありがとうの!」


 「えっ!!なんで!!えっ!!もち。寝ちゃってたのに!なんで??もちの方がありがとうだよっ!!」



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