65話 50号ゴーレム
扉の前に立つと不安がつのるばかりで、ハクリと作戦を考えようとした。
「もっちー。作戦考えたいんじゃが。」
「ほぉ!なになに!」
「コアが出るまでワシらじゃ多分倒すことできないじゃろ?」
「う〜ん。たしかに!ハンマーならドカーンでやれたけど、今度は大剣だものね!ピンポイントで狙わないとかの??」
「うむ。それに『氣』をちゃんと溜めて斬らないと…。」
「溜める時間はありそう!ゴーレムんノロノロだから。」
「あとは武器に『氣』をのせれるかじゃの。」
結局作戦という作戦はあまり思いつかなかった。とにかく斬ることに集中しようという結論だけで挑むことになり、2人は扉をあけた。中は80号の部屋と変わらないドーム型だった。
「また地面から盛り上がってくるのかの??」
しばらくすると、上からガリガリと音が聞こえてくる。
「ほぉ…。アピちゃん…。上でガリガリいってる…。」
そして80号よりも鋼の色の濃い塊が上から降ってきた。凄い音と風が部屋に響き、目と耳を塞ぐ。2人が目を開くと、レオグの言っていた例のゴーレムがそこにいた。
「げっ…。玉じゃ…。」
「やっぱ大きいのぉ!!アピちゃん!レアだよ!レアゴーレムん!」
玉のゴーレムはゴツゴツした岩の塊で人型ではなかった。大きさは80号の最初の大きさくらいだ。そして音を立てながら、ゆっくりと2人を目指して転がりだす。
「んがぁぁあ!!もう!!とりあえず溜めるじゃ!」
「ほぉ!!やるぞ〜!!」
2人は『氣』を溜める、2人で一緒に斬りかかれば心強い。アピスとハクリは目配せをすると、同時に走りだした。
「んぉおおおりゃぁぁ!!」
「ほぉぉぉああ!!」
ガキィィィン!!
2人の大剣は、刃の傷跡がつけられたものの弾かれてしまった。とても斬るには程遠い。
「うぅ…。手が痺れるのぉ…。」
「ビリビリするの…。」
ゴーレムは斬られた反動で止まっていたが、また転がりだす。
「んが…。どうしよう…。」
「もち。大剣の腹で叩いてみる!!ほぉ…。」
ハクリは、そう言うとまた『氣』を溜めて構える。
「もっちー!シナラセルイメージじゃ!しならせて!」
「ほぉ…。」
これで通じるかわからないが、ハクリの『氣』の強さにかけるしかないと思った。
「ほぉぉぉああ!!」
ハクリは、強く踏み込んで大剣の腹で思いっきり叩いた。ハクリが大剣に振り回されるようにして、大剣の腹がゴーレムにめり込むと、ボゴッと凄まじい音がしてゴーレムが壁へ向かって転がっていった。
「デヘヘ〜やっぱ叩くだけになっちゃうの…。」
「な、なんじゃ!もっちー!ゴーレム曲がってくる!」
転がって行ったゴーレムは、壁へと向かわず勢いをそのままにぐるっと回って2人に向かってきたのだ。
「ぎゃー!!もっちー走ってー!」
「ほぉ!!素早い!」
2人は、ゴロゴロと転がって来るゴーレムに追いかけられる形となってしまった。このままでは体力がいずれなくなって潰されてしまう。
「ほぉ!!アピちゃん!もち。風の鎧やる!!」
「えっ!!もっちー!待って待って待って!」
アピスが止めたが遅かった。ハクリが風の鎧を作り出した瞬間、ハクリは大剣を持っていられなくなり地面に突き刺さった。
「ほぉ!!大剣おもっ!!あ〜〜〜!!」
ハクリの大剣は地面へと刺さる、それにゴーレムがつっかかり跳ねた。ドスンと着地すると、変わらぬ勢いおいで2人を追いかけてくる。
「ほぉぉ!!疾走ーー!!」
「もっちー!!止めるじゃー!!」
ハクリは、風の鎧のおかげで足が早くなったのだけれど使いすぎると魔力がすぐに切れてしまう。それに早く走ってもなんの解決になるだろうか。
「もち、大剣とって迎え撃つのー!!」
それまで魔力が持てばいいのだけれど。ハクリは、あっという間に刺さった大剣のところへと辿り着いた。アピスは走りながらその様子を見て安心したのだが、どうやら刺さった大剣が抜けないようだ。ゴーレムがつっかかた時に深く刺さってしまったようだ。
「んぐ〜!!んんん!!!」
「もっちー!はやくー!!」
アピスは考える、『氣』を使いながら『魔法』を使おうとするのが、そもそも出来るのか試すべきだった。少なくともハクリは、体に『魔法』を纏わせることで『氣』は薄れてしまい、同時に使うことは出来なかった。
あれこれ考えているうちに、ハクリの元へと追いついてしまった。
「ぎゃー!!もっちー!走って!!」
「アピちゃ…。なんだかもち…。ねむ…。」
「ぎゃー!!寝るなぁぁぁあ!!んがー!!」
ハクリは、大剣から手を離し少し走ろうとして丸まってしまった。
「なぁぁあ!!一か八かじゃぁぁあ!!」




