63話 モコモコパジャマ
アピスは、パジャマ姿で店の武器を眺めている。ハクリもとなりでその様子を見ていた。
「ふぬ〜…。うぬ〜…。なーににしよ…。」
「ほぉ…。ほぉ…。ほぉ〜…。」
ハンマー以外にあの硬いゴーレム、しかも今度は50号でさらに硬い敵になにがいいのか思案している。槍、鎌、剣、大剣、レイピア、メイス、杖、棍棒、モーニングスターなどなど沢山ある。
「もっちー。今度のゴーレム倒す武器どうするじゃ〜?」
「ん〜。もちも悩んでいるのだ。ハンマーだから砕けたのに…。剣で斬れるのかな??」
「斬れる気がしないけども…。『ユキツグ』さんにちょびっと教えて貰えばよかったのぉ…。」
「ほぉ!たしかに!あの盾真っ二つだもんの!!」
店内でモコモコが2つひょこひょこしていた。結局決めることができず、部屋に戻ることにした。ハクリは魔法で遊んびはじめたのだが、どうやら風属性の魔法が気に入っているようだ。他の属性魔法も教えたのだが、練習するのはいつも風属性だった。
「ほぉ…。ほぉ。ビュンビュンー♪」
「もっちー風属性の魔法ならもう使えるの〜!」
「アピちゃんのおかげだのー!!ビュンビュンー!!これ足から出したらどうなるかのー?」
「あー…。もっちーと初めて会った日のお風呂でそんなこと言ってたの!!どうなるんじゃろ。集まった風が〜、ボワッとなって…。」
「ほぉぉぉおおお!!アピちゃん見て見て!!ちょっと浮いてる!!」
「んが!?」
ハクリの足元で風が渦巻いてほんの少しだが浮いている。
「ほぉぉぉおおお!!ほぉ…。動けない。はっはっは!!」
「…。ぶふっあははは!でも凄いのぉ!!」
「デヘヘ。足から出すと浮く!!はっはっは!」
「はっ!!もっちー。魔法玉を足で作ると飛ぶんじゃないかの??」
「ほぉ!」
アピスが風属性の魔法玉を盗賊にぶつけた時のことを思いだした。ぶつけられた男は吹っ飛んでいったので、同じように飛べるんじゃないかという発想だ。
「ほぉ…。ほぉぉぉっ!?」ゴツン ドテ
「もっちー!!」
ハクリは、高く飛んだが天井に頭をぶつけて落っこちた。
「イテテ…。飛んだの〜…。イテテ…。」
「これは便利そう!!えっ!えっ!!もっちー。鎧とかイメージできる??」
「ほぉ…。鎧…。風の鎧…。」
ハクリの体を風が渦巻いていく、維持系の魔法は魔力の消費が激しいのだが、足から出して浮くなら、鎧にしたらなにか効果がある気がしたのだ。そしてそれは的中した。
「ほぉ!!軽い!!体が軽く感じる!!早く動けそー!!」
「んおーー!!ジャンプとかどうじゃ??」
ハクリは、ジャンプしてみると立っているアピスの頭を越えた。維持するのに大変かもだけど、これはだいぶ使えそうだ。
「ほぉぉぉ………。ねむっ…。ねっ…。」
「ありゃ…。」
ハクリは何回かぴょんぴょんすると、魔力が尽きたのか、その場で丸まってしまった。
「もっちーの魔力はまだそんな無さそうじゃの…。よいっしょ…。」
ハクリをベッドへ運ぶと、アピスも風の鎧だけ少し練習してみた。初めて試みたけれどハクリと同じくらい上手くいって、何故か安心した。
「あとは…。武器どうしようかの…。おやすみ…。もっちー。」
「ほぉ………。くかー。」