60話 不思議な、お客。
80号の扉を出て案内の人へと会釈して出ていく。アピスはだいぶ『氣』の扱いになれて、ハンマーも難なく持てるようになった。
「もっちーよくゴーレムの頭当てられたのぉ!」
「だろう?もちも。ビックリしている!でもアピちゃん、最後のハンマー凄かったの!!」
「なんか『氣』がの?ハンマーだけに全部乗っかったじゃ…。」
「ほぉ!凄いのぉ!!そんなことも出来るんだのぉ!」
2人は、昼食を取るために昇降機の方へと歩いていく。そこで聞いたことのある声を耳にした。
「ぉおんっ!待っておくれぇ!!リアちゃんヌっ!!1号ゴーレムに挑むのはまだハヤァイよっ!!」
「ふんっ!煩い!ついてこないで!変態教師!1号ゴーレムの鉱石で作った剣とコアなら魔法が使えるかもって言ったのは貴方でしょ!?…。んっ!このっ!!離しなさいっ!!」
「離しはしないよっ!リアちゃんヌっ!!あっ!あぁっ!!痛いっ!!もっと!!もっと!!」
「…。もっちー。早くいこうじゃ。」
「ほぉ…。仲良しさんだのぉ…。」
2人がシャギとリアの2人をスルーしようと昇降機に向き直ったところへ、セレンが立っていた。
「アピにゃん!!もち!!久しぶりにゃー!!」
「「せれにゃーっ!!」」
「2人ともメイドでハンマーって…。ゴーレム倒しにきたのかにゃ??」
「そうじゃ!せれにゃーも??」
「ワタシもこれからにゃ!!にゃ…!く…くるにゃっ!!」
「ほぉぉ!!よいでわないか〜!再開のぉ〜!!」
「シャーっ!!またにゃ〜!アピにゃん!!今度一緒にゴーレムしようにゃ〜!!」
「ほぉ…。行っちゃったの…。」
セレンはハクリの抱擁を避け離れていった、どうやらシャギとリアに合流したようだった。また、大変そうなメンバーに合流したのを見て心配になるアピスだった。
昇降機は2台あって登り専用と下り専用になっていた。2人はハンマーを担いで登りの昇降機を待っていたのだが、降りてくる魔法使い達にジロジロ見られて恥ずかしかった。
「もっちー、あれから手紙こないのぉ…。」
「こないのぉ…。アピちゃんにもきてないよね…。」
「うむ〜。父の情報もないし困ったのぉ…。」
あれから11日、アピスの母親からの手紙も、ハクリの父親からの手紙もなく、ムーケのところへ出した手紙がちゃんと届いたのか確認しに行ったこともあった。
昇降機で登って行く途中で、なにか別のことをした方がいいのか考えていたのだが、東の王都では戦争があるらしいし、西か南に行くしか手がないのだけれど、ハクリの父親のことを考えると今のままが1番いいように思えた。
受付で、ネックレスを返すと【獅子の鍛冶屋】へと帰って来た。
「ただいま…じゃ…。」
「レオグー!!かえ…ったよ??ん??」
店の中で、不思議な剣を見せている客がいた。服装もなにか変わった服装だ。袖が腰元まで長い。
「おっ2人共!おかえりさん!ゴーレムの話は後で聞かせてくれや。このお客さんにお茶出してやってくれー!」
「かたじけない…。」
2人は顔を見合わせて、お茶の用意を急ぐのだった。