54話 強くなりたい
「ワシ、村が…。母が…。もっちーやセレニャが危ないときに、もっともっとチカラになりたいじゃ…。強くなりたいじゃ…。」
レオグの質問に対しての答えは、誰かのチカラになりたい。という単純な答えで落ち着いた。
「あんまり頑張りすぎると動けなくなるぞー?やるならバケツなしでやれや。」
アピスはまた『氣』の構えをとりはじめた。お腹の辺りでなにか安定する感じがする。バケツのおかげだろうか?
「よーしっ!工房の方は一段落ついたぜ!ありがとうなアピス。構えのやり過ぎも体によくねーからちょっと散歩がてら甘いもんでも探して買って来てくれや。ハクリが戻ったら茶会でもしようや。」
「ぷー!レオグ甘いものとか食べなそーなのに!!」
「がはは!そうかもな!!任せたぜ?」
アピスは、まだプルプルが止まらないが午前中ほどではなかったので店を出て甘い物探しを初めることにした。
『そう言えば、集めた薬草とかあったのぉ…。ブドウジュースは流石にもう駄目じゃろなぁ…。』
変な歩き方になってしまっていて、すれ違う人に笑われて顔から火がでそうだったので、近場のピピオカ団子店で小さいサイズのものをいくつか買って戻ることにした。
「にゃ?アピにゃん?」
「せれにゃー!?見違えたじゃー!制服がよく似合っているのぉ!」
「にゃは〜!ありがとうにゃー!」
無事試験に受かってよかった。学院で別れた後のことを話したり、母からの手紙でユミールに残った皆が無事なことを話すとセレンも安堵したようにため息をついた。セレンは学院での授業を話してくれたりと会話が途切れることがなかったが、ふとお遣い中なのを思い出した。
「あっ!!ワシお遣い中だったじゃ!」
「ワタシもそろそろ戻るかにゃ〜。アピにゃん!逆にワタシからお願いすることがあるかもしれにゃい。」
「んえ?」
「魔法学院ギルドのクエストのパーティは学院外の人でも良いんだって。モチとアピにゃんとは一緒にここまで来たし、戦っても来たから安心できるにゃ。」
「ほえ…。わかったじゃ!戻ったらレオグやもっちーに話てみるのぉ!」
そう言って2人は手を振り別れた。【獅子の鍛冶屋】に戻ると、ハクリが先に帰って来ていた。
「ほぉ!アピちゃーん!おかえりー!」
「もっちーこそ!おかえりー!」
「アピちゃん!見て見て!これとーこれ!!」
ハクリはモコモコして肌触りのいい寝間着と、なにやら可愛い服を2着広げでみせた。
「おっアピスおかえりさん!ん??がはは!ハクリなんでメイド服なんか買ってきたんだよ?」
「えっ!!お茶屋さんの人達が似たような格好で働いてて…。仕事する制服かと思ったのぉ!」
「かわよい…。かわよいじゃ…。」
「あーなるほどな…。まぁ良いだろ!じょおちゃん達、明日からそれ着て仕事してくれや!面白そうだしよ!なんならここで茶でも出すか?」
「んお!薬草茶作るかの!もっちーのバッグに薬草あるしー!」
「ほぉぉぉ!!お茶屋さんー!!」
「まぁ甘いもん食べて休憩しようや!」
3人は、団子を食べてハクリの見つけた店の話や裁縫屋と果物屋の話など聞かせてくれた、アピスはセレンと会ったことを話して、魔法学院ギルドの仕事を手伝うかもしれないことを伝えた。ハクリとレオグは心よく承諾してくれた。
その後は、武器や装備を買って行く人よりも修理の依頼や修理の終わった物の引き渡しが多かった。
「まいったねー!修理の値段倍に上げるぞ!とてもやってられん!アピスー!!今すぐ修理の値段上げてくれー!!」
「わ、わかったじゃー!」
「ほぉ〜!!」