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53話 ツインテールと教師と…

 レオグを待っている間、1言も交わすことなく剣の素振りと町の広場が賑わう声が店の中で聞こえていた。


 『なんじゃ…。なんだか居心地が悪い…。んっ!?』


 アピスが苦い顔をしていると、店の扉が開かれた。


 「いらっしゃ…。」


 「レッオ↗ングッ!!ナァハッハッハ!!!『リア』ちゃんヌっ!なんて君は行動がハヤァイんだッ!僕がここなら魔法を使える剣があるかもと言ったら走り出して!ナァハッハッハ!」


 「煩いわっ変態教師っ!塵になりたいの?」


 『リア』と呼ばれたのが、金髪ツインテールの少女の名前なのだろう。変態教師と呼ばれた成人男性はフードをかぶったままで顔がよく見えないのだが、なにやクネクネしている。レオグの名前を言いながら入って来たので、知り合いなのだろうか。


 「ナァハッハッハ!『リア』ちゃんヌっ!!可愛らしい君の魔法で…。アァッ!!そんな目で…。僕をもっと睨んでおくれっ!!さぁっ!!君が望むのなら僕は塵にでもなるよ!ナァハッハッハ!」


 「うっうわぁ…キショク悪いっ!!。いいわ!今すぐ私の最大威力の魔法で!…」


 「うっせーな!!魔法を使える剣なんていいだしたのはお前か!『シャギ』!」


 どうやら変態教師は『シャギ』という名前のようだ、名前を呼ばれフードをとると、上に向ってピンと伸びた耳、長髪で黒髪のエルフ族だった。


 「なにを言うレッオ↗ングッ!可愛い我が生徒の、この可愛い『リア』ちゃんヌッが僕に相談をしてくれてねっ!」


 「そうか。じょおちゃんが魔法を使える剣が欲しいのか…。具体的にはどんなだ?」


 「そ、そうね。物理的な切れ味に私の魔法を上乗せ出来る剣がいいわ!!」


 「なるほどねぇ…。おいっ!『シャギ』どこまで説明してやった?」


 「まだなにもさ〜?レッオ↗ングッ!」


 「はぁ…。いいか?じょおちゃん?」


 レオグは溜め息をついたのだが説明しはじめた。魔法はそれ自体である程度の形を成すことができる、弓、矢、剣、盾、鎧など魔法使いの技量にもよるし才能もあるだろう。しかし、どんなに魔法使いとしての技術が高くても物理的な部分で、剣なら切れ味や硬度に追いつくことはないのだと言う。

 普通の剣に魔力を流すと、魔力の伝達が悪くまともな魔法とならない。これはアピスもやったことがあり、よくわかっていた。まともな威力になるまでの魔力を注ぐという手もあるが、維持するのが不可能に近い。

 魔法使いの使う杖は、各所水晶が埋め込まれていて、その水晶が魔力の伝達を行い最終的に先端の大きな水晶で大きい魔法を作りやすくするものである為、魔法使いの武器として成り立つ。


 「まぁ、杖のように剣に水晶を埋め込むって手があるんだが、脆いんだよ。剣自体は耐久性があっても埋め込んだ水晶が割れちまうんだ。まぁその水晶にも宛がねぇ訳じゃないんだがよ…。おい『シャギ』、その水晶に関してはお前の判断で話せや。」


 「ナァハッハッハ!厳つい顔してるのに相変わらず優しいねレッオ↗ングッ!『リア』ちゃんヌ。ごめんよ?君がさらに僕に相応しい女性になった頃に教えてあげよう。」


 「はっ!変態教師に聞かずとも私自身で探してみせるわっ!お邪魔したわねレオグ。」


 そう言って『リア』は、店を出て言った。レオグは頭をボリボリとかきながら『シャギ』にシッシと手を払っている。アピスは口を挟むこともないと思いカウンターにひっそりとしていた。あの『シャギ』のテンションが独特すぎて、話ずらそうだし。


 「またくるよ!レ・オ・グッ!」


 嵐のような会話の後にレオグと何故かアピスまでが溜め息をついた。魔法を使える剣はないということなのだろうか、レオグに聞いてみた。


 「レオグー。実際あるの?魔法を使える剣。」


 「あるぜ?ダーテの作った竜石の剣。まぁあと可能性があるとしたら、クリスタルを使う剣だろうな。」


 「水晶と違うのかえ??クリスタルは。」


 「あぁ、クリスタルは特定地域に生息するクリスタルを生やした魔獣がいてな。まぁクリスタルの硬度もピンキリだし、加工も出来ねーから剣として使うにゃ切れ味のあって硬いクリスタルを探さにゃならね。まぁそんなクリスタルを生やした魔獣はヤバイだろうけどな。」


 「そんなにやばいじゃ??」


 「おう、なにせ奴らにゃ魔法が効かねーしな。」


 そんな魔獣もいるのだな。と関心するのと、そんなのどうやって倒すんだろうとか考えだしたら止まらなかった。


 「レオグは戦ったことある?」


 「あるぜ?強かったぞー?そういやアピスはなんで『氣』を使いたいんだ?魔法が役にたたねーって言うのは、まぁわかってやらんでもねえけどよ、強くなりたいってことだろ?でも理由がわからねえなぁってよ。」


 「強く…。」


 ふとレオグに聞かれた質問に即答できなかった。強くなりたいとは考えていなかった。結果そういうことになるのだが、理由を改めて聞かれて何故だろうと考えてしまったのだ。ハクリに助けて貰えなければ、『レッドべアド』に殺されていたから?魔法がそもそも飛ばせないから?思案しているとレオグが言った。


 「まぁ強ければ守れるものも増えるし、無駄にはならねーからいいさ。『氣』使えると色々便利だしなっ!すまんすまん!」


 そう言ってアピスの頭を撫でた。


 


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