50話 レオグ
2人は、『ムーケ』に礼を言って店を出た。ハクリは王都にいる父親へ手紙をお願いし、アピスは『カルーナ』へ手紙をお願いした。
『なんでじゃ…。村が無事なのは良かったけど…。なんで母は…。』
母からの手紙は、まず無事にこの手紙を読んでいること、返事が書けるなら『カルーナ』へ手紙をちょうだいと書いてあり。村を守って残った村長やダンケ、セレンの両親含め皆が無事という事。『カルーナ』から西へ向かった剣士達の理由が気になるから『カルーナ』に行ってくるという内容だった。それと。
『しかも、なんじゃ!もっちーを見習って父を探して来てほしいって…。』
「アピちゃん…?」
「はぁ…。」
「ほぉ…。すぅ〜〜〜!!」
「んえ??何してるんじゃもっちー?」
「アピちゃんのため息を吸ったのだ!!」
「なんじゃそれー!」
ハクリに、手紙の内容を話すとニコニコしながら良かった良かったとスキップをしはじめた。
【獅子の鍛冶屋】へもどると、レオグはカンカンと何かを叩いていた。
「ただいまじゃ!レオグ!」
「ただいまー!レオグー!」
「おっ!戻ったか〜おかえりさん!手紙はどうだったよ?」
手を拭きながら2人のもとへレオグが歩いてきた。
「バッチリ!アピちゃんの手紙も来ていたしの!」
「おうっそうか!そりゃなによりだ!ガハハ!なぁ、2人はどうするんだ?アピスは学院に入ったりするのか?」
アピスは、首を振って学院に入らない理由を話す。ハクリはどうしようか頭をモシャモシャしていた。
「よかったらよ…。ここでしばらく手伝ってくれねーか?また旅に出るにしろゴールドは必要だろ?今あちこちから人が集まってて、修理だなんだと手が足りねーんだ。どうだ?飯に風呂、ベッド付で給料だって払うぞ?」
「ほぉ…。アピちゃんどーする?」
「ん〜父を探せと言われてるけど、宛もないしのぉ…。」
「なんだ?今度はアピスの父ちゃんか??ここには冒険者も多いし人探すなら案外便利かも知れねーぞ?名前はなんつーんだ?」
「『ランゼス』じゃ!」
「ぶはっ!!まじかよ…。神様のイタズラかなんかか??ガハハ!こりゃいいわ!『セス』の娘か!ガハハ!じゃーそのレイピアは『シャムナ』の物で間違いないみたいだな!」
「えっ!?」
「セスも意地がわりーよな!ガハハ!あいつ案外近いところにいたんだな!」
「どどどーいうことじゃっ!?」
「オレも一時期な、冒険者をやっていたんだよ。」