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49話 文書鳥店

 次の日、アピスは顔になにかが当たってめが覚めた。


 「ん…。んぐ…。んあ!!なんじゃ足か…。足!?」


 ハクリの寝相なのか、頭を同じ向きにして寝たはずなのにひっくりかえっていた。


 「ほぉ…。だんご…。もち〜…。」


 「ヨダレが凄いの…。もちもちもちもち〜?」


 「ん!?ん〜っ!!呼んだ〜?」


 「もっちーおはよじゃ!朝じゃ!文書鳥じゃ!」


 「ほぉ!おはもち〜!そうだのぉ!手紙〜!」


 2人は、バタバタと着替えると部屋を出てレオグの部屋へと突撃した。


 「レオグー!おはよーじゃ!!」

 「れーおーぐーおはもちー!!」


 「おっ…。おう…。はえーなじょおちゃんたち。ふぁぁあ。おはようさん!」


 レオグはガシガシ頭やら腹やらを描きながら起きた。2人は洗面所へと駆けていき、顔を洗って台所へ向かうことにした。


 「レオグ!!朝ごはん作ってもいいじゃ〜??」


 「料理なんかできんのか??おうおう!好きにやってくれや!がはは!食材はそこの棚の中だからよ!上手いもん頼むぜ??」


 「ほぉ!うまごはん〜!もち。手伝うのぉ!」


 アピスが出来る料理なんて限られるているのだが、ハクリは母親がいなかった為かよく父親を手伝っていたようで、あれやこれやと作りはじめた。


 「ほぉ!朝から豪華!!じゅるり。」


 「あとは、パンをやくのぉ!」


 サラダに、野菜スープ。鳥肉があったので、香草をまぶしてソテーを作った。パンは生地からだったけれど、ハクリがモリモリ頑張ってくれたのであっという間に出来上がり、釜戸に入れて焼きあがりを待つだけとなった。


 「うおっ!なんだ想像以上じゃねーか!やるなー!」


 「はっはっは!もちもちだろう?」


 「もっちーおかしいじゃっ。あはは!」


 焼きあがったパンと料理をレオグの部屋へと運び、3人はあっという間に食べきってしまった。


 「いや久しぶりに料理っつー料理を食べた気がするぜ?ありがとうな、じょおちゃん達!ごちそうさまだ!」


 「ごちそうさまじゃ!」

 「ごちそうさまだのぉ!」

 

 2人は食器の片付けを済ませると、レオグから文書鳥店への地図を書いてもらった。手紙をそれぞれ持ち。【獅子の鍛冶屋】から飛び出していく。


 「「いってくるー!!」」


 「おうっ!気をつけな!!…。ったくオレに子供がいたらこんな感じなのかね?」


 朝はまだ早く、広場に出てる人が少なかった。店も今から開ける準備をしているような感じだ。


 「んお〜!!なんだか気持ちがいいのぉ!」

 「ほぉ〜!!たしかに!スーーッハァーー!」


 地図を眺めながら歩いてゆく、どうやらこの階層ではなく、下の階層に文書鳥店があるようだ。魔法都市入口の大きなアーチをくぐってすぐに階段があり、そこを降りていく。下の階層にも植物が生えていて、天井にはあちこちで色んな光の玉が光っていた。夜に見た外灯も綺麗だったが、下の階層でみる明かりもまた、綺麗だった。

 下の階層にもいくつか店が並んでいる。薬屋や本屋なんかもあった。地図通りに進んでいくと、鳥の足に紙がリボンのように巻かれた看板を見つけた。


 「あれじゃ!もっちー!文書鳥店!!」


 「看板かわよい!!」


 アピスは、まだ店に入る時に抵抗があるのか、ノックをしてから入っていった。

 文書鳥店の中は、想像していたよりも広く背の高い棚がいくつも列を成していて、その間を真っ白な鳥が何羽も飛び交っていた。


 「ほぉぉぉぉ…。」


 「なんじゃ〜これ〜…。」


 「ホォ…。これは朝の早いお客様だ…。」


 驚きに目を丸くしている2人の上からバッサバッサと大きいフクロウが降りてきた。でもベストにネクタイ、ズボンも履いている。


 「「・・・」」


 「んっ?ワタクシの顔に何かついてますかな?フム。ワタクシは此処の管理運営を務めさせて頂いております『ムーケ』と申します、はい。」


 「フクロウさんじゃ…。」


 「『ムーケン』!手紙をお願いしたいのぉ!」


 ハクリは、またざっくりと呼名をつけてしまった。ムーケは小首をかしげたものの、そのまま案内をしてくれた。手紙が届いているかの確認は、名前を名乗るだけで良いそうで、手紙を届けたいのならば2ブロンズを支払うというものだった。


 「じゃーまず!手紙が届いているか、お願いするじゃ!」


 2人は、名前を名乗るとムーケが2羽の鳥を呼び何か話しているように見えた。すると鳥は鳴き声を上げて背の高い棚の列へと飛んでいった。

 しばらくすると、1羽の鳥が手紙をくわえて戻ってきた。


 「ホォ。アピス様に1つありましたよ。どうぞ、こちらです。ハクリ様宛のものはありませんでした。」


 「もちには、なかったのかぁ…。アピちゃん!誰から来たの??」


 「…。母からじゃ!!」


 

 

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