43話 魔法都市へ
3人は、ハシゴを登ると真っ直ぐと歩き出す。朝の森の空気は澄んでいて、とても気持ちがよかった。腹の痛みもほとんど消えて、アピスは深呼吸をしていた。
ハクリはルンルンしながらスキップを踏んでいる。セレンは、キョロキョロしながら薬草をまた探して歩いているようだ。
「ねぇもっちー!」
「なーにー?アピちゃん!」
「『氣』はどのくらいで使えるようになったんじゃ?」
「ほぉ…。え〜と。もちは1年くらいかなぁ…。あとから来た人で1ヶ月くらいで使えるようになった人もいたけどのぉ!!」
「1年かぁ…。でもそうじゃよね。魔法もそのくらいかかったかも!せれにゃーは3日だったけど。」
「にゃ??」
「よぉ〜し!もちも、3日で!!まっほー!!」
「いやもうあれから、5日目じゃよ??」
「ほぉ!!もうそんな…。はっはっは!」
ハクリは、また風を両手でかき混ぜはじめた。すると少し魔法の片鱗が見えはじめていた。まだ完全ではないが、少しずつ使えるようになりはじめていたのだ。
「えっ!もっちー!その調子じゃよ!」
「ほぉ!!なんか不思議〜!!」
「ワシも、頑張らないと!もっちー『氣』は歩きながら練習できないの??」
「ほぉ…。」
ハクリは、手を止めて両手で自分の頭をモシャモシャしながら考えはじめた。
「『氣』のポーズのまま…。歩く??」
「マジカ…。」
アピスは、背筋を伸ばし腰を下げたまま歩き初めた。セレンがそれを見てお腹を抱えている。
「にゃはは!アピにゃん!おかしいにゃ!!」
「ムムムム…。『氣』の練習じゃ…。」
とても歩きずらい。とにかく歩きずらい。でもなぜか前ほど足が辛くなかった、手がなんだかやることがなかったので。右足を出す時に右手を突き出してレイピアをイメージしてみた。左手も同じように魔法玉を押し付けるイメージ…。そこで気がついたのだが、どちらも同じ動きだった。それに手の反動あって歩幅が広くなり、スピードが2人に追いつけるようになっていき、時期に追い越す形になってきていた。
『なんかコツでも掴んだじゃ??まだ、お腹にあの温かい感じはしないけども…。』
セレンは、薬草をちらほらと回収しているようで、見つけてはハクリのバッグへと詰めていた。ハクリは、鼻歌のように風をかき混ぜ続けている。
「びゅーんびゅーん!風がびゅーん!」
「モチー。少しずつだけど魔力を使い初めてるから、練習しすぎると眠くにゃるにゃ??」
「ほぉ!それでなんかネムイのか!」
「にゃにゃ!!もう練習おしまいにゃー!」
「え〜!!ケチだのぉ…。」
「寝ちゃったら、魔法都市へ全然つかなくなるにゃー!!めっ!!」
「わかったのぉ…。」
ハクリは、セレンの薬草探しに協力しはじめたようだが、見つけてはセレンに見せて捨てられてを繰り返していた。
「ん!!川の音がするじゃ!!」
森を抜けると、谷になっていた。谷の下を川が相変わらずの勢いでゴーゴーと音を立てて流れている。その先を見ていくと、魔法都市がだいぶ近づいていた。
「これにゃら!夕方には着けそうだにゃ!」
「もうすぐじゃの!」
「もち。お腹へったー!」
ハクリの声に合わせて、アピスの腹がグーとなって、3人は笑ったのだった。