42話 お別れ
次の日、アピス達は支度を済ませると服が綺麗になっていた。ハクリのポンチョの槍で穴が空いたところも綺麗に縫い合わされていた。
「チルるん。これ…。」
「あっ!あたしとお婆ちゃんで綺麗に洗っておいたの!!ただ、モチの袖だけは綺麗に付かなかったから…。よかったらそのワンピースを着ていって??」
「ほぉ!これ貰っちゃってよいの!?ありがとうのぉ〜!!」ガバッ
ハクリは礼を言いながらチルチを抱きしめて、頭の毛をモシャモシャ撫でまわしている。
「あぁっも〜もっちー!!このー!!」
「ほぉぉぉおお!!」
チルチは、お返しとばかりにハクリの髪の毛をモシャモシャ仕返した。
ハクリはワンピースの上からレザーのベストを着て、今まで着ていたスカートも一応その下へ履いた。
アピスは、バッグを背負うと。チルチに出口までの案内をお願いした。チルチ達の隠れ家は、丘の上にあった悪党派のテントから西側にある森の中に位置していて、出口から南へ真っ直ぐ行けばまた川沿いに出られるようだ。
「にゃ〜。魔法都市はもうそんなに遠くないはずにゃ!」
「ほぉ〜!なんだか長かったのぉ!」
「いや!まだ着いてないんじゃから〜。着いてからのセリフじゃの〜。」
「でへへ。もち。頑張るのぉ!!」
「あはは!本当、みんな盗賊団に入って欲しいなぁ〜…。」チラッ
「それは出来ぬじゃ〜。母にも会いたいしの…。」
「そうだよね…。」
「また会えるにゃ!その頃にはワタシ凄い魔法使いになってるにゃ!にゃはは!!」
「えっ!!じゃ〜あたしもウンっと立派になるんだから!!」
「ほぉ!じゃ〜もちも!モッチモチになるの〜!」
「モッチモチてなんじゃよ〜!あはは!」
アピスは考えた、みんな目標がある。セレンは上級魔法使い、ハクリは父親探し。アピスは父親に会いたいだろうか?物心ついたころから写真と話でしか知らぬ父。ブローチをふと開いて歩きながら眺めていた。
「あそこだよっ!!」
チルチがそう言って走ってゆく。ハシゴが上へ向かって伸びていて。その先は葉っぱで隠しているのだろうか、みどり色の光が差し込んでいた。
ハシゴの前でチルチは、寂しそうな顔をしていた。
「ありがとう。チルるん!またのぉ!」
「またのぉ!チルるん。」
「またにゃ!絶対また会うにゃ!」
「うんっ!!」
3人は笑顔を作ってチルチに別れを告げ、ハシゴを登って外へと出た。魔法都市へと向かうために。