40話 スープ
アピスが気がつくと、ベッドの上に寝かされていた。辺りを見ると、壁や天井が岩がむき出しになっていて机の上にランタンが置かれている。部屋の中はジメジメしていて、ひんやりと冷たい。体を起こそうとしたが、蹴られた部分が痛くてなかなか起きれなかった。
『どこじゃここ…。みんなは…。』
扉があるのだが、そこまでまだ歩けそうもなかった。何気なく腹をさすって気づいた、ワンピースを着ている。しばらくワンピースの袖口にグルっと縫われている模様を見ていたのだが。足音が聞こえる。そのまま扉がノックされて人が入ってきた。
「寝てる…。かなぁ…?あっ!!起きてる!!良かったー!!」
「チルるんっ!」
チルチも似たようなワンピースを着ている。なにやら木で作られた椀を手にしていた。チルチの顔や足には、布がぐるぐる巻かれていた。1人で『ゴブリンの巣』に入って、無傷では済まなかったようだ。
「ここどこじゃ?みんなは??」
「安心して!アピちゃん!ここはね〜私達の隠れ家なの!せれにゃーは、とっくに目が覚めてて、お婆さんと色々話てる。モチは…。」
「えっ!!もっちー大丈夫じゃよね!?イテテ…。」
「あーも!痛むなら無理しないでよ!!モチはね、何しても起きないの!!」
「あ〜…。」
アピスは、ハクリ(もち)の起こし方をチルチに教えてあげた。説明してておかしくなって、痛む腹を抑えながらチルチと笑った。
「じゃ〜それで起こしてみるっ!そうそう!これ食べれそうだったら食べて?あたしの自慢のスープ!大した物が本当にないから…。味気ないけど…。あと…。」
「チルるんのスープ!ん??どしたじゃ?」
「本当にありがとう。」
チルチは、椀をアピスへ渡すと深くお辞儀した。
「えっ!!いや!チルるん来なかったらもうやばかったじゃ。本当にっ。というか、みんながいたからじゃの〜。」
「あたし1人じゃ、出来なかったから…。助けてくれてありがとう。」
「ワシも今助けられておるし。オアイコじゃ。」
2人はニコっとして、抱きしめ合った。
アピスは、チルチの作ってくれたスープを木のスプーンで口に運びながら、テントから脱出した後の話を聞いていた。あの後すぐみんな歩けなくなってしまったのだが、ちょうどチルチ側の仲間がテントの様子を偵察していて、チルチ達を見つけて助けてくれたのだとか。この隠れ家は元は『ゴブリンの巣』だったようで、空なっているところをそのまま使うことにしたものらしい。
「なるほど…。『ゴブさん』には助けられているのぉ、あはは!イテテ…。」
「本当だ!なんだかおかしいね!ふふ。」
スープの味は薄かったけど、とても優しくて温かくって、母のスープを思い出して少し寂しくなった。
「アピちゃん!まだそんなに痛いの?」
「大丈夫じゃ…。なんだかチルるんのスープ美味しくての…。本当みんな無事でよかったじゃ。」
アピスは、涙を拭いてそう言った。




