37話 『ザーレル』のテントへ侵入!?
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「んにゃ…。ちがうにゃっ…。隠れるにゃ…。」
チルチが来たのかと思ったのだが、違った。松明を持った2人がこちらへ向かって歩いてくる。
『バレた?バレた?』
『まだ決まったわけじゃないにゃ…。』
『ほぉ…。あれ?止まったよ??』
2人は、なにかを話合っているようだが聞きとれない。でも穏やかじゃない、声を張り上げている。次第に争うように松明の火がブンブンしはじめている。
『な、なんじゃ…。仲間割れ??』
『ほぉ…。喧嘩かなの…?』
『なんだか騒ぎが大きくなってきそうだにゃ…。』
セレンがテントの方へ視線を投げた。すると喧嘩の声が響いていたのか、松明の火が集まってなにやら賑やかになってゆく。
『なんじゃ…?止めにいくのじゃないのか?』
次第に、争う2人を囲むように松明の火が集まりテントの外で賑わい出した。まるでお祭りみたいだ。
『これ…。チャンスにゃ??』
『お婆さん探すってこと??』
『ほぉ…。どうするー??』
『チルるん、まだ来ない…?』
『お婆さんのいるテントを探すだけにして、チルるんを待つ。それでどうじゃ?』
『そうするにゃ…。いくにゃ!!』
3人は人の気配が減ったテントへと近づいて行った。テントは近づいて見ると大小様々で、模様が着いていたりしていた。
『ほぉ。アピちゃん。あれ偉そうなテントだのぉ…。』
『本当じゃ…。』
『趣味が悪いにゃ…。』
1つだけ大きく、テントなのに金の装飾がぎっしりしていて。おまけに入口に松明が立っていた。
『分かりやすくて、助かるじゃ…。2人は後ろの警戒を頼むじゃ…。』
アピスがテントの入口の隙間から中をのぞくと、あからさまに偉そうなイスに座っている長髪の男、テントの模様に似た服を着たお婆さんが縄で縛られて横たわっているのが見えた。
『あの長髪が、『ザーレル』かの?寝てる??』
長髪の男は、イスに座ったまま寝ているようだった。アピスは、2人のところへ引き返し、テントの中の様子を伝えた。
『またまた…。チャ…。チャンスにゃ??』
『こっそりお婆さんを助けだしちゃう??』
『助け出して、どこへ逃げるじゃ?』
『ん〜。魔法都市へ逃げるにゃ。』
ここで、お婆さんを助けてチルチ側の盗賊団のところへ行けても、すぐにまたザーレル達の手にかかる。それにチルチがゴブリンを連れて来ることに成功したとして、住処に戻った時に自分達3人とお婆さんがいないことがわかれば、行く先が魔法都市じゃないかとチルチなら察しがつくのではないだろうか。とセレンは説明をした。
『なら、いくじゃ…。もっちーは怪我をしているから、見張りを頼むじゃ。ワシとせれにゃーでお婆さんを運び出すじゃ。』
3人は、長髪の男が寝ている隙に、お婆さんを運び出すことにした。