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31話 地下の部屋

 火だるまになって落ちた男は、下まで落ちて動かなくなったようだ。炎の灯りも消えたようでまた真っ暗となった。

 だが、残り1人の声の主の男は、出てくる気配も誰かと話し合う声も聞こえてこない。アピスは階段を降りることを決意して。ゆっくりと足を進めた。


 階段下までつくと、男が2人重なるようにして転がっていた。2人とも首やら手足が折れておかしな方向へ曲がっていた。一瞬吐き気に襲われたが、ぐっとこらえて、扉の様子を伺う。

 扉からは変わらず、四隅から光がもれていて音は聞こえない。


 『突撃するしか…。ないかの…。』


 扉の向こう側が部屋なのか、通路なのかさえ分からないが意を決して少し押し開く。


 『通路…。じゃの…。』


 通路の両脇には、均等にロウソクの灯りが灯されて、通路の突き当りの部屋まで明るく照らされていた。しかし、本当に人がいるのか疑いたくなるほど静かだ。わずかに流れる水の音が、妙に気持ち悪く感じさせるほど。


 通路には突き当りの部屋までの一本道のようで、アピスは出来るだけ音を出さないように通路へと入って行く。


 『なんじゃ〜…?いるのかぁ…?いないのかぁ…?』


 ゆっくりと壁際を進んで行くと突き当りの部屋まで来た。変な汗と心拍数があがる。

 チラッと壁から中の様子を伺うと、そこには縛られた子供が2人とその奥にテーブルやイス、扉が見えた。人はいないようだ。


 『逃げたのかの…??』


 少しホッとする。深呼吸をすると、アピスは警戒しながら2人の子供に近づいてゆく。


 『良かったじゃ…。せれにゃ無事で。もう1人は分からぬけども助けないとじゃのっ!』


 2人の縄を解く。見知らぬ部屋に居るのが落ち着かないアピスは、2人を通路の扉付近まで運んだ。2人は起きる様子がないが、息をしているのは確認した。


 『あと1人?2人?は、本当に逃げたのじゃろか…。部屋で待ち伏せも考えたのじゃけど…。取り越し苦労じゃった。部屋の奥の扉の向こうにいるなんてことあるじゃろか??』


 セレンをとりあえず起こすことにして、肩を叩きながら呼びかけると目を覚ましてくれた。


 「んにゃっ…。!?アピにゃんっ!!イテテ…。頭を殴られたにゃ!!危ないにゃ!!にげっんぐぐあぐぐ…。」


 アピスが、声のでかくなるセレンの口を塞ぐ。


 「せれにゃ…。大丈夫じゃ…。とりあえず安全だから…。でも大声は出すの怖いから…。静かにして欲しいじゃ…。」


 セレンは、状況をすぐに理解してくれて、コクコク頷いている。


 「もち…は。大丈夫なの…にゃ??」

 「うん。熱も下がって来てる見たいだし。ぐっすり寝ている…。」


 コソコソと話をする。もう1人の子供は、起こして騒いでも大変だし、あれこれと説明も大変そうなので。アピスがおんぶするようにして、ハクリのところへ一度戻ることにした。


 


 


 

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