29話 今できること
『考えるじゃ〜。考えるんじゃ〜!わしに出来る事全部!』
アピスの出来る事。火、水、風、土、の4つの属性魔法とレイピア、剣術は素人に近いだろう。ゴブリンには、通用したけど人間相手に通用するか怪しいものだ。
『突撃して…。ん〜。扉から入って1人なんとか出来たとしても2人?3人?に囲まれたらどうにもならなそうじゃ…。やばい時逃げれそうにないし…。この階段も……。んっ!?。これしかないじゃ!!』
アピスは、階段をゆっくりと引き返す。階段のはじまりまで上がると、足元に魔法玉を何度か使用する。
『これで、準備はよいの。上手く行くことを願うしかないじゃ。』
罠ほどでは無いが、今のアピスの出来る事全部を使う作戦がはじまろうとしていた。
「ほぉぉぉああああっ!!!!!」
アピスは大声を出した。作戦開始だ。ちょっとすると扉が開き灯りが一瞬大きくなるのが見えた。階段を上がる様子はない。
「誰かいんのかぁぁぁ!?」
太い男の声が返ってきた。
『えっ?上がってこないの〜??』
「おいこらぁ!?なんとか言いやがれぇ!!」
「なんじゃぁあ!!お主は何者じゃぁ!!」
階段上と下で大声で会話がはじまった。
「はっはっはっ!!」
笑い声がしたかと思うと、また扉の開いた灯りが見えた。なにか話てる?
「おぉぉぉいっ!!」
「おいっ!!お嬢ちゃんっ!!降りて来いよっ!」
『いや…。行かない行かない!!行けない!!』
「なんでじゃぁあ??」
「腹へってねーかぁ??うめぇもんあるからよぉぉ!!お嬢ちゃんにもくれてやるよぉぉ!!」
『むむむむ。こっちこない…。でも乗り込む訳には行かないじゃ。』
「動けなーーーいじゃっ!!」
「んっだよ!!ケガでもしてるっつーのかぁ!?どうやってここまできたぁあ??」
「ケガじゃな〜いっ!!もう疲れて階段降りたくな〜いっ!!」
「めんどくせぇなぁぁ!!」
しびれを切らして上がって来るようだ。段々と男の姿が見えてくる。見てくれはやっぱり汚い。全体的に汚れているし、ボロボロで。髭も生えてる。とても美味しいご飯をくれる人には見えなかった。
「んでーお嬢ちゃん。おんぶか??抱っこか??なんだ??お嬢ちゃん、その構えは…。」
レイピアを持たずに、『氣』のポーズからレイピアを構えるように構えていた。
「どっちも…。お断りじゃ!」『ウィンドボールっ!』
階段を上がりきらないところに立っている男へとレイピアを突くように踏み込み風属性の魔法玉を押し付けた。
「なっ!?んごおおっ!?」
男は、アピスが思っていたより吹っ飛んで。そのまま階段下へと落下した。凄い音が下の方で聞こえた。
『これで1人じゃ。ちょっと作戦と違うけど落とせた!!』
アピスの足元は土属性の魔法で滑らないように、土を蒔いておいた。これで踏み込める。
「うるせーなっ!!なっ!おい!!生きてんのかオメー!?駄目だなこりゃ。」
下で別の男の声が聞こえる。第二回戦に身構えるアピスだった。




