28話 捜索開始
セレンの帰りを待つが、いくらなんでも遅すぎる。遺跡後の奥になにかあるのだろうか。もうすっかり暗くなり、木漏れ日の差していた場所からは星が見える。
『せれにゃーを探しに行くには、もっちーを置いていくしかないの…。』
ブドウジュースをチミチミ飲みながら、1人作戦会議をしていた。魔獣が来ないことが本当なのかわからないけど、ここについてからは静かなものだった。仮に魔獣が来たのならハクリが見つかりにくいほうがいいと考えて草の茂みへと運び移動させた。
アピスのバッグもハクリへ預けることにして、セレン捜索に向かうことにした。
「もっちー。行ってくるのぉ。」
そう言ってハクリのランタンだけ灯りを消した。
遺跡後と言っても建物の形が結構残っていた。もとは神殿のような感じで、入口で見た白ぽい石柱が並んでいる、地面から草花や細い木などが生えていた。
奥へと進んでいくと、地下へ続く階段へ行きついた。ランタンの灯りを照らしてみるが、階段下の様子は見えない。結構降りるようだ。
「ん〜。せれにゃ〜。何処まで行ったじゃ?」
階段を良く見てみると足跡が残っていた。壁や階段にはコケや小さな草が生えていて、チョロチョロと水の流れる音がする。
「ここを降りたのかの…。」
ゆっくりと階段を降りて行くと、扉があるのだろうか?なにか灯りが漏れているように見える。
「せれにゃーかの??」
階段をさらに降りて行くと、なにか様子がおかしい。声が聴こえる。複数の大人の男の話し声がする。
「だーはははっ!!なんだオマエ!!びびってそこから逃げたってのか!?はっはー!こりゃ傑作だわ!」
「んなこと言ったってよー!!『ゴブリン』のやろーどもがよ〜?まとまってどっか行っちまって静かだと思ったら、急にギャーギャーいいながら帰ってくるんだぜ!?」
「オマエ大した稼ぎにもならねーのに『ゴブリンの巣穴』なんか盗みに入ろうとするからワリィんだよっ!はっ!だせー!」
「うるせぇーなっ!いいじゃねぇか!このガキどもを売っぱらえばよ?しばらくは安泰だぜ?」
「いい酒のツマミだよ!ははは!あの逃げ帰って来たときの面ったらねーぜ!ははは!!」
3人?4人?ゴブリンの巣穴。ガキどもを売る??そんな会話がゲラゲラと聞こえてきた。
「しっかしよ?まさか反対側から、このガキが入ってくるとは思わなかったぜ??あっちなんだろ?ゴブリンが、たむろする場所。」
「あぁそうだ。良かったよな?ローブと杖じゃーコイツ魔法使いだろ??不意打ち出来たから良かったぜ。」
「ちげーねー!全くだ!!魔法使えるってなりゃ高値がつくしよ?儲けもんだっ!」
『!?』
アピスは、身体がビクンとなった。セレンが大人の男、恐らく3人に捕まったのだ。急に心臓が高鳴る。助けを呼ぶにも、ハクリしかいない。そのハクリは動けそうにない。
『ど、どどうするじゃぁ〜っ!!!???』