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21話 朝ごはん?

 セレンが指をピンとさせると、尻尾もピンっとなっていたがすぐにだらっと下げてしまった。


 「あれが。【アストルム】…。」

 「ほぉ!!魔法都市!ってゆーか!朝だのぉ!おはよーっ!!せれにゃー!」


 ハクリは、挨拶と共にセレンに抱きつこうとしていた。セレンは、そのまま動くことなくハクリに抱かれた。


 「でへへー。せれにゃー!もふもふー!」


 「むにゃ…。むにゃ…。」


 セレンは、寝てしまっていた。アピスも崖から見える景色に一度は目が覚めたものの、セレンを見てアクビをする。


 「もっちー…。どこかで休もう…。」


 「あっ!!そうだっ!」


 ハクリは、セレンのポッケに手を突っ込んで何かを探している。


 「あったのぉっ!」


 ハクリが、探していたのはセレンの案内図だった。セレンを抱きしめたまま、案内図に目を通している。


 「もっちー。眠くないの??」


 「ほぉ…。休憩できる場所…。なんだか遠そうだ…。」


 アピスは、木に寄りかかり座った。『もう限界じゃ…。』ハクリが側に来たような気がするが、そのまま眠ってしまった。


 『ブヒブヒブヒブヒブヒ』


 『なんじゃ…。うるさい。』


 『ブヒブヒブヒブヒブヒブヒブヒブヒ』


 『うるさいじゃ。なんじゃブヒブヒて。』


 『ブヒブヒ』


 「ブヒーっ!!」


 アピスが目を開けると、目の前に薄いベージュ色が広がった。なんか臭い。


 「なんじゃっ!?」


 「ブヒブヒブヒブヒ。」


 顔に乗っかられているようで、それを持ち上げると、ハクリのバッグから角とブタの頭、食料が咥えられてズルっと出てきた。


 「角のはえたブタ…。『ホーンピッグ』!?」


 『ホーンピッグ』は、口をモシャモシャ動かしてブヒブヒ鳴いている。大事な食料を食べられていることに思考が追いつくと怒りが込み上げてきた。


 「食料ぉ〜!!盗み食いの罰じゃぁあ!!」


 角を掴んだまま、立ち上がり。木めがけてブタを振り回した。


 「ぶひぃー!!」ドゴッ!!


 木に打ち付けられブタは、口を開けてピクピクしている。


 「なんの音にゃっ!?」


 セレンは飛び起き…。れなかった。ハクリがガッシリ巻き付いていて、まだ寝ている。


 「にゃにゃにゃ!?」


 「おぉ〜せれにゃーおはようじゃ〜!」


 「んっにゃ〜動けにゃい!アピにゃん。助けてにゃ…。」


 ハクリを、なんとか引き剥がしセレンは自由の身となったところで、『ホーンピッグ』をつついて遊び始めた。


 「にゃ〜、これが学校の卒業試験の相手にゃ〜…。ふむ…。」ツンツン


 「食料を盗み食いしておったじゃ。」


 「にゃぬっ!このブタメっ!!アピにゃん。このブタ食べよっ!」


 「まじかっ!せれにゃー!」


 セレンは、腰元から短剣を取り出すとニカッっと笑っている。そのまま『ホーンピッグ』に突き刺しトドメをさした。なにやらそのまま解体を始めているようだ。アピスは少し引いていた。


 「アピにゃん、焚き火を頼むにゃ!」


 「う、うん。わかったじゃ!」


 その辺に落ちている木をかき集め焚き火の準備を始めた。『ホーンピッグ』も、逃げて来たのかな?そんなことを考える。寝てしまったけど、魔獣とか他に出たりしないのだろうか?村は、どうなったか…。気持ちはどんどん沈んでいくのだった。


 「下ごしらえは出来たにゃ〜!」


 セレンの声に我にかえり、集めた木に魔法で火をつける。解体されたホーンピッグは、枝で作られた串に串刺しにされていた。焚き火で肉を焼いていると、ハクリが寝返りをうつ。


 「もちもちもち〜?」


 「ほぉ!もち。呼ばれた?」


 「「おはよう。もち。」」


 「おはよー!アピちゃん!せれにゃー!」


 ハクリを起こし、朝ごはん?の肉を頬張る。ハクリのバッグの中の食料を確認させると、恐らく2日分。セレンの荷物は、両親が持っていて食料などは持ってこれていないと言うことだった。


 「ん〜。食料足りなくにゃったら…。道中こんな感じでサバイバルするしかにゃいっ!!」


 そう言って、肉に噛み付く。魔法都市【アストルム】への道のりは、川を辿って行き途中で森の中の遺跡後で休憩を取る予定のようだ。なんでも遺跡後には、まだなにかのチカラが残っていて昼夜問わず魔獣は近づくことがないということだった。


 「ほぉ!いへひあほ?」モグモグ


 「うにゃ。お肉を食べ終わったら出発するにゃ!」


 「うむっ!ゆこう!!」


 3人で、丸一匹『ホーンピッグ』を食べてしまった。


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