17話 武器を決める
アピスは、大剣を手にとってみる。父が使っているという大剣。しかし、重すぎて壁から下ろすことすらできなかった。
『これ父も使ってるんだし、強そうだからいいと思ったのにのぉ…。』
どうにも子供に扱えるサイズではなかった。改めて考える。あのクマ『レッドベアド』との戦いを思い返して。軽くて長いものがいいと思った。
剣を眺めていると、1つだけ異様に細い剣があった。鞘に入っていると杖の様に見える剣。
壁から下ろして、鞘から抜いてみると、剣とは違った。先が尖っている。振ってみると軽いし、良さそうだ。
「アピスー!決まったー??」
「母ー!決まったじゃー!!」
アピスはその剣を持っていくと、ハクリがバッグに食料をガシガシ詰め込んでいた。
「アピ…ん?アピス、杖を選ばなかったのね。しかもその剣を選ぶなんて。」
「わし、もっちーに剣を教えて貰っておるし、なにより魔法飛ばせないからの…。」ガクッ。
「あはは!まぁ…。それもそうね!その剣は昔の冒険仲間の『シャムナ』が使っていたレイピアよ?彼女も元気かなぁ。大切に使ってあげてね?」
「シャムナ…。レイピアってなんじゃ?」
「ほぉ!レイピアは突っつく剣だのぉ〜!!ブスッと!!」
「それで尖ってるだけなのかぁ!!」
アピスは、レイピアを鞘にしまうとローブの紐へと結び付けた。バッグはあまり大きいものではない、食料が3日分くらいとブドウのジュース入りの水袋と回復薬入り水袋が2つずつバッグの脇に紐で結ばれていた。
「さぁ!できたわ。まず学校へ向かいましょう。2人ともそれぞれバッグを背負ってね?あ〜いけないっ!ランタンも忘れないよにね〜!」
「うぬっ。」「もち。」
もちって返事なの??アピスは笑いながらハクリをみるが、ハクリはキョトンとしている。しかし、玄関へ向かうにつれ、すぐに不安が蘇ってしまいアピスは言った。
「母、絶対に死んじゃやだぞ??絶対じゃぞ??」
「まかせなさいっ!えっへん!」
母は明るくアピスに返事をして、玄関の扉を開けるのだった。