102話 魔人との対決③
『!?…。なんだその姿は…。』
魔人が剣を受け止められたことよりも先に、アピスの姿に驚いていた。
『クフフ…。フハハハハ!!お前!!良いぞ!!』
アピスの等身よりも大きく変化した右腕は黒い鱗を纏ったドラゴンのようだった。
「お、おい…。アピス??」
レオグの問いかけにも一切反応しない。
「ふぅ…。フゥ…。ガァァァァ!!」
アピスが力を込めたように叫ぶと、右腕が雷を帯びバチバチと光始めた。
『楽しい…。楽しいねぇ!!』
魔人が左手を突き出した瞬間、大きな魔法陣が現れ、辺りが暗く見えるほどの光をためだしている。
「こいつ!?おい!!アピス!!アピス!!」
魔人の行動にレオグが血相を変えている。アピスの肩を揺らそうとしたが、雷の範囲が広がり近づくことが出来なかった。
「くそっ…。どーなってんだこりゃぁ!!ハクリ!!聞こえるかぁ!!」
「はぁあい!!レオグん!!」
「逃げろぉ〜!!」
レオグは倒れている、サケとシーチを抱えてその場を離れはじめた。
「えっ!?アピちゃんがまだそこに!!えっ!?」
アピスは、掴んだ剣を下へと抑えこむと剣の上を魔人本体へ向けて走り出した。雷をバチバチと音をたてながら。
『ククク!!来い来い!!』
魔人は、なぜか上機嫌にアピスへと声をかける。
「のぉ〜〜!!モチも助太刀する〜!!」
ハクリは、腰に装備していた剣と盾を構えてから風魔法を使い魔人へと速度を上げながら突っ込んでいく。
「ばかっ!!ハクリ!!」
「疾走〜!!もち〜〜!!ん?走ってないか!!いあ!!疾風だぁあ!!」
ハクリの突撃より先にアピスが飛び上がり魔人へと右腕のパンチが炸裂した。その拳には、雷が集中し魔人に当たる瞬間に四方へと飛び散り火花のようにいくつもの光が飛んだ。
『ぐおおおお!』
魔人がゆっくりと倒れはじめる、しかし倒れざまに左手から魔法が放たれた、アピスを捕らえるにあまりある規模の大きな光の柱が飛び出たように見えた。
その光の柱は、アピスを捉えて尚、天井の水面にいとも容易く届き。さらに大きな穴を開けて貫いた。
『お返しだ!!』
「あれはいくらなんでもやべぇって精霊魔法に近いぞ!!」
突風と音と光で、まるで爆発が起きたような衝撃がレオグにあたる。それは上空から魔人目掛けて突っ込むハクリも同様だ。
「まぶっまぶっ!!姿勢がぁ!!ん〜〜!!そうだ!氣の一点集中だぁ!!」
剣に氣を集中し、突風を切り裂きさらに速度をあげた一撃が魔人に当たる。それが倒れ込む魔人への追撃となり光の柱も大きく上へと逸れた。
光の柱が天井の水面を切り裂きまるで滝のように水が振りそそぎはじめる。
魔人が倒れた土煙と音、滝のような雨の中、魚人達もレオグも足を止めて見入ってしまっていた。