100話 魔人との対決①
「アピちゃーん!!のぉぉ!」
「またかぁ!!」
落下すると同時にアピスとサケが真珠へと飲み込まれていくのが見えた。
「ほぉぉぉお!!もちもぉ入るぞぉっ!!」
真珠が地面へと着地し、はずむ。そのはずんだところへとハクリ達は飛び込んだ。
「へぶっ!!」
真珠の中へとは入ることができず。顔面を強打してしまった。真珠へと激突し、地面へと転がる。
「いったぁ…いったいのぉ!!入れなかったぁ。」
「くっそ。どうするよ?ユキツグあれ倒せると思うか?」
「『氣』も『魔力』も感じる上に、なにか別のものも感じるでござるな。」
「あっ!!魔人来ていたんだった!!あーーーーどうしよっ!!アピちゃーん!!しんじゅーー!!」
ゆっくりと魔人が真珠へと手を伸ばしてきている。
「魚人たちよ!!真珠を死守するんじゃ!!なんとしてでもーーー!!」
魚人達が、相変わらず混乱しているけれど被害はそれほどでもないようだ。ハクリはほっとしてため息をついた。
「レオグ殿!!玉転がしでござる!!」
「とりあえず逃げながら考えるしかないなっ!!いくぞっ!!ほれハクリも!!」
「ほぉぉ!!」
ハクリ達は真珠を転がし、魔人から逃げることにしたが真珠は神殿で見た時よりも光が強く、濃くなっているようにも見える。中でなにが起こっているのかも気になるし、それよりもどうすれば魔人を倒せるのか、逃げきれるのか、いろんな考えが整理できない。
魔人があとを追いかけてくる。その歩みは遅いのだが歩幅がなにせ大きい。ギリギリ手の届かない距離を保つのが精いっぱいだ。
「ほぉぉぉお!!はずむっ!!はずむっ!!ほぉぉぉぉお!!」
魔人が一歩歩くたびに地面がズドンと揺れる。チラチラと魔人を振り返りながらも真珠を転がし逃げる。魚人達も遅れながらも魔人の後を追いかけてくるのが見える。なにか雄たけび?をあげながら走っているのだが、よく聞き取れない。
『くそどもが!!大人しくしろ!!』
魔人が目を光らせたと思ったらそんな罵声を浴びせてきた。
「魔人がしゃべったぁ!!ほぉお!!しゃべれるんだぁー!!」
「つかよ。なにか思いつかねぇと俺らの体力がもたねぇーぞ??」
『めんどうだ。これで散れ。』
魔人の右手に魔法陣が現れたのが見える。そして、その魔法陣から剣がどんどん伸びていく。
「やっべぇ!!なんだあのばかでけー剣は!!」
ハクリはもうとにかく真珠を押して走ることだけに集中するしかなかった。あんな剣を振られたら、このあたり一帯が平らになりそうだ。でもとてもあの長さの剣の範囲から逃げれそうになかった。
『散れ。』
魔人が巨大な剣を振りかぶる。
「のぉぉぉぉぉおおおおお!!」
「くっ!!レオグ殿!!真珠は任せたでござる。うぉぉぉぉお!!」
「ユキツグぅぅうぅ!!」
ユキツグが真珠を離れ、その場で刀を構えた。ユキツグの周りに土煙が立つ。
魔人は構わずに真珠へと向かって巨大な剣を振り下ろす。
「ハクリ殿!!右へそれるでござる!!おおおおおおおおお!!!」
「右!!右!!右!!」
魔人の振り下ろした巨大な剣へとユキツグは飛び突っ込んだ。