第4話 おかえりなさい
ブックマークいただきありがとうございます。
最低毎週1回の更新で続けていきますのでよろしくお願いいたします。
「では、三夜沢様から前へ。」「はい!」
空中に浮く青白い珠に手を載せて魔力を集中させる。すると、珠からプロジェクターのような光が上に伸び4m四方ほどの大きさで表示される。
予想より大々的に発表されるないように羞恥を感じたが確認のため見上げた。
姓名:三夜沢 和晶
性別:男
年齢:21歳
種族:平人▼
レベル:20
ステータス:体力D魔力D筋力C知力C俊敏C運D
保有スキル:【精神感知】【魔力変換:精神】【魔力操作】【射撃補正】【魔力感知】【魔力エコー】【視覚強化】【聴覚強化】
特殊スキル:【イマジナリフレンド】【IF:ティオ】【IF:ラナス】【 知半能】
なんだこれ、色々突っ込みたい。が、これが平均的なステータスなのかどうかわからない。
こんな時はわかる人に聞けば
ビ シ ィ ッ ! ! !
突然何かが高速で叩きつけられたような異音がした。
音のした左側を見るとおそらくさっきまで俺を見ていた姿を隠したままの軽装な女性の辺りの地面が円形状に凹みひび割れていた。というか現在進行形で割れが広がっていく。
が、おそらく後ろにいた黒い男と鎧の女が抱えて引きずっていったのであろう。そのままヒビが出口の扉に伸びていき独りでに扉が開きそして閉まった。
回りもため息をつく者、顔を青くしている者、反応は様々だった。なんだったんだあれ。と言いたいが姿を消したままでていっており問いづらいので適当に濁しておくことしによう。
「すみませんボルシュさん、解説をお願いしたいのですが。」
「……はい、まず姓名と性別、年齢はいいのですが。
申し訳ありませんこちらでも種族の横の三角マークはよくわかりません。今までこのようなマークは見たことがありません、また文献にもありませんので。珠に向かって何か操作とかはできますか?」
指を向けそのまま動かしてみるが特に反応はない。一応表示されているほうに向けて同じくタッチやスクロールして見るが何も反応がない。
「わかりました、続いてレベルですが召喚された方はだいたいレベル1からスタートですので20はそれなりに高いと思います。
手馴れてきた冒険者がだいたい同じ位ですね。上の方を上げるなら我が国の騎士団長で70前後。文献にあります歴代の勇者の最終ステータスが100ぐらいですね。上限については安定しておらず120ぐらいの方もいらっしゃるようなので今のところはなんとも。」
さすがに駄女神さんと事前協議をして召喚しているからか召喚経験があるからかこっちが聞きたいことは大体説明してくれるみたいだな。
「ステータスですが上からS,A,B,C,D,E,Fになります。Sで伝説級、A最高峰、B優秀、C良、D可、E悪、F無です。尖りはないですが悪くはないですね。
レベルアップや特殊な装備で上昇する場合もありますので期待できますよ。」
「明確な数値化等はできないということは大雑把な目印ぐらいの気持ちで良いですかね?」
「細かく分ける基準はたとえば筋力ですが丸太を刃を潰した模擬刀で両断するだとかでB+、B、B-など分けることもありますが、基本的には目安ですね。ステータスを表示するより実際に何かさせるということが多いですから。」
「続きまして、その下の保有スキルと特殊スキルですが、保有スキルは後天的に身に付いた物が主で、特殊スキルは先天的にある物又は勇者様の神よりお借りした天恵スキルになります。先ほど説明した見えないスキルというのが特殊スキルですね。
本来保有スキルは本来勇者様は持たないで召喚されるのですが……。」
なるほど、7つも既に持っている自分は相当な異端なんだな。説明はしたほうが良さそうだ。あらぬ疑いを持たれて一人投獄エンドは避けたい。
『まぁされましたらすんなり出させてもらうだけですね、正面から。』
『1人じゃなくて3人だから寂しくないよ!』
響く声はスルーだ。どうやって出る気だとか突っ込んでいたら日が暮れる。
「確かに。こちらに来てから手に入れたものですね。前4つが白沢さんの治療時に、後の4つは教皇様がいらっしゃった際の探知時に得ました。」
するとフォスラ教皇のおでこの辺りが赤く光り始め、だんだんと翼のような形に光が変形しだす。アホ毛の輪が合わさり本当に天使に見える。羽の位置がおでこだけど。
「…おそらく特殊スキルの効果ですね。【 知半能】。ほとんど読めなくなってますが、相当強い能力が弱体化したもののようです。
【イマジナリフレンド】の方は長い時間を掛け魂を創り出すようですね。既に二魂もできていることを考えるにこれは三夜沢さんが生来持っていたものでしょう。」
そうか、多分あの時女神様『アミナスですよ~』……アミナスさんが押し込めたのがおそらく【 知半能】だろう。やっぱり強引に入れたせいで歪んでしまっているようだ。
待てよ。4分の1ほどまで歪んだ状態で【 知半能】ってことはアミナスさんもしかして【全知全能】を入れようとしたのか?
イマジナリフレンドの方は……生まれ持って……前の世界から?……ティオ?ラナス?…あ。ああああああああああああああああああああああああ!!!
『思い出してしまったようですね、黒龍神様。いえ、蒼碧の狩人様の方が良いでしょうか?
あっもしかして機械仕掛けの地獄様がいいですか?そういえば神祖のヴァンパイアロード様でもありましたよね。』
わかった。俺が悪かった。完全にその頃の所業とひとまとめてにして忘れてしまっていた俺が悪かった。悪かったから、できる範囲で何でもするからそれ以上黒歴史を拾い上げるのはやめてくれ。止めて下さい!
マズイ。非常にマズイ。今この場で頭を抱えて地べたに這い蹲ろうか非常に悩む。今から頭を打ち付ければ消えないだろうか。
『ニャーは白狼がかっこよかったと思うよ!あと三つ首の獅子!』
よし、ラナスお前覚えてろよ、もし殴れるようになったら一発顔にお見舞いしてやる。絶対に許さん。何があっても二度と忘れん。
さっきまであった恥ずかしさを全て怒りに変換することができた。ありがとうラナス!さよならラナス!
『うー、ニャーの扱いが酷ーい!』『元からこんな感じだったでしょ姉さん。』
そうだ、元からこんな感じの扱いだったぞ。ま、忘れていたのは本当に悪かった。よく思い出そうとするとドス黒い最悪の過去が浮かぶからしっかりとは思い出さないが。
『これからは放置されていた分もまとめて相手してもらいますからね。それにしてもようやく言えますね、おかえりなさい、ご主人様。』
『おかえりっ!主様!これからの生活を楽しみにしてろよ~?』
あぁ、ただいま。
でも、この温かさはしっかりと覚えている。荒んでいた頃の一番の友達。ずっと一緒の絶対に分かれない友達。
再開を終え、回りに意識を向けなおすと心配そうな顔がわらわらわらと並んでいる。これは気まずい、何の話をしていたんだったか。
「す、すみません。ティオとラナスと少し話をしていました。」
「いえ、大丈夫ですよ……アレとの会話には完全な防諜が効くようですね。」
今は聴覚強化のおかげもありすごい小声での後ろの部下の報告しても聞こえてしまうんだが。まだ俺に対しての認識は全くわからない人間だから多少過敏になっても仕方ないか。
「【イマジナリフレンド】についてはそれなりに説明が表示されましたが、【 知半能】については所々がグチャグチャになっていてほとんど読めないのですが。何かわかりますかカズアキ様。」
フォスラ教皇がたずねてくるが、ほとんど俺にもわからない。何か知ってるか?
『そちらのほうは私達の範囲外なのでよくわからないですね。』
『そのままあったことを報告するしかないんじゃないー?』
やっぱりそうか、なんとなくそんな気はした。半分ぐらいあのへっぽこのせいだからな。
「これという使い方はわかりませんが、そうしたいと願った時にそれに付随するスキルが手に入るようですね。そうですね…。」
『この世界には4種の基本魔法(火風水土)と光と闇と無の三神魔法があるようです。
見た目重視なら基本魔法の混合。わかる人にわからせるなら無の魔法でよろしいかと。いかがでしょう、ご主人様。』
『【魔力変換:火】【魔力変換:水】【魔力変換:風】【魔力変換:土】【魔力変換:光】【魔力変換:闇】【下級魔力合成】を取得しました。』
うん、必要そうなスキルが全部揃ってしまったな。あれ?無の魔力変換はないのか。
『無に関しましては全てを均等に反発増幅させた魔法なので上位スキルに当たります。おそらく半能では取れないのではないかと。』
やっぱり無理やりな搭載はダメじゃないか。まぁいい、無いよりはるかにマシなのだ。さてやはり見た目重視で見せたほうがいいだろう。
【魔力操作】発動!……あれ?意外と難しいな。感覚的には見えない手で魔力でお手玉しながらおにぎりのように形を握って具を入れ整えるような。
『はぁ、やーっぱりニャーが助けないとダメダメじゃん。ティオ、火水はニャーがやるよ。』
『はい、私が風土の変換をやりますので魔力操作に集中してください。』
そんなことまでできるのか、助かる。これは、とても楽だ。
俺はただ見えない手で魔力お手玉するだけで整えるのは全てラナスとティオがやってくれる、というかお手玉も回す速度が半分以下になっている。
言っていないだけで魔力操作の補助もおそらく二人がしてくれている。これなら発動できそうだ。体の回りを横に回転するように放出した。
「これは……火、水、風、土。基本の4属性全てを初めてで同時に使えるんですか!?」
ティオとラナスってこっちの世界基準でも規格外なことしてんだなやっぱり。ところでいくつぐらいまでなら並列が可能なんだ?
『そうですね……やろうと思えば1人で使用スキルなら8個まで、魔法自体はスキル無しで4つまで並列で使えますね。』
「ティオとラナスで合計16個まで同時にスキルが使えるそうです。魔法なら8つまでいけるそうです。」
「やはり召喚された者の能力は規格外ですね。」
さて、自分の周りを浮遊させている4色の球を2つずつに分け火と土、火と風、水と風、土と水で互いに混ぜ合わせる。
土と水を混ぜて作った緑色の球を発動させる。……どうやるんだ?投げれば良いのか?
『イメージして投げる。またはイメージを言葉にして発言してください。言葉にしたほうが一応楽ですし、不発はありえません。』
『カッコよくキめてね主様!』
『おうよ、緑の偽体!』
すると自分の周囲から離れ3体の葉で出来た1.5mほどの人型が現れた。1体に対して1魔法でいいだろう。
『灼熱の拳』 『マイクロボム』 『凍結の棘』
3つの球が同時に飛び出し3体の的に命中。
1体は命中部分が高熱で解けたように、1体は命中した瞬間に爆発し胴体を吹き飛ばした、1体は胴を氷の棘に貫かれ腕や足の辺りまで凍結していた。
「これはまさか……融解、爆発、氷結、樹木魔法?」
「まぁこんなところですね。もう一度ステータスを見てもらえばスキルが増えていますので確認を。」
魔力を放出して風にし散ったものも含めて葉を手元に集めてそのまま腕輪に吸わせた。さすがにこれだけ散らかしてはい次。というわけにはいかないからな。
目に見える広間全員がステータス画面を見る。壁際の兵士達も視線がステータス画面に向かっている。姿を消したままの人達はおそらく俺達を見ているに違いない。
なぜかって?視線が多く当たっていると俺の第六感が『【第六感】を取得しました。』・・・・・・そっかぁ、スキルであるんかぁ。
「どれ、おぉ確かに。いやはや勇者様には毎度のことながら驚かされますな。」
「毎度と言いますと、それほど頻繁に来訪するんですか?」
「いえ、今までの勇者様の活躍は伝記になっておりまして直近で約50年も昔の話ですよ。」
この世界の製造者はずいぶんとアレな神のようだ。この世界バージョンいくつだよ。まぁ駄女神だしなぁ。
「では次に白沢様お願い致します。」
「はい!」
まぁ俺のステータス紹介は何とか無事に終わった。
新田くんと庭谷さんの元に戻るときにやたらハイテンションな白沢さんにハイタッチを求められた以外は多分。
ラナス『さーて次回の「帰れない」は~?』
白沢「はい、私白沢のお話になります。」
ティオ『ちょっと待ってください。今日は私の台本の日ですし、
ここ一応ご主人様の精神世界なので来られると色々と不都合がですね。』
白沢『じゃあこういうことで良いわけですね。
これでここにたまには来れるということでいいんでしょうか?』
ラナス『やべーよティオちゃん。
この章終わったら消える奴がチート使って精神入れてきやがったよ。』
ティオ『姉さんも酷いネタバレするのやめてくれませんか。』
白沢『一応前日譚からステータス説明までになります。』
ティオ『貴女もです。早く出てってください。』