第2話 頭の中ですんなり割り込むお前は誰なんだ
文脈がおかしい部分、誤字等は教えていただけると助かります。
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2017/4/26 第5話との整合性をとる為、登校中を下校中に変更しました。
とりあえず落ち着け。頭の中で何度も唱えながら回りを確認する。
大広間。奥側3分の1程の場所に階段があり、昇った先には玉座が2台。
年配のひょろっとした如何にも王という真っ白なひげを生やした全体的に色素の薄い男性が一人座っている。片方の玉座は空席になっていた。
玉座の脇にはやや白がかった短金髪の赤い衣を着、腰に細長い剣を携えた男が一人。多分王子だろう。
広間の残りの3分の2の場所には地面に大きな魔方陣。そして魔方陣の外円に16等分するように一人を除き灰色のローブを着た者が立っている。
そして魔方陣の中心部分に俺以外に男が1人、女の子が2人。制服を着ているところを見るとおそらく学生だろう。
何が起こったのかわからないという顔でいた。多少女神さ『アミナスです~』……アミナスさんから説明されたとはいえ俺も同じような顔をしているだろう。
左右の壁に騎士姿をした人が計8人ほど等間隔におり、全員がそれぞれの獲物に手をかけていた。
玉座側奥に扉が一つ、玉座側とは反対側に扉が一つある。いざという時は全力で駆け出せばギリギリ届くだろう。弾丸のような速さで飛ぶものがなければだが。
……こういう世界って人が弾速並みで跳ぶよな、脱出は無理そうだ。
あと召喚された時のお約束をやっておくか。
『 ス テ ー タ ス オ ー プ ン !』
頭の中でやってみたが何も出てこない。小声で呟いてみたがやはりなにもでない。ステータス画面なんて便利なものはさすがにないのか。自力で数値化できれば相当楽だったんだが仕方ないか。
あれやこれや試そうとすると16人のローブの人の中で1人だけ赤と金色の煌びやかなローブを着た正面にいた男性が話しかけてきた。
「ようこそ、異世界の勇者様。私はエンテ・ボルシュ。エルツ王国宮廷魔術長をしております。こちらは女神様と話し合いの元で召喚しておりますので皆様の状況を大体は把握しております。
ですが、皆様は魔力量や資質によって選ばれた見知らぬ方々ですので今後のことも考えると勇者様方で少し話し合いをされた方がいいでしょう。」
胡散臭い金髪イケメンだと思ったが早口女神と話し合い済みという言葉が胡散臭さをいっそう増している気がする。
しかし、話し合いは大事だ。こんな大人数に囲まれた状態で見知らぬ人と自己紹介は流石に気が引けるがやらないわけにはいかない。
「うし、パッと見最年長みたいだから俺からするぞ。」「よろしくお願いします。」「…はい。」「……。」
明るい茶色のショートポニーでキリッとしたそこそこ高めな背丈の女の子と黒髪ロングのなんか高貴そうなしゃなりオーラが出てる女の子は声で返事をするが、中性っぽい童顔な男の子のほうはまだ理解が追いつかないのか首で肯定してきた。
「俺の名前は三夜沢 和晶。21歳一応社会人だ。あー得意なことはないが大体のことはできる。女神……アミナスさんにここへつれてこられた。とりあえずステータス画面は出ないようだ。よろしく。」
簡潔にまとめればこんなものだろう。そのまま次にどうぞと促すためにショートポニーのほうを見る。が、怪訝な顔をされた。他の二人もである。
「わ、私は庭谷 優花。暁徳高校2年の17歳…です。私達も女神様に助けられてここに。え~得意なことは体を動かすことですね。」
どうぞ。と右手をだし隣の高潔女子へまわす。
「同じく暁徳高校3年の18歳、白沢 天音と申します。よろしくお願いします。あまり動くことは得意ではないですね。」
さあさと庭谷さんの動作を真似るように隣の小さめな男の子に流す。
「俺は新田 大輝。暁徳高校2年の16歳。自分たちは下校中に女神様に助けられたんです。三夜沢さん、よろしくお願いします。」
簡潔にまとまった内容だ。そして同じ高校名、近い年齢で且つあまり各々を知らない仲でもなさそうな雰囲気。
「あー…もしかして俺以外全員知り合いだったり?」
「そうですね。ちなみに全員幼稚園からの幼馴染だったりもします。」
マジかよずっと幼馴染と一緒とかあるのか。新田くんは両手に花で登下校ですか。そうですか、よし爆発しろ。
あ、いや魔法陣のある異世界で言うと冗談にならないか場合があるな。
「あっちなみに一応言っておくが職業はニートでなく、便利屋だからな。」
これを間違えられるのは流石に心に来る。まぁ依頼がない時は働いてないわけだからニートといわれても仕方ないが。
「「便利屋?」」
「便利屋さんって何をされてるんですか?やっぱり探偵さんみたいなこととか?危ないこととかもされるんですか!?」
庭谷さんと新田くんはその場で首をかしげるように白沢さんだけ何故か目を輝かせて矢継ぎ早に聞いてきた。
さっきまであったしっとりオーラどこ行った。
「そうだね……探偵業のようなこととか家庭教師とか代理で調理場に立ったり、タクシー代わりとか色々やったなぁ。
1回だけ港に呼び出されて危なかったこともあったよ。」
よく考えたらやり始めてまだ3年ぐらいなのによくもまぁ巻き込まれたもんだ。
「すごぉい……本物だぁ……。」
すっごい食い気味にその豊かな山が揺れるのを気にせず跳ねながら近づいてきた。それこそ今すぐ抱きついてきそうなほどである。
これを直視していると気付かれてはいけないとか何の拷問だよこれ、夢の中だからガン見しますけどね。
「……あーあ。」「……まーた天音姉の悪い癖が」
幼馴染ーズが頭を抱えがっくりとしている。またってなんだよ、悪い癖ってなんだよとうっかり口をついた庭谷さんを見ると
「聞いたことはあるけど実際に見たことのないモノが好きなの。かーなーり箱入りで育てられててね、その人。
学校終わったら私と大輝はよく遊びに行くんだけど、天姉はお迎え車で直帰して家で色々とやってるらしいわ。」
「……つまり、俺は白沢さんにとってツチノコか何かと一緒なのか。」
なるほどぐるぐる周囲を回りながら全身眺めているのはそういうことなのか。
「少し失礼します。」と言い左足に後付したポーチを見ようとしている白沢さんを流しながら、そんなに便利屋っていないか?と頭のなかで疑問に思った。
『大変珍しいかと思います。大体なんでもするなんて職業あの現代には合いません。
危ないものにも首を突っ込み何度綱渡りをしたことか。やはりまともな職種に付きどこかに特化するべきかと。』
は?誰だ今のリンと鈴がなるような澄んだ声。若干幼い感じがしたため少なくともこの辺りにいる奴ではなさそうだ。
おかしいと思いながら辺りをキョロキョロしてもわからない。ここ来るまでに色々ありすぎて精神的疲労からの幻聴か。
「皆様そろそろ自己紹介はよろしいでしょうか。」
ボッシュさんの呼びかけに4人とも顔を揃えてから応えた。白沢さんは少し口惜しそうな顔で探ろうとした俺の脚部ポーチから手を離していたが。
「では簡単にこの世界のシステムの説明をいたします。
その後は王宮内にて宿泊していただき、明日には出発していただきます。
勿論この世界の説明もしなければいけませんので最初の一月はこちらから一人その道のプロを派遣いたします。」
明日には出発ということは相当切羽詰っているな。まぁおそらく断れる状況にはないので外界に早く出れるならよしとしよう。
「今日は大切な二つについて。我が王国の誇る魔術の成果とスキルの説明です。」
「まずこちらの宝石を腕に当てていただくと装着されます。できましたら頭の中で『オープン』と言ってみてください。ある程度適正があれば開けるはずです。」
そういうと4つの宝石をトレイに載せたローブの人が近づく。一つ受け取りボッシュさんと同じように手首に当ててみると宝石から銀色の金属が延び腕に巻きついた。あとは
『オープン』
あっさりと目の前に薄っすら透けている画面が表示される。なにやら素材と素材を組み合わせるように○×○と書かれた札が大量に並んでおり、指でなぞるとそのままスクロールできた。
「これが魔術画面」
新田くんは色々試しているようで横についているタブを押している、というかこの画面他人からも見えるのか。
「ふわあぁ…」
白沢さんがとても見せられないようなとろけ顔をしている。アレは本当に大丈夫なのか?さっきまでのゆるふわ美人という評価はもう既になかったことにされている。
少し聞こうと思い庭谷さんを見るが別のことに手一杯なようだ。
「…え?何もでないんだけど。……このっ!開け!開きなさいよ!……よし!」
困惑しながら手に何かを纏いながら空中を思いっきり殴っていた。なんで空中からビシビシ音が鳴るのだろうか。ともかく開いたようなので見なかったことにしておこう。
「さすが勇者様ですね、魔術関係者でも試運転では半分ほどしか開けないのですが。」
『私のご主人様ですから、当然ですね。』
頭の中ですんなり割り込むお前は誰なんだと。周りには聞こえていないようだし。
「魔術画面ですが物をそのまま入れることができます。生物は収納できませんが、屍骸でしたら入れられます。人も同様です。
一度魔術画面に入れたものはそのまま出すことができなくなりますが、調合等した精製品の取り出しは可能です。
要らない物は左上の×マークに持っていくと消滅します。」
収納箱としては使えそうにないな。調合するための物やどうしても持てない素材になりそうなものを入れよう。
「その名のとおり魔術画面では調合だけでなく魔法の行使とは別に魔術の行使をできます。調合画面をひっくり返すイメージで触ってください。」
ひっくり返すイメージといわれたので手のひらをくるっと回した。すると裏面に使用できる魔術が並んだ画面がでてきた。
「触ったまま動かして順番を入れ替えることができますので使用率の高い魔術は上に動かしておくといいでしょう。」
ずらっと並んでいるが文字が暗くなっているものもありこれは使えないものを指しているのであろう。
大半が使えないようだがレベルアップで使えるようになるのか。
「魔術画面でスキル確認もできます。『スキル表示』と念じれば出ますのでのちほど確認してみてください。」
なぜ後ほどなのか発言しようか考えていると別の地味なローブの人がふわふわと目の高さで浮いている青白い球体を運んできた。
「ステータス表示珠と言われる神器です。なんでも200年ほど前の大飢困災の召喚で現れた勇者様がお作りになったとか。」
召喚をしたことの前例があるのか。普通一回こっきりにしませんかね。
ティオ『増える、増える、増える。キャラにスキルに設定に。世界が動けば、話も増える。』
謎の美女X『自分につけられそうだった残念美女属性をこの人に搭載させればキャラ被りを避ける為に私にその属性は付かなくなるはず!』
ティオ『だからこそ頼れるお姉さんポジションを目指して、暗躍する。』
謎の美女X『次回「登場」!』
ティオ『今回の後書きシナリオ書いたの姉さんでしょ。』