14・予言
コサカ女史は白いコートを纏い、フライドチキンの入った紙袋を片手に波止場を目指す。
ジーンの乗船、高速貨物船『韋駄天』が停泊している区画へと入る。
……珍しく船が少ないわね。
内心、呟きつつ、コサカ女史は波止場を歩く。
この波止場は筒状の細長い通路だ。通路には等間隔で船と接続するための伸縮式の橋……ボーディンブブリッジが設置されている。
普段は騒がしく人も多いのだが、今日は閑散としている……アスタロスが騒ぎを起こしたので、野次馬しに船を出したのかも知れない。
とは言え、自船からの観測より、中継点からの観測の方が詳細な情報が得られるはずだ。
……つまり、船乗り達は、天道中継点の観測機器を信用してないわけか。
内心ぼやき、そして溜め息を吐く。
持ってきたフライドチキンはジーンへの手土産だ。
直接、会って話がしたいと伝えた際、『食い物、持ってきて』とのジーンの言葉に応えたのだ。
毒を盛られるって事は、考えてないのだろうか?
そうは思うが、それだけ信用されていると言う事だろう。そう自分を納得させつつ『韋駄天』へと向かう。
高速貨物船『韋駄天』は、一世紀の船齢に見合う、年季の入った船である。
船穀には、無数のデブリとの衝突を窺わせる凹凸が、そこかしこに付いていた。だが、船に見られる傷みは、その程度だ。働く船には付き物の傷で、船自体は大切に使われている事が覗えた。
『韋駄天』は波止場の一番奥に停泊している。
二ヶ月ぐらい滞在するとのジーンの言葉に、長期間滞在するなら邪魔にならない場所にと、奥まった場所が割り振られたのだ。
その波止場の一番奥で、ジーンは肩に黄色いジャケットを肩引っかけた状態で、なにやら店開きしていた。背中に描かれているのは、真っ黒な熊のシルエットである。
細長いケースに、口が開いた工具箱が幾つか……だが、工具箱が必要になるような機械は置かれていない。
「アナタの船は貨物船……船内に場所ぐらいあるでしょ」
『韋駄天』は到着後、積み荷の大半を降ろし帰りの荷物は、まだ積んでいないはずだ。何より『韋駄天』の格納庫は与圧されていた……つまり空気があるのだ。だから、あえて船外で店開きする必要は無い。
「女性の気を惹くためにプレゼントを……そう思ってね」
ジーンの言葉に、コサカ女史は妙な違和感を感じる。
情報を引き出すために色仕掛けを行った事があるが、その時のジーンは『故郷に五人のお手つきさんが居るから』と、自分に興味など示さなかったのだ。
「アタシの気を惹きたいなら、アナタ自身が持ってる情報が一番なんだけど、その気は無いでしょ?」
ジーンが自分の身体を望むなら、応じても構わないと思っている。
籠絡できるとは思っていないが、『予言者』ジーン・オルファンとの関係を強化できるのであれば十分なメリットに繋がる。
コサカ女史の言葉に、ジーンは楽しげに笑う。
「大丈夫とは思ってたけど、一応、確認したかったんだ」
そう言いつつ、ジーンはコサカ女史の前に立つと、その頬に触れ、肩に手を置き……そして突き飛ばした。
直後に銃声。
いや、着弾音である。すぐ横の壁には、潰れた弾頭が張り付いていた。ジーンが突き飛ばしていなければ、頭を撃ち抜かれていたかも知れない。
ジーンの目の前で自分を殺す……つまり、ジーン・オルファンに対する示威行動であり、そもそも連中にとって自分は大して価値はない……そう言う事だ。
そして、ジーンは自分の反応を観察していた。主に緊張具合を、である。
「アタシと連中がグルじゃないって、確かめた?」
つまり、そう言う事だとコサカ女史は判断したのだ。
その言葉に、ジーンは笑うだけで応えない。
ジーンが、かつてクルフスの出先機関に属していたという情報は持っていた。そして、今のジーンが帝国のために動いているらしいとも推察している。つまり、ジーンが二重スパイであった可能性にも気づいていた。
事実であるならば、クルフスとしてはジーンを捕らえたいとは思っていただろう。だが、今の天道中継点にクルフスの出先機関はないはずだ。そう思っていたので、安心していた。
「銃声を伴わない拳銃となるとコイルガンか。弾頭は軟鉄ね……」
コイルガンとは、銃身上に配置したコイル状の電磁石でもって、鉄の弾丸を吸い寄せ加速、発射する銃砲を指す。
弾丸の速度を音速以下にし、弾頭が周囲の空気を振動させないよう圧抜きなどの対策を講じれば銃声を伴わない射撃も可能である。
冷静に状況を分析しているジーン。その視線を追うと、体格の良い五人の男達が姿が目に入った。
……全く気づかなかった。
コサカ女史は、内心呟く。
だが、ジーンは気づいていた。だから、自分を庇う事もできた。
只者ではないのは知っていた。腕が立つ事も予想していたが、弾道が読める事までは予想外である。
「はい参った、降参降参……」
感心するコサカ女史を尻目に、ジーンは気楽な口調で両手を挙げる。
「手足を撃ち抜き動きを封じろ。ジーン・オルファンは全身凶器の化け物だそうだ」
流暢な日本語ではあるが、纏った雰囲気はクルフス軍人のそれに近い。恐らく、クルフス内の日本語圏出身者で構成されたチームなのだろう。
「銃弾より、一瞬早く光の礫が飛んでくる。それを避ければ、銃弾が通り過ぎてゆく」
どこか小馬鹿にしたようにジーンは言った。
言い終わると同時に一人が発砲。それをジーンは事もなく躱す。
それと同時に、男の手の中から拳銃が飛んでいった。そしてジーンの手には、長い鎖で繋がれた大きめの懐中時計。
……時計鉄鎖術。
恒星船乗りが使う護身術の一つで、鎖付き懐中時計を武器として扱うのだ。天道中継点でも、専用の懐中時計は売られているが、ジーンの物は特に鎖が長い。
一人が銃を飛ばされたが、男達は怯まない。
残りの四人がジーンへ向けて発砲する。
が、ジーンは銃弾を羽織ったジャケットを翳して止めて見せた。
ライフル弾すら遙かに超える速度で飛来するスペース・デブリ、そのデブリから身を守る為に作られたジャケットである。音速前後の拳銃弾なら十分止められる耐弾性はあるのだ。
怯んだのか、男達に一瞬の隙ができる。ジーンは、その隙を逃さなかった。
まず、一人の男の頭が、不自然に陥没し崩れ落ちる……懐中時計の一撃を食らったのだろう。次にジーンが踏み込むと、もう一人の男の身体が宙に舞った。
姿勢を乱し、投げ飛ばしたのだ。
投げた言っても一メートルに満たない高さだ。すぐに地面に倒れ、直後にジーンの足が踏み降ろされる。
自らの体重を効率的に使った、胸を狙った一撃だった。
アバラが砕け、恐らくは肺と心臓が破裂している……即死である。
一瞬のうちに二人が殺られたが、男達は戦意を失ってはいない。
一人が隠し持っていたのだろう散弾銃でジーンを撃った。
それまで剥き身だったジーンの手首から先が、一瞬のうちに黒い生地で覆われる。
広範囲に細かな弾をバラ撒く散弾だったのだろう。さすがのジーンも躱しきれず食らったようだ。
懐中時計の鎖も切れ、切り離された時計は、明後日の方向へと飛んでゆく。
だが、よろめきはすれども掠り傷のようだ。ジーンの動きは止まらない。その身体を覆うボディスーツは無傷である。
二射目もジーンを掠め、三射目は身体を直撃である。が、ジーンは倒れず間合いを詰め、相手を間合いに捉える。
次の瞬間、ジーンの踏み込みで周囲の空気が震えた。
ジーン・オルファンは、全身を用い、極めて効率的に力を紡ぎ出していた。その紡ぎ出された力は、ジーンの右の掌底……掌の下部に乗せられ、そして男の身体を直撃する。
その一撃を食らっても、男は微動だにしない。動作を終え、隙だらけのジーンが目の前にいるのに、である。
「奥義『真・二打不要』……」
ジーンは呟くように言った。
その言葉と同時に、男は鼻血と血の涙を流し、そして血反吐を吐き出して崩れるように蹲った。
見たところ、呼吸も止まっている。
「化け物かよ……」
無事な二人も、明らかに腰が引けていた。
無理もない。十秒に満たない間に三人が倒されたのだ。
「悪いけど、生きて帰す気は無いよ?」
そう呟くと、床に転がった細長いケースを蹴り上げる。
跳ね上がりつつケースは開き、中から一降りの日本刀が飛び出した。
そしてジーンは、二人に見せつけるよう刀を抜いた。直後に刀身が紫電を帯び、金臭いオゾン臭が漂う。放電により空気がイオン化し、オゾンが発生しているのだ。
「脳が無事なら情報は引き出せる。身体は殺しても構わんっ!」
男の一人が叫ぶ。
脳死の前に、生命維持装置を取り付け脳だけでも生かすのだ。万全には程遠い、この状況下では確実に脳に障害が出る。だが、敗走するよりまし……そう考えたのだろう。
ジーンと二人の間合いは十メートルほど。少なくとも刀の間合いではない。
一人がジーンに向けて立て続けに発砲する。
その銃弾を、ジーンは刀で悉く止めた。
発砲と同時に、着弾箇所から刀身が帯びた紫電が広がり舞うのだ。だから、ジーンが刀で銃弾を止めたのだと認識できた。
だが、着弾の音も、跳弾の音も一切しない。
どうなっているのか、統合科学者であるコサカ女史ですら見当も付かないのだ。
「分子振動刃『呑龍』……刀身に触れた物質の固有振動数に合わせ、対象を分子レベルまで分解する……銃弾だって例外じゃない」
コサカ女史の疑問に答えるかのように、ジーンは口にする。
「刀でレーザー銃に勝てるかっ!」
男の一人が、銃口をレンズで覆った銃を構える。
形状から察しレイガンだろう。
引き金を引き続ける限り銃口から極細のレーザーを照射し続ける銃で、照射点は瞬時に一千度近くまで加熱される。
つまりレイガンとは、容易に人体を焼き切る事ができる強力なレーザーを発する銃である。
「うん無理」
おどけたようにジーンは言うと、床に転がした工具箱を刀で両断した。
爆音と同時に工具が飛び散り、同時に銀色の紙吹雪が盛大に舞い散った。あの工具箱の中に仕込んであったわけだ。
この紙吹雪、その正体はコサカ女史も知っていた。対レーザー防御用の攪乱幕である。
一枚一枚が特殊な鏡面処理を受けており、光を、ほぼ百パーセント反射する。
つまり、この紙吹雪の中にレーザー光線を打ち込んだ場合、鏡面によってデタラメに反射され直進せず、同士討ちの可能性すら出てくるのだ。
故に、この攪乱幕を使われた場合、レーザーは危険すぎて使えなくなる。
それとは別に、単純に視界を遮るという効果もある。
ジーンも、男達の姿や、発砲の兆候を詳しく掴めなくなるのだ。
だが、ジーンにとっては想定内なのだろう。攪乱幕に怯んだ男達を尻目に、どこからともなく短い筒を取り出すと、その先端のキャップを指で弾き飛ばす。そして無造作に腕を振るった。
ジーンの手にある筒から、一瞬だけ紫電を纏った糸が伸びたように見えた。その先端は、先程、弾いたキャップに繋がっている。そして、その紫電を纏った糸は、男達の身体を通り抜けた。
次の瞬間、男達の身体が上下に両断されていた。
二人は声もなく崩れ落ち、血と糞尿、そして胃液の臭いが充満する。両断された男達、その身体の中にあった物の臭いである。
コサカ女史にも、ジーンの使った武器が理解できた。
高速振動鞭……クルフスでの通称はレーザー・ウィップ。電流を受ける事で微細な振動を起こす極細のワイヤー……それを用いた鞭である。通電中は、微細な振動により常に摩擦が生じるため、触れた物を切り裂く極めて鋭利な刃物となる。つまり剃刀の切れ味を持つ鞭なのだ。
振動鞭は軍の特殊部隊が使う武器で、一般は疎か軍隊内でも、ほとんど出回っていない。連携が重要な集団戦闘では極めて扱いにくいためである。
「クルフスとしても非公式の行動だろうし、この一件は表沙汰にしたくないと思う。だから、痕跡を消して知らん顔しとけば何も言ってこないよ」
そう言いつつジーンは無造作に振動鞭を振るう。
一瞬遅れて、看板が二つに割れた。その陰からは、腰を抜かした二人の男の姿……
いずれもコサカ女史の知っている顔だった。
二人とも、女史の部下である。
ジーンをクルフスに売るついでにコサカ女史も始末しよう、そう考えたのだろう。
あるいは、自分の始末の方が優先順位は高かったかも知れない。だが、どちらであっても同じ事だ。
「そうね……上手く後始末できたら、今回の一件は不問にしてあげるわ」
冷めた目で二人を睨むと、言ってやった。
この程度の事で取り乱すほど『魔女』の神経はヤワではない。今なお、正確に情報を分析している。
あれだけの騒ぎがあったのに、周囲からは悲鳴一つ聞こえてこないのだ。
状況から察し、今、この区画にいるのは、彼らの息がかかった後始末要員だ。今、周囲にいる者達の大半は、人間ではなく人間を模した機械人形だろう。なら、何事も無かったかのように始末を付ける事もできる。
これだけ大がかりな準備で挑むという事は、自分が属す組織以外も関わってきている。今回の彼らの失敗を利用し、より足場を固める事はできる。が、今以上に足下を掬おうとする者が増えるはずだ。
そして、この二人の裏には、間違いなく黒幕がいる。
コサカ女史は、大きく溜め息を吐く。
十数年後、自分は失脚し、天道中継点を去る事になる……ジーン・オルファンの『予言』であり、恐らく正しいだろう。
ならば、失脚させられる前に、自ら去った方が得策かも知れない。
「ジーン……アナタは、わたしの失脚を予言していたわね?」
「失脚後の方が、人生楽しんでる気配があるかな……僕の知ってる未来ではね」
ジーンの言葉に、コサカ女史は自分が人生を楽しんでいるか考えてみる。
サイレンの技術に触れて以来、自分の人生は楽しくなくなった。正しくは、ディアスがサイレンを見限ってからである。
ディアスが、そして天道中継点がサイレンの援助を断った関係から、サイレンとの繋がりは断たれた。その結果、現在のディアス・ネットワークによる情報だけの遣り取りではなく、気軽に人が恒星間を行き来できる時代、それを造り出す事のできる技術が得られなくなったのだ。
だが、他の幾つかの宙域には、サイレンの残党が降った。その宙域は、サイレンの技術を我が物とできるのだ……つまり、空間跳躍技術を持つ、そのトップ集団から、自分と自分の属する天道中継点が脱落したと言う事である。
だからこそ、離れた人々を直接繋ぐ恒星船の研究者から、統合科学者への転身を図ったのだ。人類史に名を残す、大きな事を成したい、そう思っていたから。
現在、統合科学者として小さいなりに組織の長になったが、今の自分は人生を楽しんではいない。実際、その立場について思ったが、そもそも自分は組織の長には向いていないのだろう。
コサカ女史は、再び大きく溜め息を吐く。
「アナタの言う通りにすれば、アタシは人生を楽しめるのかしら?」
そう言いつつ、隠し持っていた銃を取り出しジーンへと向ける……自作のコイルガンである。基礎技術さえあれば、誰でも作れてしまう簡単な銃だ。
ジーンによれば、失脚後の自分には楽しめる未来がある。それが事実なら、自分は今、殺さる事はない。
……ジーン・オルファンの『予言』、その真偽を、今ここで確かめる。嘘だったならば、ここで死んでも構わない……そう思ったのだ。
距離は二メートルほど。素人であっても人に当てる程度の事はできる。
ジーンは、高速振動鞭を捨てた。だが、刀は手放していない。
「実弾射撃には反動を伴う。その反動を押さえ込む重心移動から、僕は射撃の瞬間を察知しているわけだ……撃ったところで、避けるぐらいワケ無いさ」
その言葉と同時に、女史は発砲する。
ジーンは、言葉どおり銃弾を避けて見せた。正しくは、射撃の直前に弾道から身を逸らしたのである。
そして、勢いよく振るわれたジーンの手には大口径の大型拳銃……アマツ製の銃で、ビッグ・ヴァイパーという呼称だ。十二番ケージの散弾銃を、大型拳銃サイズまで小型化した非常識な銃である。
銃を抜く動作もあったが、コサカ女史には、まともに捉えきれなかった。
……ああ、死んだ。
そう思ったが、銃声を聞いてもコサカ女史は生きていた。
「僕が知ってる七十年先も、この人は元気に活動中だ……だから、死なせるわけにはいかないな」
振り返ると、胸に大穴を穿たれた人間……否、機械人形が一体。その手には、拳銃が握られていた。
ジーンの一撃で、機械人形は完全に機能停止したようだ。纏っていた立体映像が消え、金属の身体を露わにすると仰向けに倒れる。
汎用サーバントと呼ばれる機械人形で、人間型の雑用ロボットである。立体映像を纏わせる事で人間に化けさせていたのだ。
「つまり、ジーン……アナタは七十年後の未来から来た。そう考えて良いのかしら?」
その問いに、ジーンは笑う。
「口が滑った……忘れてくれ」
追及したところで、ジーンは答えてくれないだろう。だが、信じてみようか。
状況から察し、まだ汎用サーバントは十体以上もいる。だが、コサカ女史は楽観していた。
クルフスの工作員を準備万端で迎え撃った事から察し、ジーンは対策済みのはずだ。
さて、お手並み拝見と行きましょうか。
そう思った途端、ジーンに担ぎ上げられ『韋駄天』へと連れ込まれた。銃は捨てたが刀は高価なのか手に持ったままである。
連れ込まれると同時に『韋駄天』のエアロックが閉まる。直後に爆音が響き『韋駄天』が大きく揺れた。
「何……?」
「証拠隠滅に、あの区画全部を爆破したんだろうね……入り口付近の人間が逃げ出す様子から見当は付くよ。……さっきの二人、切り捨てられたみたいだね」
やはり、ジーン・オルファンは尋常な人間ではない。サラブレッドとして生まれたコサカ女史からして、そう思わざるを得ないのだ。
唐突に押し殺した笑いが漏れる。
このジーン・オルファンの『予言』に、自分の今後の人生を賭けてみよう。そう思った途端、笑いが止まらなくなったのだ。
遺伝子改造による不老化のため外見は二十代半ばで止まっているが、コサカ女史が生きてきた時間は七十年を超える。
今まで運命を、未来を切り開こうと足掻いてきた。しかし、足掻けど足掻けど展望は開けなかった。
だが、ジーンの『予言』で、さらに七十年後も自分は生きていると、失脚後の方が、人生を楽しんでいると言われたのだ。
その言葉で、救われた気がした。
例え嘘であっても、コサカ女史は未来が拓けたと思ったのだ。
ジーン「あの……頼んでた食い物は?」
コサカ女史「ゴメン、落とした……取りに行く?」




