第七章 殺し屋の分析結果
眠い目を擦りながら、明け方にアパートの郵便受けを確認するのが彼の日課だった。
パジャマのまま、投函された新聞を抜き取った寝癖の男は、そこで地面に大きな封筒が落ちるのを見つけた。新聞紙の内側に畳み込まれていたらしい。
それを面倒そうに持ち上げて、差出人が記されていないことに首を傾けてから男はその場でびりびりと開封する。そして、
「……あ、きた!」
まだ完全に醒めない頭で、neutは矢継ぎ早に会社の先輩三人に連絡を入れた。
「郵便受けに、毒物が検出されましたっ」
* * * * *
十月某日、火曜日。
カリフォルニア州都サクラメント市某所。
朝の会社「RedRum」の小さなオフィスには、四人の男が時間通りに集っていた。
オフィス中央にくっつけられた四つのデスクには手前左側から反時計回りにneut、GolGor、Star M、そしてHLuKiがそれぞれ並んで席に着く。
「それじゃ前置きは全部飛ばしますね。成分検査の結果報告の部分だけを読み上げます」
三人の注目を浴びるneutは、ステープラーで丁重に綴じられた紙の束を持ち上げて発表を始めた。
「〝配送されたオレンジの皮、実、種などを徹底的に調査した結果、通常と比べて高濃度の化学薬品を検知しました〟」
なにか考えるようにHLuKiが口元で手を組んだ。同じようにして、GolGorも口元に手を当てる。
「〝検出された化学物質は一般の濃度の農薬のほか、ヴィンブラスミホス。皮の外部ではなく内部に含有されており、注射針等の跡もないことから、恐らく化学肥料に混ぜられていたのではないかと推測します〟」
「肥料だって?」
HLuKiが思わず声を上げた。
neutはその声に得意顔で頷いて、先を続ける。
「〝ヴィンブラスミホスは農薬肥料としての性質のほかに微小管の形成を阻害するはたらきがあり、細胞分裂を妨げて神経障害、麻痺、知覚異常、錯乱、昏睡や性腺障害など多様な症状を齎します〟」
これには三人ともが息を呑んだ。
「劇物って言っても過言じゃないじゃないか」
HLuKiの驚いた声に合わせて、黒い肌に埋まった目を見開いたGolGorが呟く。
「なんだってそんなもん肥料に……」
「あ、それも書いてありますよ」
半ば呆れるGolGorに、neutが答えた。
「えっと……、〝しかし最近ではその性質を応用し、癌細胞の分裂を妨げる治療薬としても注目されています〟って」
「癌……治療?」
Star Mが首を傾げる。
「毒が薬になるのか?」
「なるんだよ、それが」
理解できない、という顔で周りに意見を求めると、すぐに隣から返答があった。GolGorはデスクに肘をついて手の平に顎を乗せ、
「薬学は俺の専門じゃないが……おまえら、そもそも薬と毒ってなにか知ってるか?」
質問したStar Mはもちろん、HLuKiとneutも首を横に振った。GolGorはふん、と頷いた。
「答えは単純だ。薬ってのは〝人間にいい作用をする物質〟。毒ってのは〝人間に悪い作用をする物質〟の総称。それだけだ」
「……えっ、それだけですか?」
neutが目を丸くする。
「もっとこう、科学的な小難しい定義とかないんですか?」
GolGorは、そりゃあ法律上の規制や定義はあるが、と片目を閉じて、
「薬と毒ってのは、要はそれを受ける側の都合で大きく変わるってのが基本なんだよ。例えば人間にはなんでもないモンが他の動物には毒だったり、過剰摂取しない分には薬としてはたらいてくれたりな」
「つまり、タマネギとかモルヒネだね」
「そゆこと」
タマネギには赤血球を破壊する硫黄化合物が含まれており、赤血球数が人間に比べて少ないイヌやネコに食べさせると中毒症状を引き起こす。
またモルヒネは依存性麻薬として有名だが、医療の分野では疼痛の鎮静に用いられることもある。
得心するHLuKiに人差し指を向けると、GolGorは床に下ろしたバッグから缶ビールを一本取り上げて、プルタブを勢いよく弾いてそのまま一口呷った。
かっ、と唸るGolGorは豪快に口元を拭ってにやりと笑い、
「酒は百薬の長、ってのは中国の故事だったか?」
ほか三人を呆れさせた。
neutは自分と、HLuKi、Star Mの前に紙コップを置き、ペットボトルを抱えてオレンジジュースを注いだ。
前回のものとは違う銘柄だった。GolGorは独りオレンジジュースを拒んで缶ビールを喉に通す。
「缶ビールは飲まない主義じゃなかったのか」
Star Mは隣のGolGorに言及する。
「そりゃノンアルコールの薄味だけだ。最近の缶はちゃんと泡立つし、味もうまい」
そう言ってアルコールで喉を潤すGolGorに、Star Mは若干不服そうな顔を見せた。
「……俺はビール飲まない主義なんだが、目の前でそんなにうまそうに飲まれると……参るな」
「なんで飲まないんです? 僕もたまに飲みますけど、おいしいですよ。ビール」
紙コップに口をつけるneutが尋ねると、Star Mは真面目な顔でneutに振り向いてこう告げた。
「だって、ヴァインとかヴィスキーのほうがオシャレじゃないか」
紙コップを握る小指を立てて、Star Mはさも当然そうに指摘した。
「えー……?」
唇を紙コップからゆっくり離して、neutは半眼にStar Mを見つめる。
「そんな理由ですか?」
「そんな理由とはなんだ」
Star Mはちびりとしか飲まなかった紙コップをデスクに置いてneutの視線に応えた。力強い眼差しでneutを見据え、
「ヴァインとかヴィスキーとか飲んでたほうが、夜のバルなんかで絵になるだろ」
「………えっと」
「考えてもみろよ。夜のオシャレなバルでビールなんて注文してたら、なんか下品じゃないか」
「………」
「………」
「………」
銘々に言いたいことはあったが、三人は示し合わせたように口を噤んだ。
これ以上酒の知識披露をStar Mにさせると面倒、というのが彼らの一つの共通認識であり、GolGorに至っては常飲しているものを〝下品〟などと評されて、その口を縫い付けてやろうかと半ば考えているほどだった。
しかし当の本人に無礼の自覚はないらしい。
Star Mの対角で返事に困るneutは、横目でHLuKiに助けを求めた。HLuKiはそれに気づくと、向かいのStar Mが二の句を挟まないうちに、
「……で、どこまで話したっけ?」
無理やり議題を仕事へと戻した。鬱陶しそうにそっぽを向きつつ、
「……薬と毒は表裏一体、ってとこまでだ」
GolGorはHLuKiの言葉を掬った。
「そうだったね。……で、なんで神経障害や麻痺を齎す化学物質が癌の治療に使われてるんだい?」
「……さっきも言ったとおり、薬学は俺の専門じゃねえからハッキリとしたことは言えねえが」
区切って、GolGorは隣でゆったりオレンジジュースを口に含むStar Mをじろりと睨んだ。
「……なんだよ」
「別に。おまえを缶ビールで急性アルコール中毒にでもしてやろうかと思っただけだ」
「はあ?」
GolGorがなぜ険悪な態度を取るのかわからないのだろう、Star Mは頓狂な声を上げた。
「なんだよそれ。気でも狂ったか? もしそうなら、」
「GolGorさん、突っかからないでくださいってば! Star Mさんも! 挑発しないでくださいっ!」
二人の間に火花が散り始めようかというところで、neutが割って入った。
いつかと似たような光景だ。
「ちゃんと仕事の話をしてくださいってば。期限は明日なんですよ?」
「わあったよ。ちゃんと議論するよ……」
GolGorはいかにも億劫そうに手をぷらぷらと振った。
「neut、諌めるのがすっかり板に付いてきたね」
「……コーヒーメーカーになりたくないHLuKiさんは黙っててください」
「ひどくない?」
HLuKiが不満そうな顔を隣に向けた。
そんな二人の様子を眺めながらGolGorは、
「……なんで神経毒が癌の治療薬になるかってことだが」
折りを見て解説の続きを始める。
「それはその物質の基本的なはたらきが、人間にいい影響と悪い影響を与えるからだ」
「……もう少し噛み砕いて言ってくれると助かります」
neutがおずおずと発言した。GolGorは少し悩むように顎に手を当てると、
「つまり、そのナントカっつー物質の基本性質は〝細胞分裂の阻害〟なんだろ? もしその作用が俺らの神経細胞のはたらきまで阻害したなら、結果神経障害が起こるし、逆にそれが癌細胞に働いたなら、そのナントカは癌細胞の増殖を防ぐ薬になるってわけだ」
「ああー……! な、なるほど!」
納得がいったようにneutが大きく頷いた。
GolGorはその反応にフウ、と息を吐く。すると、
「納得がいったよ。ここで、僕が調査してきた結果が役に立つわけだね」
HLuKiがたん、と椅子を蹴って立ち上がった。
注目する三人に自分で編集した文書のコピーを渡し、発表に備えてオレンジジュースで喉を潤す。
「──よし。そこに纏めてあるのは、ラランジェスの働いてる農家のオレンジが引き起こしたと〝されなかった〟食中毒事件の粗筋だ」
「食中毒?」
「……〝されなかった〟?」
Star MとGolGorが食い入るように文書に集中した。neutもそれに倣う。
紙面上には、ラランジェスのタンジェール市へ来てからの労働状況、勤務態度、ラランジェスが絡んだ農産物の売買の記録、そして食中毒事件のことが克明に記されていた。
「ページ二の五行目から見てくれ。四ヶ月前、食中毒で病院に運ばれた男性のことが書いてある。市場で購入したオレンジをそのまま絞ってジュースにして飲んだ数十分後、居合わせた娘の通報によって救急車で運ばれてる」
HLuKiの指定した欄を見ると確かにその旨が、なにかの報告書からそのまま転写したような文面で書かれている。
「原因は長期的な常温での放置、煮沸など消毒の不十分ってなってるけど……、この食中毒を例の化学物質のせいだと考えれば全て納得がいくんだ」
そう言って、HLuKiはいま説明した部分の下方を指差した。そこにはこうある。
〝自宅から押収したオレンジの欠片から微量のブタミホスの類似化学物質が検出。ブタミホスは農薬肥料や除草剤に含まれるものだが、この量ではほぼ無害〟。
その下には〝検出物〟として、多数の玉を枝分かれした線で結んだ化学構造のモノクロ画像が載っていた。
「この注釈なんだけどね。ブタミホスっていう物質だけじゃ無害でも、類似物質のヴィンブラスミホスなら、食中毒を引き起こすかもしれない」
「……なるほどな」
GolGorはneutの元からぱっと検査結果の報告書を奪い取って、ヴィンブラスミホスについての項を探した。程なくして、
「ん、あった」
皆に見えるよう報告書をひっくり返して、太く黒い指で添付された図を指した。
「これ、比較してみろよ」
一目見て、HLuKiとneutの顔色が変わる。
「………あ」
「こ、これって……!」
〝下図 ヴィンブラスミホスの三次元構造参考〟と躍り出た文に続いて、青、赤、白や黒の玉を線で繋いだカラーの図が二人の目に飛び込んだ。問題は、その形。
色や微妙な角度こそ異なるものの、その図はHLuKiの転写してきた画像に瓜二つだった。
愕然とする二人の様子を見守っていたStar Mは、オレンジジュースに口をつけながらぽつりと言う。
「毒リンゴならぬ、毒オレンジだったわけだ」
* * * * *
「ああ、長官殿。おはようございます」
『こちらこそ、おはようございます』
「内務省経由の依頼の受け付けですね。少々お待ちくださ」
『ああ、ええ。それもなんですが……』
「なにか?」
『先日のあの奇妙な依頼、部長殿が受諾なさったというのは……本当ですか?』
「あー……あの件ですね。ええ、本当ですよ。一週間前に、きちんとサインを」
『どうしてです? あんなおかしな依頼を、なんの調査もなしに受諾するだなんて……』
「いいえ、それは誤解です」
『は?』
「私はきちんと情報を集めましたよ。この私の目と足で。その結果依頼内容に納得がいったので、サインをしたのです」
『………いつの間に……』
「それは申し上げ兼ねます。ですが、時間はかかりませんでした」
『…………』
「それで、ご用件というのは?」
『……貴方が貴方の手で調べたというのですから、間違いはありませんよね? もし本件に過失が発見されても、我々には──』
「ご心配なく。サインをした以上、責任はこちらで持ちますので」
『わかりました……。後々厄介ごとになっても、こちらは一切関知しませんからね』
「承知しております。もちろん表沙汰になれば、公的機関のお力添えは請いますが」
『……わかりました。それではInBaさん、依頼の方ですが──』
* * * * *
「課長と話がついた。会議室一個、自由に使っていいそうだ」
内線での通話を終えたGolGorは、受話器を所定の位置に戻して同僚にそう告げた。
「ほんとですか!」
「じゃあ移動しようか」
デスクに置かれた二種類の書類を纏めてHLuKiはオフィスチェアから腰を上げた。HLuKiは床から黒のブリーフケースを拾い上げ、ほか三人もそれに倣って小さなオフィスを跡にする。
オフィスには空の紙コップ三つとひしゃげたアルミ缶が残された。
その一室の広さは、簡単に見積もっても先程のオフィスの五倍は下らなかった。
廊下に面した壁の両端に設けられた扉の横にはそれぞれ同じ観葉植物が植えてあり、その葉はつやつやと輝いていた。
壁にも内開きの扉にも窓やガラスの類いは見当たらない。この会議室の左右に位置する同様の会議室との間を埋める壁も、通常規格よりかなり分厚い設計になっていた。
会議室の中心には輪状の巨大なデスクが空間を占領する。
きっちり等分に十二脚並べられたうちの四つに、GolGor、Star M、neut、そしてHLuKiはそれぞれ腰を下ろす。
四人で使うにはもったいないほどの大型の会議室で、殺し屋たちの議論は続く。
「今まで洗ってきた事実を整理すると、こんな感じだな」
GolGorは書類を置いて立ち上がると、壁際にあった横幅三メートルはあるホワイトボードをふんだんに使って、そこに水性ペンで図を描いた。
真ん中には「Thiago Laranjez」の名前を囲む大きな楕円。そこから四方八方へ黒いインクの線が伸びる。
「ティアゴ・ラランジェスは、タンジェール市の農家で下働きをしてるブラジル移民。栽培しているオレンジに、特殊な化学物質入りの肥料を使って食中毒を引き起こした」
言葉に合わせてGolGorの手が動く。
楕円から伸びた線の先に次々と情報が書き込まれ、更にそこからまた情報が分岐していく。
「この化学物質はヴィンブラスミホス。肥料としての性質に加え、細胞分裂を阻害するはたらきがある。こいつの過剰な摂取は、人体へ悪影響を与える」
「あ……もしかして、僕が撮った写真に写ってたあの肥料がそれだったんじゃ?」
neutが重厚な椅子を蹴って声を上げた。GolGorはふむ、と頷いて、
「その可能性は高いな。HLuKiとStar Mはまだ写真データを見てないだろうが、二つ目の袋から肥料を出す直前、奴は警戒するように辺りを見回してる」
「……不安や後ろめたさのある人間の、典型的な反応だ」
ぼそりとStar Mの解説が加わった。
「だが、それなら食中毒事件のときに化学物質が検出されたのに、原因とされなかったのはなんでだ?」
「え?」
Star Mの質問に、HLuKiが不思議そうな顔をする。
「それは、検出された化学物質が肥料の類似物質だったから……見逃されたんじゃないの?」
HLuKiの言葉に、Star Mはすぐに首を横に振った。
「最近の物性検査はかなり精密で正確だ。特に食中毒なんてスキャンダラスな事件が起こったんなら、原因物質としてその化学物質が注目されるのは間違いない」
「……だが、実際にはヴィンブラスミホスはその名称さえ記されず、検査結果には〝問題ナシ〟って書かれた……そう言いたいんだな?」
ペンの手を止めて、GolGorがその話を拾う。
「そうだ」
Star Mは頷いた。
「それにこの食中毒の報告書の書き方。〝ブタミホス〟だけなら農薬肥料に使われる化学物質だから、わざと〝ヴィンブラスミホス〟って書かなかった、ようにも思える」
「……? つまりこれ書いた人間は、原因物質がわかってて、理由まで説明できる状態だったのに嘘の報告書を書いた……って言いたいんですか?」
「あくまでも勘だけど」
neutが頭に疑問符を並べた。その重みに自然と首を捻る。
「でも……なんでそんなことしたんでしょう?」
「それはわからないけど……。ただ、Star Mのこういう勘はよく当たるから。なにか隠蔽する意思はあったのかもしれない」
HLuKiはStar Mのほうを見ながら同調した。
ホワイトボードに〝食中毒原因 隠蔽された?〟と書き足して、GolGorは一旦ペンを置く。
「ふーむ……。Star M、おまえは裁判記録とかなんも引っかからなかったんだよな?」
GolGorは自分で書いたコンセプトマップを眺めて唸りながら、Star Mに話を振る。
「ああ、ダメだったよ」
溜め息交じりにStar Mは素直に答える。
「少なくともここ三十年の、州裁判所の記録にはなかった。……訴訟記録の全文検索で〝オレンジ〟、〝ホテル〟、〝剥く〟ってキーワード打ち込んでも、めぼしいのはヒットしなかった」
「………あ?」
「しかし会社ネットワークってのはすげえな。たった一時間の手続きで州内の訴訟記録を全部閲覧、検索できちまうんだから」
GolGorの思考が阻害された。
数秒の間をおいて、その首が勢いよくStar Mのほうへ振り向く。
「ちょっ、ちょっと待て!」
野太い声が大きく会議室内に響いた。
「おまえ、そんなの半日もありゃ終わる作業じゃねえか! もしかして……検索が終わってから今まで、ずっと一人でサボってやがったのか?」
「おっ、おいおい、人聞きの悪いこと言うなよ」
詰め寄る大柄なGolGorから仰け反るStar Mは、ぶんぶんと手を振って抗議した。
「そりゃ俺も早く仕事が終わって嬉しかったけどさ、だからってさすがにそこまでサボったりしねえよ! おまえも煩いしな」
言い返されて、GolGorはむ、と顔を顰めた。
「なら何をしてたんだ」
「依頼の出処調査だよ。前におまえが農業組合がどうとか言ってたから、その辺を詳しく探ってやろうと思って……」
「なっ………おまえ、本当にそんなことやったのか? 一人で?」
GolGorがたまげて声を張った。
「ああ、そうだよ。な? 俺もちゃんと仕事してただろ」
「馬鹿野郎! 褒めてんじゃねえ、逆だ!」
怒鳴り声がStar Mの鼓膜を強襲した。
「うおっ、何すんだよ……」
「それはこっちの台詞だ! なんて馬鹿なことをしてくれたんだ……」
頭を抱えるGolGorの後ろで、同じく額に冷や汗を浮かべるHLuKiが言葉を添える。
「Star M……依頼の出処は、今回みたいに正式な依頼かどうか怪しい場合にだけ詮索が許されるって規則、忘れたわけじゃないよね?」
「いや、だから俺は、GolGorの調査を引き継いで……」
「GolGorが調査を打ち切った時点で、依頼は本物だと証明されてた。追加で行った調査、ばれたら僕たち全員懲罰かもしれないよ?」
「………」
HLuKiの繰り出した正論に、Star Mはすっかり元気を失った。不貞腐れたように顔を背ける。
neutはおろおろと三人の様子を見守る。
「……どうする? GolGor」
HLuKiからの問い掛けに、GolGorは悩みながらも、
「どうもこうも……やっちまったもんは仕方ねえだろ。残念だが、Star Mは今回のメンバーから外そう」
「えっ……は、外しちゃうんですか?」
neutが驚いて立ち上がった。
「こんなことでお叱りを受けてちゃ、明日の期限までに依頼を完了できねえ。始末書を書くのに、どれだけの時間が掛かると思う? neut」
「で、でも……ここまで来て……」
「neut。君も「K’s」は知ってるだろう?」
引き下がろうとしないneutに、HLuKiが宥めるように声をかけた。
「彼らは君が今回オレンジの成分検査を頼んだように、僕たち殺し屋のサポートをしてくれる特殊な情報機関だ。だけど同時に、規則を侵した殺し屋を厳しく検挙する役目も負っているんだよ。彼らは実地で殺害そのものに加担しない代わりに、殺し屋業界そのものを正しく監督する。それが僕らと彼らの協力関係だ」
GolGorは腕を組んで、HLuKiの説明に深く頷いた。
「……最悪、Star Mは会社の特殊裁判に掛けられるかもしれん。そんなコンディションで、連帯して仕事ができるわけねえだろ?」
「う…………」
二人の先輩に諭されて、neutは遂に言葉を失ってしまった。
ちらりとStar Mのほうへ目をやってから、座ったまま項垂れる。
neutからの反論がなくなったのを見計らって、GolGorは短く刈り込んだ金の頭髪をがしがしと掻いた。
「うーん、しかし、そうすっとどうすっかな……」
「調査理由を丁稚上げたりはしてないんだよね。だったら、「K’s」がStar Mに声をかけるまでそんなに猶予はないかも……」
「………なあ。ちょっと待てよ」
今後の予定について思案しているHLuKiたちに、今まで黙っていたStar Mは耐えきれず口を挟んだ。
「さっきから聞いてりゃ、俺が「K’s」に検挙されるとか裁判に掛けられるとか……なに言ってんだよ?」
困惑した様子で割って入ったStar Mに、HLuKiとGolGorは顔を見合わせた。neutも顔を上げる。
「そもそも、俺に出処調査を許可したのは「K’s」のほうだぜ?」
「………は?」
「……つまり、おまえの話を纏めるとこういうことだな?」
一旦落ち着いて、Star Mの話を全て聴くことにした一同は、十分少々を費やしてやっと結論へと至った。
「おまえは土曜のうちに、余った時間で今回の奇妙な依頼の〝悪意〟の主を探ろうと出処調査の協力を「K’s」に要請した。すると「K’s」は、初めこそ拒否していたものの、依頼の内容を聞いて態度を一変。快くおまえの捜査に応じた、と……」
「平たく言えばそんな感じだ」
背凭れに凭れて踏ん反り返るStar Mに、GolGorは深い溜め息を一つ漏らした。
「……そういう事情があったんなら先に言えよ……」
「よく言うよ。おまえたちが勝手に先走って、言わせてくれなかったんだろ」
苛立ち交じりにStar Mは言い返す。
「ま、まあよかったじゃないですかStar Mさん。これで最後まで一緒に仕事できますね」
「全然よくない」
元気を取り戻したneutはHLuKiと目配せして微笑んだ。
「……で? いったいおまえはどんな新事実とやらを見つけてきてくれたんだ?」
頬杖をつくGolGorが嫌味そうに尋ねた。
「……べつに、大したことは。ただ、農業組合から内務省へ事案が上がっていくまえに、農務省が絡んでたことがわかった」
「農務省……が、農業組合より、先に?」
情報を整理するため、HLuKiは語句を区切って口に出した。Star Mがこくりと頷く。
「そう。でもそれ以上のことはわからず終い」
「なんだ、その程度かよ」
落胆を隠さないGolGorの態度がStar Mの癇に障った。Star Mは隣の席に置いておいたブランドのバッグから、何十という紙の束を輪状のデスク上へ放る。
「その代わり、「K’s」からここ数年の農務省関連の、〝オレンジ〟か〝ホテル〟か〝剥く〟のどれかに引っかかりそうな資料を大量に貰ってきた」
三人が身を乗り出して手を伸ばすと、それらは白黒で印字された様々なページのコピーであるのがよくわかった。
そこに連なるのは一般のニュース記事や大学教授らが更新しているような専門的なウェブサイトのコピーが主で、「K’s」のロゴが用紙下部にしっかりと印刷されていた。
そのうちの幾つかを手にとって、HLuKiが見出しを読み上げる。
「『ニュー・カリフォルニア米始動』、『GPS牧畜の導入』、それから……『ビニールハウスの機械化、野菜工場の登場』?」
「おいおい、こんなの依頼に関係あるのかよ」
それらの殆どは、カリフォルニアの最先端農業についての内容だった。
「俺もそう思って「K’s」に言ったよ。これじゃ農学部の自由研究だって。そしたら、〝きっとこれが役に立つ〟なんて言うんだよ」
「まあこんだけ紙の山がありゃ……リサイクルは捗るだろうな」
GolGorが摘んだ一枚には、『ジャパニーズ・ウンシュー・オレンジの進化! 有機栽培の限界に迫る』の文字が躍る。
「で? おまえは全部目を通したのか?」
「あ、いや……それがさ」
GolGorの追及に、Star Mはばつの悪そうな顔を作った。
「向こうが全部送ってくるのにかなり手間取ってさ、これ受け取ったのは昨日の朝なんだ」
「……朝届いたんなら、日中目を通せるだろ?」
「いやー……それが、何枚か目を通したら頭痛くなってさ。農業なんて全然知らねえのに、やれ有機だやれ離散的だとか言われて混乱しちゃって」
GolGorが一瞥すると、たしかにStar Mの取り出した資料は難解なものが多かった。カリフォルニアの農業が抱える問題を解決するための研究や開発が事細かに記されていて、その実態は殆ど論文に近い。
だが、
「そんな言い訳が通じると思ってんのか?」
GolGorはStar Mの弁明を一蹴する。
「たしかに一見役に立つかどうかはかなり怪しいが、それでも資料には目を通せ。〝農務省が絡んだ案件ならこれだ〟って、情報機関の「K’s」がピックアップした書類をなんで読まずに仕舞っちまうんだ」
「ぐっ……」
反論の余地もなく、Star Mはデスクに広げた書類を一枚手に取った。
「そんなこと言ったって、こんな難しくて文章量の多い中から有益な情報なんて、そうそう見つかるわけ……」
「ぐちぐち言うな。口を動かすまえに手を動か」
「お……お────っ!」
GolGorの一喝を押し退けて、Star Mが大声を響かせた。
突然の事態に驚いたGolGorは、その場で呻いて耳を塞ぐ。
「なッ───」
「す、Star Mさん?」
「いったいどうしたの?」
普段はしたない大声など出さないStar Mの叫び声に、その場の全員が驚愕した。
neutとHLuKiが駆け寄るまえに、GolGorは呆けるStar Mの手から乱暴に書類を引ったくった。それをぐしゃりと握り締めながら、
「なにしやがる! このクソ野郎!」
驚嘆した表情で固まったStar Mを怒鳴りつけた。
「いきなり馬鹿デカい声出しやがって、なんだってんだ!」
「……そ、その書類」
Star Mは口をあんぐりと開けて、GolGorの手元を指差した。
「あ?」
眉間に激しい皺を寄せたまま、GolGorがくしゃくしゃになった書類を両手で引き延ばす。
そして、
「……ん? ……お、おい。これって……!」
Star Mと同じように、驚嘆の色を滲ませたGolGorは弾かれたようにばっと資料の山を漁ると、更に一枚の書類を選り分けた。
ぎょろりとした青い瞳が、二枚の書類の間を交互に動く。
「ど、どうしたんだい?」
「なんなんですか?」
周りに集る同僚に、GolGorは暫し静止した後ちょっぴり獰猛な笑みを浮かべた。
「……農務省と保健福祉省の発表だな。三年前と二年前か」
そう呟くと、GolGorは二枚の書類を揃えてHLuKiに手渡した。それらを受け取り、上にきた一枚を見下ろしてそこに躍り出た語句にHLuKiの目が見開く。
「………〝ヴィンブラス肥料〟………!」
『癌を治す果実を育てる ヴィンブラス肥料』。
たしかに、記事はそう主張していた。
「えっ? ヴィ、ヴィンブラスって……あの化学物質の名前じゃないですか!」
「……そうだね。スペルも合ってる。…………」
じっくりと、HLuKiは手に持った資料を穴が空くまで睨め回す。
横からneutが覗き込もうとしたが、HLuKiの指が邪魔で全文を読むことができなかった。
「なにが書いてあるんですか!」
「…………」
neutの呼びかけには応えず、HLuKiは更に時間をかけて資料を読み込む。
HLuKiの手が動き、次に二枚目の書類へと目を移す。HLuKiはこれにもたっぷり時間をかけた。
「HLuKiさんってば! 教えてくださいよ!」
何度も急かすneutに、ようやくHLuKiは言葉を返す。
「……これは三年前、農務省から発表された新しい規格の農薬肥料の可能性を示唆する記事だ」
HLuKiは全員に説明するように、振り返って一枚目の書類を目の前に翳した。
「要約すると、〝カリフォルニアの研究員が、癌治療に使われる化学物質と農薬肥料との融合に実験室で成功した。マウス実験では少なくともその効果が確認されたため、これを実用化、実際の農地での導入を目指す〟って内容だった」
「………!」
「……そいつが、HLuKiの食中毒事件の報告書とneutのオレンジの成分検査結果に登場した元の化学物質で間違いねえだろうな」
「……ちゃんと農務省が発表した物質だったんですね……」
neutの反応に満足そうに笑いながら、GolGorは先を読んでやれよ、とHLuKiを促す。
「ああ。そしてこっちの二枚目。これはヴィンブラス肥料発表の一年後、つまり二年前の、恐らく新聞記事からだ。発表は保健福祉省」
HLuKiは一枚目を引っ込めて、二枚目の書類を代わりに翳す。
「これはヴィンブラス肥料について、新たな発見と謝罪を伝えるもの」
「謝罪……ですか?」
HLuKiは頷いた。
「こっちもかなり専門的な説明が書いてあって長いけど、できるだけ要約すれば〝合衆国農業の未来を担うはずだったヴィンブラス肥料だが、その後のサルを用いた実験過程で神経痛や錯乱した個体が複数見られた〟。……で中略、〝よって、これらの危険性を鑑みてこのタイプの肥料の回収と、生産と研究の中止を伝える〟……と」
「…………」
「そしてこれは……たぶんオマケ。「K’s」職員の手書きメモだ。そのまま読むね………〝その後のヴィンブラス肥料回収状況の調査結果:一部州で対応に遅れが生じており、注意喚起を呼びかけている〟」
HLuKiの説示を聞き終えたneutは、暫く頭のなかでその解説を反芻し、
「…………?」
盛大に首を傾けた。
「えっと、……あれ? つまりそれって、どういう意味ですか?」
「ん?」
「いや、ですから……農務省と保健福祉省がこれを公に発表してたら、いったいどういうことになるんです?」
「……neut。おまえ一遍、InBaの情報処理講座初級編受けてこい」
GolGorが呆れ顔を露わにした。
「いいか? これが発表されてたってことは、ある新事実が浮かび上がってくるんだよ」
「ある……新事実?」
「そうだ」
Star Mが答えを引き継ぐ。
「その資料によると、ヴィンブラス肥料が初めに広まったのはカリフォルニア州だ。ってことは、回収に遅れが生じた州には、既にヴィンブラス肥料が試験的に導入されていたであろうカリフォルニアも含まれている可能性が高い」
「あ………」
「更にここで、一つの推論を導くことができる」
「な、なんですか?」
目を輝かせてneutがStar Mに詰め寄る。
「例のHLuKiが調べてきた食中毒事件、〝ブタミホスの類似物質〟が検出されながらも食中毒の原因とされなかったのは──もしかすると、農務省の圧力じゃないか?」
「あ、なるほど」
HLuKiがすぐに反応。
「すみません、わかりません。説明してください」
「素直なのはいいことだぞneut」
GolGorは笑ってneutの頭をがしがしと撫で回した。
「うがー」
neutが藻掻く。
GolGorの捕縛から逃れたタイミングで、HLuKiはつまりね、とneutに語りかけた。
「時期的に、食中毒事件が起きたのはヴィンブラス肥料の回収が始まってから一年以上経った頃だった」
「えーと……二年前と、四ヶ月前だから……そうですね、合ってます」
「もしそんな、騒動が収まって、謝罪会見も済ませて一段落って時期に、回収が行われたはずの肥料で食中毒が起こったなんてことが公になったら……ただでさえヴィンブラス肥料の回収と開発中止で痛手を負ってるところに、塩を塗る結果になるだろう?」
「あ……そっか!」
neutはぱん、と手の平を合わせて叩いた。
GolGorはHLuKiの手から二枚の書類を受け取りながら、
「恐らく農務省の奴ら、食中毒事件のことが耳に入った時点で症状かなんかからヴィンブラスミホスが関係してるって薄々目星が付いてたんだろうな」
二枚の書類を円形マグネットでホワイトボードに貼り付けた。Star Mは輪状デスクに散らばった書類群をがさがさと集めてこう続ける。
「それで検査機関に先に釘を刺して情報操作をしておいて、オレンジの提供元を調べて……農業組合、内務省経由でうちに依頼を寄越したわけか」
「ああ。それで理屈は通るな」
GolGorはよし、と両手でデスクを叩いた。
「それじゃ、最終評定だ」
* * * * *
「おい、ティアゴ!」
「はい? なんですか、親父さん」
「この前ウチの区の組合に、全米農民組合から役員が一人来た話は聞いたか?」
「いや、知りませんけど」
「そうか……。いや、ならいいんだがな」
「どうしたんですか。そいつがなにか?」
「……いやな、何ヶ月か前のあの食中毒。あれについて、色々訊きに来たらしくてな。覚えてるだろ?」
「……ああ、はい。あれのことですね」
「ったく、わざわざあんなこと根掘り葉掘り訊きに来やがって。あれはもうウチのせいじゃないって、ちゃんと証明されてるってのに。なあ?」
「……そうですね」
「なに、落ち込むな。あんたのことは俺が守ってやる。あんたは安心して栽培に集中しな」
「……ありがとうございます」
「いいってことよ。じゃあ、適当に休めよ。身体を壊したりしたら元も子もないからな」
「はい」
山間の果樹園で、男はまた白いビニール袋の封を切った。
* * * * *
「目標ティアゴ・ラランジェスは、毒性のある化学肥料を使ったオレンジを栽培している」
GolGorはホワイトボード上のコンセプトマップに一際太い線を中心から引きながら事実関係を羅列する。
「これは間違いないだろう。その肥料が回収されてからもまだ使用されていた実態を知られたくなかった農務省は、食中毒事件が起きたとき裏から手を回してその原因を揉み消したと思われる。これが今回新たにわかったことだ」
水性インクが掠れ始めたので、GolGorは用意されていた予備のペンに持ち替えた。
「そして農務省は警察や裁判所に知られることなくラランジェスを始末したかったため、どこからかうちの噂を聞きつけて、あんな変な依頼を、送信元が特定されないように送った──と」
キュッ、と心地よい音を鳴らしてGolGorはピリオドを打った。
「これが今案件の概要だ。ここまででなにか異議は?」
「無し」
「同じく」
「同じくです」
三人が行儀よく返答した。
臙脂色の壁に掛かった黒縁の四角い時計は、昼過ぎを指していた。
「うっし。……期限は明日、俺たちがこの依頼にどういう対応をするか決められるのは、これがラストチャンスだ。皆、それぞれに意見を言ってみてくれ」
「俺は、最後にHLuKiにスパイしてもらうのがいいと思う」
前髪を指先で弄りながら初めにStar Mが発言した。
「そいつが何を思って毒オレンジなんか育ててるのか、その目的を知っておいたほうがいいんじゃないか」
「ふむ……どうだ? HLuKi。いけそうか?」
GolGorの問いに、HLuKiは小さく唸ってから首を横に振った。
「いや……相手が相手だ。なるべく……、下手に接触はしたくない」
「どうしてです?」
neutがやや不服そうに尋ねると、
「もし接触して少しでも不審に思われれば、僕らが殺しの準備を終えるまでの間に、毒オレンジがどこかへ出荷されてしまう可能性も否めない」
「え……でも、HLuKiさんって諜報する殺し屋なんですよね?」
neutのきょとんとした顔に、HLuKiは虚を衝かれたように頬をぽりぽりと掻いた。
「それはそうだけど……でも今回みたいなケースだと、接触作戦は目標を刺激しかねないから。控えることもあるよ」
「そうだな………。目標の狙いは、もしかしたら無差別大量食中毒かも知れん。何度も言うとおり俺は毒物には詳しくねえが、場合によっちゃかなりの死人が出るかもしれねえ」
neutはその惨状をふと思い描いて、襲ってきた身震いを隠せなかった。
「あんまり余裕はないと見て、間違いないだろう」
GolGorは指の関節をばきばきと鳴らす。
「意見は出尽くしたか? もう心残りはないな? それじゃ、ここは民主主義的に決めるぞ」
全員がその言葉を深く肯定した。
neutの喉元で、唾を呑み込む音が轟いた。
一分後。
多数決の原理を採用した四人は、一つの結論に達した。
それに反対する者も中にはいたが、それでも彼は民主主義の仕組みに従ってその結論を快く受け入れた。
四人全員の了承を得たところで、代表としてGolGorが宣言する。
「よし、殺そう」
明日23:59〆切というギリギリの中での投稿です!
今回はかなり長いですね……
今まで考えていた伏線? の半分をかなり理屈っぽく回収してるので、書きにくいし読みにくい部分だと思います……スミマセン。
うまくキャラを活かしながら理屈を説明するって、難しいですね……。
なお、ここに登場する化学物質は実在のものを少々アレンジしたものです。実際には癌治療に効く肥料なんて(きっと)ありません!
それでは引き続き、『優しい殺し屋の不順な事情』をお楽しみください。




