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第五話:好感度低な関係

第五話

 春成桜さんと一緒に放課後のゴミ捨てへ。

 ゴミ捨て場は校舎裏を通らなくてはならない…言い方を変えれば良く告白される場所の一つを通るわけだ。

「…」

 意味も無く緊張してしまう。出来るだけ告白とか、甘酸っぱい青春とかそう言った言葉は頭の隅に押しやっておかないと…。

「あ、そういえばねー私良く告白されるんだー」

 こういう事を気兼ねなく行って来る辺りが凄いと思う。女子からしたら『うざっ』とか思われるはずなのでどうやら男子にしかいってないようだけどね。まぁ、女子、男子で態度じゃないけれど話題を変えるのは当然の事だろうがね。

「ああ、知ってるよ。殆ど振ったらしいね」

「うん、まぁねー」

 まるでタンポポの綿毛を吹き飛ばすような力加減で言葉が吐かれた。散って行った男達…可哀想に。今自分が告白したらきっとその男子達の仲間入りを果たすことになるだろう。

「一つ聞くけど、私の魅力ってどこかなー」

 全部。とは言えない。冗談っぽく言っていても、真面目に答えてあげたかった。

 これは下手な事を言うと『夢川君ってね~』と女子に告げ口されあっという間に『キモイきざ夫』というあだ名がつくのは必須。それどころか在る事無い事言いふらされて『胸のポロリは見逃さない変態紳士』になるかもしれない。

「…ちょっといいかも」

「え?」

「あ、いやいや…うーん、そうだねー」

 もっと真面目に考えてみる。

「うーん、うーん…」

「あれ?もしかして私のいい所って…無い?ショックだなー」

 言葉ほどショックを受けているようには見えない。ただ、このまま茶化して終わりと言うのも残念な気がした。

「そ、そんなんじゃないよ。逆に在りすぎてどれにすればいいのか迷うって言うか何って言うか…」

 気配り上手、茶目っ気もある、頭もよくて可愛くて、困っている人は見逃せない…。

「…どう思われるかわからないけれど…」

「うんうん」

 どう思われたって構わないだろう…俺は、ゴミ袋をもちなおして正直に答えることにした。

「俺の知っている範囲じゃ、全部だよ。この答えを聞いて春成さんは何にも知らないって思うかもしれない…其処まで俺は多分、春成さんと仲がいいとは思えないからさ」

 気兼ねなく話せる関係じゃあない。よくてこうして一緒にゴミを捨てに行くような、そんな、関係なのだ。

 俺の言葉にどう思ったのか、春成さんは難しそうな顔をしていた。

「うーん…そっかぁ…」

「…」

 言葉を待つ。いや、もしかしたらもう何もないけれど、目の前にゴールが近づいている(このままここでわかれそうな雰囲気だよっ)、俺は行動を起こせない。

 ここで、俺が『好きだ!俺の味噌汁を作ってくれ!』と言えば四季統也は喜ぶだろうが…俺には無理だ。

 結局、ゴールまでやってきてしまった。

 どうやらここで終わりのようだ。

「じゃあ、俺、帰るから」

「え、うん。また明日」

「ああ、また明日」

 春成さんだって告白されたであろうあの場所で、俺も彼女に告白すればよかったのかもしれない。

 後悔と言う文字がふさわしい感情が体を駆け廻り、口元まで達した。

「…はぁ」

 体内から後悔を多分に含むため息は夕空に逃げていった。


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