副作用
近藤は世界が終わってしまったかのような恐ろしい感覚にとりつかれていた。
ーーー駄目だ。なにもやる気が起きない。
いつもの調子に戻らない。これは昨日のコカインのせいだ。
美夏のことも気になってきた。電話をかけた。
ーーー大丈夫?
ーーーなにが?全然平気なんだけど。
ーーーそっか。ならよかった。
美夏は大丈夫だった。迷惑はかけなくてすんだ。でも自分の調子が異常なほど悪い。もうドラッグはやめようと思った。
たしかにまたあの快楽を味わいたいと脳が感じていた。手元にもう無いのが救いだった。
コンビニで酒を大量に買ってきて飲んだ。あの快楽を求めたが無理だった。しかし少しは忘れられた気がした。酒に溺れるのもいいな。近藤はそう考えた。
ーーー久しぶりにあの公園に行ってみよう。
片手に酒を持って簡単な格好で外にでた。ランニングしている老人や犬の散歩をするおばさんたち。俺は会社をクビになって一週間。残った金で生活してるから平日も暇だった。
公園には子どもがサッカーもどきをしている。ボールが飛んできそうでやかましい。
ーーーあっちでボール蹴ってろ!
近藤は酒を飲むと気が大きくなる。子どもは酔っぱらいは無視してサッカーを続けている。
ボールが近藤の足元に転がってきた。近藤はそのボールを抱えて公園から走って去っていった。近藤は横に流れる川にボールを捨てた。サッカーボールは川に流されて遠くに消えていった。