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エレベーターで異変発生!?行き着く先は衝撃の真実

作者: 鉄馬 メウ
掲載日:2026/06/19



ーー異変ーー



私は仕事を終え帰路についていた。

今日は突発の案件が入ったので随分と遅くなり、

すでに夜中の0時を回っている。


自宅は築15年ほど経ったマンションの10階、そこまで古くはないが、経年劣化による補修が所々必要に見える。管理人が費用を渋っているのだろう。あまり直されてはいない。ただあまりにも大規模に補修工事を計画され費用を請求されてもたまったものではないので、このままでもいいと思っていた。



「でもな〜…このエレベーターは直せっての!」


このマンションにあるエレベーターは結構ボロい。扉の塗装が所々剥げて、開く時なんかギィ〜ギィ〜と唸って煩い。音に関しては故障だと思い管理人に話をしたけど直った様子はない。きっと管理人がケチったに違いない。


 

エレベーターのボタンを押し、エレベーターが来るのを待つ。待っている間、近くにある掲示板に目を向ける。


「まだ見つかっていないのかしら、

確かこのマンションに住んでいる子よね」


掲示板には小学生の女の子の写真が

張られていた。



…………………………………………………………


後藤綾香さん、当時11歳

身長140cm前後 体重40kg前後、体格は細身


住所〇〇県✕✕市▲▲町………


髪型は黒髪のロング、肩より10cm下くらい。

青色のカチューシャをつけていた。


服装は紺色のブレザー(学校の制服)

紺色のランドセルを背負っていた。


行方不明時の状況

〇月△日小学校からの帰宅途中で、

マンションの前で目撃されたのを最後に失踪した。


…………………………………………………………



「可哀想に、行方不明になってもう1年近く経ってる。もう死んでいるか、どこか変態に監禁されているのか、まったく最悪よね。助けてあげたいけど、私がどうにか出来ることじゃないか」



「チーン」


エレベーターが1階に着いた。

扉が開き、私は中に入ると10階のボタンを押した。


ギィー…ギィー…。

扉が閉まるときだけ、この甲高い音がする。

いつも耳障りで仕方がない。



「チーン」


2階に着き扉が開く。

中年のおばさんがやや俯向きながら入って来た。

階ボタンを押さずに私の後ろに移動する。


ボタンを押さなかったことにやや違和感を感じつつも、偶然私と同じ10階に用があるのかと思い閉まるボタンを押す。



「チーン」


3階に着き扉が開く。

今度はサラリーマンの男性が、先程のおばさんと同じように俯向きながら入って来た。


(少し気味が悪い)


その男性も階ボタンを押さずに入る。


(この人も10階なの?そんな偶然ある?)


私は少し寒気がしたけど閉まるボタンを押した。



「チーン」

(また!?)


4階に着き扉が開く。

今度は綺麗な若い女性が入って来た。


(さっきの二人と同じ、俯いて行き先ボタンを押さずに奥に入る。おかしい。そもそもこんな時間に上の階に何の用があるって言うのよ。気味が悪いわ)


 私は異様な空気に動揺し考えていると扉が閉まる。


(どうしよう。次は5階だけど、気味が悪いし降りようかしら)



「チーン」


5階に着き扉が開く。

私は怖くなり降りようとしたが、足を止めた。

そこにはお巡りさんが立っていた。


「え!?」私の驚きの声が漏れた。


「ん?どうかされましたか?」

お巡りさんは私の反応を見て

不思議そうな顔をしていた。


「いえ、なんでもありません」

私は急ぎエレベーターを降りようとした。

でも、私はお巡りさんに腕を掴まれ止められる。


「あ!すいません、あなた……ここの階で降りる方なのですか?」


「え!?……いえ、違います」

 私が住んでいるのは10階、咄嗟に聞かれつい本当のことを答えてしまう。


「そうですか、ではこのまま乗って帰った方が良い。私も見回りをしていまして、ここ最近この辺も物騒になっています。特に女性の一人歩きは危険ですよ」


「はい、そうですね。そうします」

私は素直にエレベーターの中に戻った。


(不気味ではあったけど、お巡りさんが来たことで少し安心出来た。それにお巡りさんに嘘つくわけにいかないわよね)


それから6階、7階、8階と各階に止まり、

なぜか1人ずつ人が乗る。


お巡りさんが居ることで安心出来たのに、ここまでおかしなことが続くとまた不安になって仕方ない。本当は後ろを向いてお巡りさんに何気ない話をして落ち着きたいのに、エレベーターの中の空気が重苦しく身体が上手く動かせない。



「チーン」


9階に着き扉が開いた。


(大丈夫あと少しで10階、もう少しの我慢よ!)

私は自分に言い聞かすように耐えていた。けど、開いた扉から入って来た少女を見て、心臓を大きく鼓動させた。


「この子!?確か………」


「ん?お姉さんどうかしたの」


不思議そうな顔をして見上げる少女、その顔には見覚えがあった。少女は小学生高学年くらいの年齢で長い黒髪に青いカチューシャをつけて紺色のブレザーを着ていた。



「……あやか…ちゃん」

 

「あれ?お姉さん私のこと知ってるの?」


少女はコテンっと可愛く首を傾げたが、私はその子が不気味に見えて仕方がなかった。だって…だってその子は、1年前に行方不明になった少女にそっくりだったから。


(どーゆうことなの、この子このマンションに居たってこと……違う。そうよ!捜索願いの張り紙が貼られていたけど、実はすでに見つかって戻っていたのね!それなら納得できるわ)


一瞬驚いたけど、

そう考えれば冷静になることが出来た。


だけど、少女の次の言葉が私を困惑させる。



「お姉さん今日からよろしくね!」


「え!?…どういうこと?」


「お姉さんも私達の家族になるんでしょ?」


その子が何を言っているか意味が分からない。


その意味を思案しようとした瞬間、明らかに周りの空気が変わった。背中がゾクゾクする。



「えーっと…あやかちゃん、それってどう言う意味かな〜?家族?確かに私も同じマンションに住んではいるけど」


この異様な空気から逃れるために、

私は聞かずにはいられなかった。


その理由が絶望的だったとしても……




「んーー…だって、お姉さんも死んだんでしょ」


 


その子は不思議そうな顔をしていた。


はぁ?…何を言っているの?

私が…死んでる?

なんでそう言う話になるわけ?



「お嬢ちゃん、この人まだ分かってないわよ。余計なことは言わない方がいいわ」


 後ろに居た中年のおばさんが、こっちをチラチラ見ながら言う。


「あのー!何なんですか!さっきからわけの分からないことばっかり言って!私をからかっているんですか!」



私は怒鳴った。


いい加減にして!

私が死んでるですって!

バカも休み休み言いなさいよね!



ここ最近仕事のせいで休みも取れず帰宅時間も短かったこともあって、疲れと睡眠不足で限界だった。



中年のおばさんは私がものすごい剣幕で言ったものだからあたふたしている。

しかしその時、気になることがあった。なぜか他の人まで慌て始めたのだ。



「落ち着いてください。まずは冷静になって、

それ以上余計なことを言わない方がいい」


 お巡りさんが私とおばさんの間に入り、宥めようとしているが、最後の言葉が引っかかる。


「余計なこと?何が余計なんですか?」


「ん!いや、それはだね……」

 

お巡りさんもしどろもどろで、言えないわけ?私は更にイラつき、声を荒げて言おうとした時だった。



「うっせぇな!黙って乗ってろよ!」

「そうよ!あなた10階なんでしょ!もう少しなんだから黙っててよ」


サラリーマンの男性が怒鳴り、綺麗な若い女性が懇願するように言う。



「えっ!?えっ!?なんなのよ」

 






「チーン」


エレベーターが階に着いた時に鳴った。



「はぁ〜」「くそ!」「最低」

みんなそれぞれ思い思いのことを呟きながら、私を睨んでエレベーターを降り始めた。


(えーーなになに、なんなのよ〜コイツら!私が一体なにをやったって言うのよ!)




「お嬢ちゃん運が悪かったわね。今日は戻った方が良いわよ。困ったことがあったらいつでもおばちゃんに言ってね」


 さっきの中年のおばさんがあやかちゃんの手を引き、エレベーターを降りようとしている。



「ちょっと待って!あやかちゃん、

さっきの話だけど……」


私が死んでいると言ったあやかちゃん、決して悪気があっての言葉には感じなかった。なんでそんなことを言ったのか聞かないと、そう思い私は声をかけたのだが。


「あなた、まずは家に帰りなさい。たぶん今私達が何を言っても納得出来ないと思うわ。大丈夫よ。しばらくは私達もこの階に居るから、落ち着いたら声をかけてちょうだい」

 

おばさんはさっきの私の失礼な態度を気にした様子もなく、にっこりと笑い、あやかちゃんを連れてエレベーターを降りて行ってしまう。





ーー真実ーー



中年のおばさんとあやかちゃんが出て行って、

私はまだエレベーターの中に居た。




「くそが!いつまでこんなところに居ないといけねぇーんだよ!」


 ガンッと強くエレベーターの壁を叩きつけ、怒りを露わにしていたのは、まさかのお巡りさん、大きくため息をつき顔を上げたところで、私が居ることに気がつく。


「あ!…ついな、驚かせてすまない」


 お巡りさんはばつが悪そうな顔をして、そそくさと歩き出し、そのままエレベーターを降りて行ってしまった。



「……もう!なんたのよ!」


私はイラつきながら扉を閉めるボタンを押すが、扉は一向に閉まろうとはしない。



(まさかさっきお巡りさんが壁を叩いたせいで故障したの?はぁ〜なにしてくれてるのよ。ま〜いいわ。どうせあと一階上るだけ、仕方ないけど階段から上げろ)


私は階段に向かう。


(あれ?……)


しかしあるべき場所に階段はなかった。


(おかしい、いつもエレベーターを使っているから、階段を使うことはほどんどないけど、ここはそんな複雑な設計をされたマンションじゃない。よっぽど間違えるはずがないのよ)



「ねぇーあなた、新しい人?」

 

突然後ろから話しかけられて、私は肩をビクッと動かし、ゆっくりと後ろを向いた。


そこには三十代くらいの女性が立っていた。

特におかしなところはなかったけど、私はエレベーターの中での出来ごとで警戒する。



「どうも……こんばんは……私に、何か?」


「ふふっ、そんなに警戒しないで、あなた、家がどこか分からないんでしょ?」


「いえ違います。私が住んでいるのは10階なので、上がりたいんですけど」


そう言って私は階段があったはずの場所に目を向けた。


「そう、あとで分かることだから詳しくは説明はしないけど、ここでは上がりたいならエレベーターを使わないと上がれないの、だから階段はないわよ」


「階段がない?そんなはずは…」


「あなたの言いたいことは分かります。でも今は私の話を聞いてください。まずは家に帰りましょうか」


女性は歩き出し、私についてくるように言う。

私は少し不安に感じたが、どうしていいか分からない八方塞がりな状態、その人を信じてみることにする。


女性は近くにある部屋の前で足を止めた。


「ここにしましょう。さ〜入ってください」


女性は扉を開け、私に部屋に入るよう促す。

怪しい。そんなことは分かっていた。

けど、女性から謎の安心感を感じ、

私は自然と部屋へと足を進めて行く。



「……………」

人はあまりにも驚き過ぎると声が出なくなると言うが、まさに今がそう。あり得ない。


「ここ、私の部屋にそっくり」

部屋の中に入り、すぐに分かった。壁の模様、家具の配置、置かれている小物まですべて同じ。


 それでも私はまだ信じられない。この部屋が私の住んで居る場所と同じだなんて、私はそれを確認するために、そばにある机を慌てて開ける。


あった。見た目は一緒、

しばらく書けていない私の日記、

若い頃は毎日他愛のないことまで書いていたけど、

仕事が忙しくってからは全然書けていない。


「………うそ、あり得ないだけど」

私はため息をつき頭を抱えた。

日記の中身は間違いなく、私が体験した出来ごとであり、筆跡もよっぽど私のもの、つまりこの部屋は私が住んでいた場所と同じと納得するしかない。



「そうだ!さっきの人!」

私は慌てて部屋を出て外を見廻すが、

あの女性は居なかった。


なんてことなの、あの人に聞けば、

もしかしたらこの状況について、

何か分かったかもしれないのに。


落ち込むわたし、

その時、ふと思い出す。


エレベーターであった中年の女性は言った。まず家に帰りなさい。この言葉が何を意味するかは分からないけど、このよく分からない状況を理解出来るようなことを言っていたはず、私は部屋に戻った。



ブゥーン。

暗い部屋の中、突然一人でにテレビがつく。

テレビの光が怪しく揺らめく。


私は恐る恐る近づき、

テレビの前に立つ。



……速報です……

〇〇日頃、〇〇市の〇〇交差点にて乗用車による歩行者のひき逃げが発生しました。


キィーーードン!


歩行者が横断歩道を渡っているところに、

乗用車が突っ込み、女性を吹き飛ばす。


乗用車は一度止め降りて、

吹き飛ばされた女性を見るが、

何もせず、再び車に乗り、

そのまま行ってしまう。


ひき逃げだ。

恐らく助からないと思い、

怖くて逃げてしまったのだろう。

酷い!酷すぎる……



でも、なんで事故が発生した時の映像が流れるの?

それに写ってる映像、あり得ない画角なんだけど!?もしもここに居たら一緒轢かれているけど。



混乱する私を置き去りにし、映像は進む。

映像は轢かれた女性を映す。


「え!?」


映された女性には見覚えがあった。

よれたスーツが裂けボロボロ、

隙間からは血が流れ痛々しい、


それにあのカバン、

お金を貯めてやっとのおもいで買った……

お気に入りのブランドのカバン。


女性の顔は私だった。


「へぇ?へぇ?なんで?なんで私が写っているの?意味わかんないんだけど!」



被害者の女性は全身を強く打ち、出欠多量で死亡。警察は犯人を………


私は呆然とテレビを眺め、

すべてを悟る。

私は自宅に帰る途中交通事故で死んだ。


痛みから逃れるために、

もがいて、もがいて、

そのうち意識を失った。


そして何もかもを忘れようとした。

疲れた。早く帰りたい。

その想いが私をマンションに向かわせたのだと。




アハッ、アハハハッ、

も〜うどうにでもなれ……


私は強く絶望し、

憎しみや悲しみなどの負の感情が渦巻いた。




「お姉さ〜ん、エレベーターの扉、

また開いたよ!」


玄関の扉の向こうにあやかちゃんが居た。

笑顔で手を振っている。


「行こうよ!上に行けるよ!」


「………あやかちゃん、ありがとう。

でも、もういいの。私は死んでいるから」


おやかちゃんは首を傾げ、

不思議そうな顔をしていた。


「現実を受け止めたのね」

あやかちゃんの後ろからエレベーターで会った中年の女性が現れる。


「気持ちは分かるわ。死を受け入れるのはそんな簡単なことじゃないから、でもね。エレベーターがまだ開いたのは、きっとあなたのためなの、上がれる時に上がった方がいいわ」


おばさんは優しい声で言ってくれたけど、

エレベーターに乗って何の意味があるのよ。


「天国!お姉ちゃん一緒に天国に行こうよ。そこにはパバとママが居て、すごく幸せなところなんだって」


なにそれ……そんなの迷信…嘘よ。

私は信じない。だけど自然と立ち上がり歩き出す。


私はあやかちゃんに引っ張られるように、

エレペーターに乗った。


人は絶望の最中こそ、

僅かな光に手を伸ばす。


私は死んだけど生きようと思う。

どこまで続くか分からないエレベーターを、

ひたすら上がっていく。


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