ダック登場
女王がいつもの様に女王の間にて作業をして居ると、部屋がノックされ、「失礼します。」とソフィアが入って来た。「ご報告が有ります。」ソフィアが続けた。「うむ。何だ。」女王が返事する。「あの、今日、女王のボディガード、側近のダックさんが帰還するらしいです。手紙鳩の手紙で知りました。」手紙鳩、と言うのは、異世界において、手紙を口に加えて、遠方へ送り届ける鳩である。それを聞いた女王の顔が歪む。
「そうか。あいつが帰って来るのか。この上無い最高の知らせだな。」皮肉たっぷりにそう言うと、ソフィアが嬉しそうに「ええ、そうですね。本当にその通りです。」と返答する。女王は
「お前、皮肉と言う奴を知らんのか。」と悪態を付く。ソフィアは首を傾げる。するとその時だった。ドタドタと言う足音が聴こえ、「女王様ァーッ!」と言う断末魔にも似た叫び声が聴こえて来る。女王の顔が益々歪んで行く。それとは対照的にソフィアの顔は明るくなっていく。「ダックさんだ!ダックさんが帰還したんだ!」ソフィアがそう言うが早いかどうか、部屋の扉が空き、ダックが部屋に飛び込む。そして、「ただいま、帰還しましたぞォーッ!女王様ァーッ!」と女王に抱き着こうとする。女王はそれに対して、カウンターとなるキックをダックの顔面にお見舞いする。ダックが吹き飛び、床をゴロゴロと転がる。「ぶへえっ!」ダックの鼻から血が滴る。「失せろ。」女王がゴミを見る様な目でダックを睨む。「ただいまって言ってるのに失せろとはこれ如何に…。」ダックは鼻を抑える。「ちょっ、ちょっと女王様!ダックさんに何て事するんですか!」ソフィアが慌ててダックに駆け寄る。「ふんっ。コイツが抱き着こうとして来るからだ。」女王が腕を組む。そうである。ダックは実は女王に対してゾッコンだった。マザーコンプレックスならぬ、クイーンコンプレックスである。「ああっ、でもこの蹴りも…女王のそれだから気持ち良い…!」ダックが変態のセリフを口走る。それを聞いた女王の顔が更に引きつっていく。その様子を見かねたソフィアが、「あの、女王様。仮にも貴方のボディガード何ですから。傷つけないで下さい。この人が居なかったら、誰が女王様を守るんですか?」そう言ってフォローを入れる。しかし、「こんなキモい変態男の警護等要らん!」と女王に一蹴される。鼻血を抑えながら、「あ、あの、あんまり何ですけど、さっきから、女王…」と言いダックが立ち上がる。しかし同時に、「いや、でも、何か、やっぱこれはこれで、気持ち良い…!」と目をハートマークにさせていく。女王が益々ドン引きする。ソフィアが「あの、こんなにも女王の事を好きでいて下さっているんですから、もう少し丁重に扱うとか、考えたらどうですか?可哀想ですよ。」とドン引きしている女王とダックを見かねて、女王に言う。しかし、女王は相変わらずつっけんどんで、我関せず、と言った様子だ。そう言うやり取りをして居ると、部屋にジン達が入り込んで来た。「ただいまー!今日の作業も終わったぞー!って、何やってんだ?」ジンがそう言いながらたじろぐ。「あっ!ジンさんお帰りなさい!
見て下さい!国外出張から帰還して来たダックさんです!女王の側近、ボディガード何です!女王にゾッコン何です!」ソフィアが説明口調で説明していく。まあ、ジン達とダックは初対面だから、
当然と言えば当然だが。その説明を聞いたヒカルが口を開いた。「でも、何か、その様子じゃ、
大方女王に抱き着こうとして蹴り飛ばされたって所だろ。聞かなくても見て無くても分かる。」
ソフィアが汗をかきながら苦笑いしている。
「で?お前らは誰だ?」鼻を抑えながらダックが尋ねる。「俺はジンだ。日本から来たロボットエンジニアだ。」「俺はジンの同僚のヒカルだ。」
その時、ヒート王子も帰って来た。「どうやら立て込んでいるみたいだね。おや、帰還して居たのか。ダック。久しぶりだね。」ヒートがダックに話しかける。「ヒート。久しぶりだな。お前、先に帰還して居たのか。この通り、女王に抱き着こうとしたらいつもの様に蹴り飛ばされちまったんだい!」ヒートは汗をかきながら、苦笑いし、「君はいつもそんな調子だね。」と呟く。
女王が場を仕切り直す様に、「兎に角、今この王国に居る奴ら全員で、復旧作業だ。まだまだやる事が山積みだからな。ダック。お前も変な事して居る暇があったら、ちゃんと作業しろ!」と現場に喝を入れる。ダックはソフィアから貰った丸めたティッシュを鼻に詰め、「へっ、変な事って…。」と言うのだった。そして、ダックもまたジンによってロボットのノウハウや操縦テクニックを教わり、大型重機のロボットに乗り込み、
復旧作業を頑張る。しかし、操縦に慣れておらず、機体ごとひっくり返ってしまう。「うわあああ!」ダックが叫ぶ。ジンは困った様子で、「うーん。何かお前、ソフィアみたいだな。」と洩らす。ダックが聞き捨てならないと言った表情で、
「だって、実際、慣れてねーんだもん。こう言うの。しょうがねえじゃん。」と言い返す。そんなこんなで、何度もジンと二人三脚でジンに手取り足取り教わり、その度に頑張り、その度に機体ごとひっくり返る作業を何度も繰り返す。「この下り、さっきからずっと繰り返しているぞ。古いビデオテープ巻き戻すんじゃねーよ。」ジンが疲れ切った表情で口にする。「その気持ち分かる。」ダックはそうやって皮肉を言うだけで精一杯である。しかし、何だか楽しくなって来た二人は、
何度も失敗してはひっくり返る作業を繰り返し続けるのだった。
そして、その日の夕方、二人はひっくり返った重機ロボットの隣でお互いに座っていた。夕日がやけに眩しい。「なあ。あのさあ。」ジンが口を開く。「お前ってさあ、正直女王のどう言う所が好き何だ?」率直な疑問だった。それを受けたダックは、「はあ!?どう言う所〜!!?お前、恋に理屈何ぞあると思っているのか?」と正直な感想を漏らした。「俺は最初から女王に一目惚れしてんだ!恋はいつでもハリケーン何だ!」追い打ちをかける様にその様に語る。ジンは納得した様に、「そうなのか。で、お前も魔法とか使えるのか?」と質問する。ダックは不敵に笑い、「舐めんなよ!」と言うと、「まるで使えねえ!」と堂々と言い放った。周囲に木枯らしが吹き抜ける。「俺ぁ、何を隠そう、落ちこぼれ何だ!だから魔法とか魔力とか、全く使えねえ!」続ける様に自信満々に宣言する。「だが、その代わりに、俺は魔法を使えないから、体力を一生懸命鍛えたよ。それは女王を守る事にも繋がるし。ボディガードだからな」
またも自信満々に言い放った。そのセリフを聞いたジンは、「落ちこぼれで魔法使えねえ代わりに体力を鍛えまくったとか、何か、某忍者の漫画で聞いた事ある設定だな。」と頭をボリボリかきながら答える。「某ニンジャの漫画?どう言う事だ?」「こっちの話だ。お前に言っても分かんねーよ。」そう言うやり取りを続け、その日はもう遅いのでお開きになった。二人で城に帰っている途中、森を通り抜けなければ城に辿り着けないのだが、森を抜ける最中に紫色の巨大な5メートルぐらいのガマガエルに襲われた。「ぎゃああああ!魔獣だアアアア!」ジンがそう叫ぶと、ダックが不敵に笑い、あっという間に体術でその魔獣を倒してしまった。ジンが「えっ…」とダックの体術にドン引きする。ダックが「まあ、俺の体術はこう言う事だ。」と言うのだった。
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