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今世は幸せでありますように!  作者: ゆる


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Stage11【砂漠の地下神殿編】砂時計


砂に埋もれた地下神殿へと続く石の階段を発見し、俺達六人は中へと入って行った。

陽がそろそろ落ち始める時間帯だが、神殿内にいれば関係無いとそのまま足を進めたのだが…。


「…迷いましたね。」

開始三十分、もう既に何処か分からなくなっていた。

地図もなければ、目印も付けてこなかった為、入口にも戻れない。

「…計画性の無さが裏目に出ましたね。」

「馬鹿、海賊に計画性なんか求めてどうするの。」

カルトとレイラの会話は、俺の心に突き刺さった。何か悪い事をした訳では無いが、計画性の無さに情けない気持ちを抱いてしまった。今は申し訳ないという感情でいっぱいだ。

「…まあゆっくり行こう。焦らなくとも君達は強いしな。いつかは着く。」

俺の言葉に仲間達は少し微笑んで再び歩き始めた。


この地下神殿に入ってからどのくらいの時間が経っただろうか。体感では三時間は経過しているように感じる。次のフロアへ続く階段を見つけた時は、マルク以外がその場に倒れ込んだ。

「…もう足が限界。」

「…流石の私も疲れたよ。」

レイラとサカイが珍しく共感し合っている。疲労の蓄積により、脳が正常に判断できてないのだろう。

「…マルクは流石だな。勇者と旅をしていただけの事はある。」

「まあ、勇者は自分勝手だったからね。全く何もしない日もあれば、丸二日歩かされたこともあったよ。」

平然と話すマルクの話の内容に全員が白眼を向いた。

雑談を繰り返していると、徐々に呼吸は落ち着いていった。話し合いの結果、今日はこのまま野宿する事となった。各々軽く食事を済ませ、二名以外が眠りについた。これを繰り返し、交互に睡眠を取る。次に全員が顔を合わせたのは、約八時間程経った後だった。


回復した俺達は次のフロアへと足を運んだ。

第二のフロアには、都会のビルが聳え立つように石の柱が無数にある。壁からは砂がサーッと落ち続け、床には砂が積もっている。今の位置から次のフロアに行く階段の位置は見える。だが、ビルや複雑な道によって中々辿り着かないようになっていた。更には所々に魔物も歩いているのが見えた。

「…これは厳しくないですか?」

ロッドが弱気な台詞を吐くと、サカイが頭を叩く。

「何弱気になってんの?しっかりしなさい!」

「ロッドの言う事も間違ってはいないさ。表面上でしか見えないが、かなり道が複雑だ。それに正解の道は、恐らく魔物が多い場所だろう。どちらにせよ次の階段を見つけるまで時間が掛かりそうだ。それに…」

マルクが上を見上げ、それに続いて同じ方向を向く。そこには大型の砂時計があり、天井の何かを封じるように鎖が交差している。

「…砂時計が落ち始めている。三分で無いとするならば、三十分…いや、三時間か?その時間以内に此処をクリアしないと、何かが起こる仕組みになっていると推測できるな。」

「…じゃあ、くれぐれも逸れないように。」

俺の指示に全員が頷き、ひとかたまりになって階段を下りた。慎重に足を進めながらも敵を倒し、ひたすら前に進み続けた。中間に着いた頃、俺は後ろを振り返った。

「…おいっ。」

俺の声に反応したレイラとマルクも後ろを振り返った。

「…これはまずい事になりましたね。」

「あれだけ逸れないようにって言ったのに!」

他三人の行方が分からないまま、砂時計の砂はは刻一刻と落ち続けていた。



次回もお楽しみに!

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