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今世は幸せでありますように!  作者: ゆる


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Stage10-9 旅の前の準備


今この島は、五つの島と火山で分類されている。火山噴火と地殻変動により、環境までも変化してしまった。今俺達がいるこの島は、砂漠地帯。元々あった建造物は消滅し、無法地帯となっている。

他四つの島は、森、雪、光、雷の地帯に分類される。

俺達は海賊だ。全ての島に属していない。決して何かを奪ったりする訳では無い。俺は仲間を助けるために、そして困っている人を助けるために旅に出るのだ。

その為には、それなりの準備が必要なわけだが…。


砂漠島の村には、店は一店舗しかない。その店で薬草やポーションはあるが、武器や防具は必要最低限の物しか揃っていない。まさに旅の出る前の最初の村といった感じだ。

他には辛うじて残った建造物に住む居宅や宿屋だけだ。

そして今、我々は村唯一の店に来ている。

「…薬草にポーション。万能解毒薬に聖水…船長、何個ずつ買えば良いです?」

「二十個ずつあればいいよ。」

この時点でそれほど購入する者は中々居ないだろうが、海賊になったお陰で金はそれなりにある。


薬草 60今

ポーション 100今

万能解毒薬 120今

聖水 70今


二十個ずつの合計は、7000今だった。


「ペティナイフに鍋の蓋二つで300今か…ペティナイフを三本だけ貰おう。」

合計7500今で支払いを済ませた。


「しかし、こんな店しかないとは相当ですね。」

「仕方ないだろ。自然災害には抗えない。」

俺とカルトが店を出ると、村から少し離れた所にオアシスが見えた。

「船長、オアシスですよ!」

「…あぁ。すぐ近くにロッジが建っているな。」

「ちょっと行ってみましょうよ!」

走って行くカルトの背を俺は子供を追うように追い掛けた。


木製で出来た立派なロッジの階段を昇り、扉をノックすると中からすり足が聞こえて来た。

中から出て来たのは、スキンヘッドの顎髭を生やした中年の男。引き締まった大きな身体にスカイブルーのTシャツを着ている。Tシャツは張り裂けそうになっており、上に重ねて着ているエプロンのパンダは顔を横に伸ばしている。

「…初めまして。ここに住んでいる方ですか?」

「…あぁ。」

「実は人を探してまして。たまたま通りかかったのでお話を伺えたらと。」

俺は見失った仲間全員の特徴を伝えた。

「…その内の一人、赤髪の野郎うちで居候している。」

「なんくるですか!?」

「だが今此処にはいない。一週間前から地下神殿に行ったきり戻っていない。」

「…地下神殿?」

すると、カルトが思い出したかのように話に割って入ってきた。

「そういえば、村から北に歩くと砂漠の地下神殿があるって聞いた事あります!」

「…なんくるは何故そこへ?」

スキンヘッドの男は家の中へと入っていき、一枚のメモを渡して来た。


『マキシムさんへ 北の地下神殿に行って来ます。』


「…これだけですか?」

スキンヘッドの男はマキシムさんと言うらしい。マキシムさんは、俺の問いに首を上下に動かす。その瞳の奥には、表には出さない心配の二文字が浮かんで見えた。

「あいつは、どれだけ人に迷惑を掛ければ気が済むんだ。」

俺が溜息を吐くと、マキシムさんが少し笑っていた。

「…初対面で家に泊めろと言う男だ。少なくとも普通では無いな。」

「…ですね。」

俺とマキシムさんは笑い合い、改めて自己紹介を済ませた。マキシムさんに地下神殿の正確な位置を聞き出した後、俺とカルトは一度アジトへと戻った。


俺のアジトは、村から南の百メートル程離れた位置に属している。アジトと言っても、元々あった大きな岩を元に色々物を置いているだけだ。この岩は椅子代わりだけでなく、大きな屋根付きの為直射日光も避けられる。ちなみに船はここから近くの海岸に停めている。

俺とカルトはアジトに戻り、他の仲間達にこれまでの事情を説明した。

仲間達は俺が同行を依頼する前に準備を始めていた。

「…船長、お供します。」

ロッドの言葉に続き、全員が同じ表情でこちらを見つめていた。

「…ほんと、逞しくて参るよ。」

笑みが溢れるほどに、俺は恵まれていると実感したのだった。

こうして俺達は、必要最低限の道具を担ぎ、北砂漠の地下神殿へと急いだ。


次回もお楽しみに!

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