Stage10-4 さーたー対まくとぅ
「焔の蝶ッ!(フレイム・バタフライ)」
「ウォーターボールッ!」
炎を纏った蝶は、水によって鎮火されると同時に灰となっていた。
互いに一瞬の隙も与えない攻防を繰り返していた。
しかし、まくとぅに余裕がある事は表情を見れば分かる。さーたーは必死に対抗している様子だ。やはりレベル差は、テクニックだけでは埋められないという事なのだろうか。
「手の内はできるだけ明かさないつもりだったけど、こんなにしぶといんじゃ仕方ない。」
まくとぅは肩幅程に手を広げると、両手から凍える風が吹き始めた。次第にそれは強くなり、俺達にまで当たる程の強さになっていた。そして、まくとぅの手の間に魔法陣が描かれた。魔法陣からは得体の知れない何かが姿を現そうとしていた。
「…何だあれは。」
「…まくとぅ…こんなのまで…」
魔法陣からは徐々に黒い頭が見え始めていた。胴体こそ細くて小さめではあるが、鋭く太い牙を持っていた。尻の先端には鋭い針も持っており、全体は細かい毛で覆われている。
「世界最恐の蟻、いでよパラポネラ!」
魔法陣から勢いよく飛び出した蟻は、針を向けてこちらへと襲い掛かってきた。
「さーたー来るぞっ!」
しかし、さーたーからの返事は無かった。ふと見ると身体が硬直したまま、震えて動けなくなっていたのだ。
「さーたーっ!どうしたんだっ!」
「…アルミさん…ごめん…やられた…。」
さーたーの足元を見ると、さーたーの足は地面に埋まっており、ジワジワとHPが削られていた。
「…何だ…何が起こってる。」
「…無数の蟻が…私の足を押さえて食べて…」
完全のお手上げ状態だった。俺はバレットとの闘いで身動きが取れない。さーたーが死ねば、俺も死ぬ。
どうする…考えろ…考えるんだ…お前は誰だ…何を使う…この状況で何が…
さーたーは、今にも泣き叫びそうな表情でもがき続けていた。
まくとぅは、勝ちを確信した表情を浮かべていた。
メグミは、複雑そうな表情を浮かべていた。
「…勝ったと思うなよ。俺は…エスパーなんだからなっ!」
俺はパラポネラに手を翳して呪文を唱えた。
「サイコキネシスッ!」
パラポネラはさーたーに当たる手前で動きを止め、足や胴体をじたばたと動かしていた。
「クラッシュッ!」
俺はパラポネラに向けて開いていた手をギュッと握った。
すると、パラポネラは粉々に砕け散った。
まくとぅやメグミは、驚きを隠せず空いた口が塞がらない状態でいた。
さーたーも安心したのか、腰を抜かしその場に座り込んだ。
しかし、どちらにせよ俺が動けない状況に変わりはなかった。明らか不利な状況だが、俺はここである提案をした。
「まくとぅ!メグミ!一時休戦としよう!君らは手を尽くした、俺達は身動きが取れない。だがサイコキネシスを使えば、僕達が君達に負ける事はない!体力も限界に近い!これは取り引きだ!」
強気で取り引きを持ち掛けたのだ。
「…わかった。」
まくとぅはそれ以上は何も言わなかった。その場に座り込み、遠くを見つめていた。余程、蟻がやられた事がショックだったのだろうか。
だが、そういう話は後でするとしよう。
俺達は全員、その場で目を閉じたのだった。
次回もお楽しみに!




