表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
今世は幸せでありますように!  作者: ゆる


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

83/126

Stage9【新章開幕編】9-1 報酬


七月十一日(水)


ゆっくり目を開けると、そこには何処か懐かしい天井があった。

暫くボーッとしていると、頭や身体に重みを感じた。

いくら現実世界での時間感覚は短くなってるとはいえ、ゲーム世界での身体的ダメージが大きかったようだ。

ゲーム内では何年も経過していたが、現実世界では一時間半程だった。随分と前に出発したように感じるが、長い旅行に行っていたと思えばかなりの気分転換にはなる。

しかし、ゲーム選びはかなり重要だとこの時は物凄く感じた。

俺は身体を起こした後、ゴーグルを装着したままVR-MMO本体のメール受信箱を確認した。確かに【株式会社パワフルV】から謎のURLが送られてきている。試しに開いてみるも、中には準備中としか記載されていなかった。

ドっと疲れを感じ取り、俺はVRゴーグルをベッドへ放り投げ、身も転がした。


再び目を開けたのは何かの通知音が聴こえた時だった。

急いで身を起こすと、辺りは真っ暗であった。そんな中でスマートフォンの明かりが俺を誘導するように点滅していた。

そこには知らない番号が表示されており、俺は恐る恐るスマホを手に取り応答した。

「…もしもし。」

「やぁ、有海浩太君。パワフルV運営開発部門の寺門一茶です。メールはしっかり届いたかな?」

「…お前、アレクか。」

どうやら寺門一茶は俺の反応がツボだったらしく、大爆笑が暫く続いた。

「アレクかって、もうやめてよぉ!ここは現実世界だよ?ゲーム世界に長く居すぎたみたいだね。」

「御託はいい。早く要件を。」

電話越しでも人を馬鹿にするような微笑みが聴こえた。

「要件は二つ。まずは改めてゲームクリアおめでとう、報酬を渡したいので七月十三日の金曜日に株式会社パワフルVまでお越し頂きたく思います。そして、二つ目は丸山 大樹について…あぁバレットの事ね。彼の件は本当に申し訳ありませんでした。彼には相応の罰を与えましたのでご配慮を。」

俺はカレンダーを眺め、今日は十三日と把握した。そして、バレットの件とは天の花園での敵対行為の事であろう。

「…わかった。だが、バレットにはどんな罰を与えたんだ。」

「…聞きたいですか?」

深刻な雰囲気に恐怖を感じるも、俺は恐る恐る伺った。

「…彼も言っていたと思うけど、あの世界では神経へのダメージがあるのです。現実世界と同じ痛み、つまり負傷すれば現実世界でも同様になるって事です。彼は目が見えにくくなり、半身不随状態になりました。ですが、今回は彼の自業自得行為。我々としてはそのダメージに追加して、一ヶ月の謹慎処分としました。」

寺門一茶の言葉に俺は少し驚いた。しかし、バレットの言っていたことが事実であっただけだ。これは彼の自業自得、俺がそうさせた訳じゃない。そう言い聞かせ、精神を統一させた。

「何も気に病むことは無いよ。これは彼の自業自得、ましてや君がそうなっていたかもしれないんだ。」

確かにその通りだ、そんな危険な事に高校生の俺を巻き込もうとしたんだ。むしろ、許していいはずがない。

「許しはしません。且つ哀れんだりもしません。」

「うん。それくらいの精神を持ってないとね。それじゃあ夜分遅くにすまない、また十三日に会おう。」

一方的に電話を切られ、画面には七月十一日 23時32分と表示されていた。

「…なんつー時間に掛けてきてんねん。」

俺は腹が減り、リビングへと降りた。

母親が作り置きしてくれた食事を電子レンジで温め、その音で親が起きないか見張りをした。無事に終えた俺は、温かいチャーハンを食べた。


それにしても、気になることが多すぎる。

そんな事を考えていると気付けばチャーハンは無くなり、再び部屋に戻るとすぐに眠りについた。



次回もお楽しみに!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ