Stage8-19 明日
なんくるとの闘いから三日が経過した。
俺はすぐに怪我が治ったが、なんくるの背中の火傷は完治まで一ヶ月は掛かるらしい。
「…加減を知れ。」
「…すみません。」
俺もユウヤと変わらなかった。むしろユウヤより怪我を負わせてしまったようだ。
「まあ、決戦の日には多少良くなってるだろ。こんなの大した事無い。」
俺はなんくると向き合い、改めて偶数組について話し合いたいと懇願した。
「あの三人か。恐らく俺達を狙ってくるだろうな。」
「あぁ、特にお前は金髪に手を出してる。ほぼ間違いなく、お前を殺しに来るだろうな。」
「金髪野郎は何とかする。他はどうする?」
「…まずは二人にも話さないと。」
俺となんくるは、皆が泊まってる民家へと向かった。
「うーん…まあ特に誰と闘いたいとかはないかな。金髪は短剣を使うのかもしれないけど、他は能力も何も分からないしね。」
ライトの言葉にまくとぅも賛同した。
「正直誰が誰と当たってもおかしくはない。誰が来ても勝てるようにはしておきたい。」
「それは確かにそうだね。でもどうする?」
「…あと四日…特訓するしか無いだろ。」
俺達はこの日から秘密の特訓を開始した。新たな技の開発は間に合わない為、今の力量を少しでも上げること。そして、最大限の力を発揮できるよう鍛えた。
…そして、決戦の日前日。
「…何だよ、こんな所呼び出して。」
人気のない森の中へライトは俺を呼び出した。
「…なんくるさんには話しておこうと思って。」
「何を?」
「…今の私の中にはメグミがいるの。」
俺は理解が追いつかなかった。
「…言っている意味がわからない。メグミは外界に置いてきただろ?」
無言で俯くライト、何やら事情があるのだと察した。
「何があった?」
「実は…私の寿命はあと僅かかもしれないの。」
ライトはメグミの訴えた事を話した。正確に言うと、ライトの中にいるメグミが説明をした。
「…ライトは、自分の命を削ってまでして私を連れて来てくれた。私のワガママを聞いてくれたの。でも、だからと言って私が死ななくなる訳じゃない。もう二度と元の身体には戻れない可能性だってある。」
「…そこまでして何故此処へ来たんだ?」
俺はメグミを問い詰めた。
「…仲間なら…最後の最後まで近くにいたかった。私も一緒に闘いたかったの。」
メグミの姿は見えない。だが、一言一言に熱い思いを感じた。それは身体を貸しているライトも分かっているのだろう。連れて来てしまったのはそういう事だろう。
「…危ない事だけはするなよ。」
俺がそう言い残すとメグミ?は飛び上がって喜んでいた。
「…アルミには言わないのか?」
「うん…多分お兄ちゃんは怒るから…。」
重い秘密は三人で留め、苦しい思いを分かち合った。
「…黙っててやる…だから一人で悩むな。」
「痛み分け?」
「…アイネの奴。」
三人の笑い声が響く中、木の影には一人の男が隠れていた。
「…馬鹿たれ。」
男は彼等の前には現れず、何も聞かなかった事としてその場を去った。その時、彼が少し笑っていた事は誰も知らない。
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