Stage8-7 懐かしき花
飛行中は空や海を交互に見ていた。すると、一時間も経たない内に沖縄へと到着した。
「…此処がかつての沖縄ですか!」
俺は飛行機を降り、壊滅した土地を眺める。
かつての美しかった自然や沖縄の民家等は既に無くなっている。残っているのは、沖縄という地名だけだ。
俺が黙ったまま立ち尽くしていると、カツラギが顔を覗き込む。
「…なんだよ。」
「故郷なんですから、もっと喜ばないと!」
「…お前そんなウザキャラだっけ?」
「ウザキャラってなんですか!」
俺は何も言わずに沖縄へ足を踏み入れた。
「僕がいなかったら来れなかったんですからね!」
カツラギの声だけが沖縄の空へ響き渡る。
「…。」
「おい。」
「…こんな何も無い所に誰だ?」
「…あいつ、確か。」
黒いフードの三人組が残された廃屋から二人を見下ろす。
「…確かめる必要があるな。」
俺とカツラギは一通り辺りを散策したが、案の定特に何も見つからなかった。
「なんにも無いですね。」
「ここも一部だからな。別の村へ行ってみよう。」
俺はカツラギとその場を去ろうとすると…
「その必要は無いぜ。他に村なんかありゃしない。」
俺とカツラギは立ち止まって振り返った。そこには黒いフードの三人組が立っていた。声からして三十代位の男だろうか。
「…何か?」
「こんな何も無い所に何の御用で?」
「…そちらこそ、こんな何も無い所で何を?」
「質問に答えろ。」
「答える義務はない。」
俺は拳を構え戦闘態勢に入ると、三人組も腰を低くした。全員腰に武器を装着しているのだろう。
「…カツラギ、この先の村に行ってろ。」
「…え?」
「早く行け!俺の故郷があった所だ。」
カツラギは無言で頷き、走り去った。それを見た三人組の内の一人がカツラギを追おうとした。それに俺は素早く反応し、殴り飛ばした。黒いフードの男は百メートル程飛ばされた。
「貴様、何者だ。」
「…今はなんくるないさーという名前で格闘技をやっているが?」
「…チバリヨの関係者か?」
聞き覚えのある名前に俺は動揺を隠せなかった。
「…やはり。」
二人の男はフードを取った。
「…ご無礼を!大変申し訳ありませんでした!」
二人の男に面識は無かったが、二人は俺の事を知っているかのように頭を下げた。
「私はちぶる、こいつはわんと言います。我々は沖縄第四世代の生き残りです。なんくるさん!お会いできて光栄です。」
場所を問わず、人間には世代区分があるように沖縄内でも世代区分があったのだ。俺は第三世代の為、彼等が俺に敬意を払っているのは先輩後輩の間柄になるからである。
「一先ず話は後だ、カツラギを追わないと。」
二人は少し戸惑った表情を見せる。
「なんだ?」
「…いえ、封印の剣を抜かなければ良いのですが。」
「封印の剣?」
「一先ず急ぎましょう!」
俺はちぶるとわんの後を追った。
次回もお楽しみに!