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Stage8-6 対立の輪


「…バレットさん。ここは?」

バレットさんの後を追った俺は岩場を降り、麓の洞窟の中にいた。その洞窟内には、様々な壁画のような絵が書かれていた。

「外の村と中の村の歴史だ。かつてこの島は一つの島だったんだ。」

「それが何故対立したんですか?」

「今からそれを話す。」

そう言ってバレットさんは更に洞窟の奥へと進んだ。後を追い、広い空間へ出ると壁画が更に増えた。その一つの絵をバレットさんは指さした。

「…全ての始まりはあの赤髪の男から始まった。」

その男の絵は、赤髪の短髪でガタイの良い男の絵であった。

「なんかあの絵…なんくるに似てる。」

「…察しが良いな。」

バレットさんはニヤリと微笑む。

壁画の男となんくるは関係があるというのか。

俺はバレットさんの語る昔話を聞く事とした。



「はるか昔、一人の男がおっての。その男は未来から来たという不思議な青年でな。村の為に色々してくれたんじゃが、その男が去ってからこの村は崩壊してしまったのじゃ。」

「なんで崩壊したの?」

「…分からぬ。その男が去ってからおかしくなったとしか言えんくての。」

長老は一枚の絵を取り出した。その絵に描かれていた男は、赤髪でガタイが良くて…

「なんくるさん!?」

「…なぬ、知り合いか?」

私は頷き、この島の歴史について聴くこととした。



岩場の上、先程謎の男とアルミがいた場所。

二人がこの場を去って、十分程経過した。

「…アルミ…ライト…すまない。」

赤髪の男は空を見上げた。

「…俺も未来から来たなんて知ったらどうなるんだろうな。」


ーーーーー


二一二一年

第一東京ネオンシティ 格闘技場

闘技場内は歓声で溢れている。網に囲われたリングで二人の男が殴り合っている。

「さぁさぁさぁ!試合も終盤だぁ!どっちだ!どっちが立っていられる!」

会場を盛り上げるアナウンスに合わせて、一人の男が顎にアッパーを食らわせた。青髪の男は顎の骨が折れ、網へと弾き飛ばされた。一瞬静まり返る会場に『カンカンカンッ!!!』とリングの鐘の音が響き渡る。

「小柄ながらもこの力強さ!勝者ッ!なんくるーないさーッ!」

赤髪の男は両手を上げ、雄叫びを上げた。


舞台裏の通路では「お疲れ!」と声を掛けてくるスタッフ達が大勢いる。最初の頃と比べるとファンも増え、それなりの金銭も貰っている。順風満帆な生活を送っていた。

「なんくるさん!」

「おぉ、カツラギ。お疲れ。」

スーツ姿の男が近付いてくる。

その男はなんくるの側近をしているカツラギ。こんな崩壊した街の中、毎日スーツを着ているちょっと変わった奴。

「今日の試合もお見事でした!」

「なんだかなぁ、もっと骨のある奴はいないのか?」

「なんくるさん程の強さですよ?中々そんな相手は見つかりませんよ。」

俺は深い溜め息を吐いた。

「あ、でも、地元には居たんじゃ無いんですか?なんくるさん沖縄出身ですよね?」

「…出身だったっていうだけで、住んでたのはほんの少しだ。育ちはほとんど東京。」

特に気まづい雰囲気にしたつもりは無いが、カツラギは少々ぎこちない様子だった。

「…悪かったよ。いつも通りにしてくれ。こっちまで気まづくなる。」

そう言うとカツラギは、営業スマイルのような笑顔を見せた。

「…でも里帰りしたいと思わないんですか?」

「今行ったって何も無いだろ。」

今の時代、東京で生きていくのがやっとだ。各地の村はほとんど壊滅してしまい、生きていくための作物がない。今では第一から第七までの東京で分布されており、東京内での連携が栄えている。地方で頑張っていた人達も、最終的には東京へ流れてきていた。

「…試しに行ってみません?」

「…仕事どうすんだよ。」


翌日、飛行機の手配を済ませたカツラギに連れられ、俺達は飛行場へと来ていた。

飛行機と言っても数人しか乗れないヘリコプターのような小型飛行線というのが正しいのだろうか。

「…仕事全部キャンセルしやがって。」

「日帰りですから。気にしない気にしない。」

軽い口調でカツラギは飛行機へと足を踏み入れた。

仕方のない奴と呆れるが、今となってはそこも愛くるしい一面と思ってしまっている。

快晴の空の下、今にも墜落しそうな飛行音と共に俺達は沖縄へと飛び立った。


次回もお楽しみに!

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