Stage6-8 解け始める鎖
「…そうか。サン隊長が。」
なんくるとメグミは深刻な表情を浮かべる。
「でも、私の身体は魔族になっていたらしいし、この身体はお兄ちゃんそのものだと思うの。だからお兄ちゃんはちゃんと生きてる。」
ライトの言葉で全員が笑顔を取り戻した。
「…さて。問題はここからどうするかだ。思わぬ寄り道でカナダにいる訳だが、サン隊長が歯車を持っていたようにこの世界に最後の歯車を持っている奴がいる可能性もある。」
「なぁ、その歯車ってなんなんだ?空に浮かんでるのは知っていたが、あまり詳しくは知らんくてな。」
なんくるの言葉にメグミやライトも賛同するように頷く。
「なんくるには伝えたと思うが、改めて話しておこう。俺は二一二一年、未来の世界から来た。だが、未来都市はほぼ壊滅状態。そんな時、ある男に過去の歯車を起動させることが再復興に繋がると言われたんだ。」
「…ねぇ、何故その歯車が再復興に繋がるの?」
「この世界は歯車によって支えられている。歯車が全て止まれば、世界は崩壊するらしい。」
俺とライトの会話にメグミが割って入る。
「てことは、一つは動いてたんだね!」
たった今、メグミの言葉で俺はある事に気が付いた。
「…そうか!なんで気が付かなかったんだ!メグミの言う通りその時歯車の一つは動いていたんだ!」
「てことは、サン隊長が四つ目てことは、もう全て集め終わったってことか?」
なんくるの言葉に俺は首を振った。
「…俺が一つ目を獲得した時に一つの歯車が動きを止めたんだ。」
全員が首をかしげ、?マークが頭の上に浮かび出ていた。
「…つまり、本来の所有者が亡くなったってこと。だから歯車は起動しなくなった。」
「…じゃあその歯車の所有者は誰なの?」
ライトがハッとなって立ち上がる。
「…アルミさん。私も過去の話ですが、未来にいた人間です。もしかしてその依頼は【ジュンタ】という男からの依頼ではありませんか?」
俺は頷いた。
「…やっぱり。彼は重い病を患っていて…いつ亡くなってもおかしくなかったんです。まだ存命だったなんて。…だとしたら、アルミさんに全てを託した?」
「…あの時唯一歯車を持っていたのは、ジュンタのおっさんってことになるな。」
確かに話としては繋がっていた。しかし、ジュンタのおっさんが死んだとなるとその歯車はこの世界だとどこにあるのだろうか。
「てことは、この時代を生きているジュンタって奴に会えばいいんじゃねぇか?」
「…まさかこんな過去の時代に生きているなんて。」
俺はジュンタのおっさんが言っていた事と小笠原諸島での事を思い返した。
『おっさんではない。今年九六のジュンタだ。』
『…ジュンタだ。』
「…マジかよ。」
俺の記憶が正しければ、歯車は更に加速するだろう。そう確信したのだった。
鎖は一つ…また一つと解け始めていた。
次回もお楽しみに!




