Stage6-6 アレクの中身
「いやぁ、ごめんごめん。」
俺は左眼を押さえたままアレクを睨み続けていた。
今すぐにでも殺してやりたいが、両目を失うリスクがある為気持ちを落ち着かせている。それ以前に痛みに耐えるので精一杯という事もあるが。
アレクは後ろで手を組みながらゆっくり俺の周りを歩き始める。笑顔を見せながら見続けるその姿は不気味という言葉がしっくりくる。
「でもさ、ほんとよくここまで辿り着いたよね。このゲームキツかったでしょ?メンタルが。」
何処で笑うべきなのかは分からないが、アレクは口を開く度に笑っていた。
「…お前何者だ。運営か?」
アレクは立ち止まり、「そう!」と指を指した。
「僕は、アレク・マックフォードとしてこの世界を管理し続けているのさ。」
「…このゲームが流行ったのは随分前じゃなかったか?」
「確かにそうです!でもねぇ、マイナーなクソゲーオタ達がやって来るんですよ。毎日毎日捜索部隊サンライトで御出迎えですわ!あーもう、イライラしてきた!」
そう言いながら、アレクは空に手を翳した。次の瞬間、カナディアンロッキーの光景や倒れているライトの姿は消え、真っ暗な空間に二人きりとなった。
「…こんな事して良いのか?これは本来有り得ない展開だろ?」
「そうなんだ。これがバレれば僕はクビだろうね。」
「…目的はなんだ。」
俺の問い掛けにアレクはニヤリと笑う。あれはしゃがみながら気持ち悪い歩きを披露し、俺の目の前に近付いてきた。
「僕と取引しないか?」
「…取引?」
「そぉー!取引ッ!」
アレクの取引、それはまずゲームをクリアする事であった。
「…それが何故お前のタメになる。実績か?」
「あー違う違う。一応ストーリーは知っておいて欲しいし、クリアしないと出られないからさ。」
すると、真っ暗な背景が無数の白い花畑へと変わった。
「アルミ…いや、有海浩太くん。」
「…調べたのか。」
「調べたも何も端末の名前見れば本名分かるし。」
どうやらVR‐MMO本体の端末は、運営側はいくらでも覗き込めるらしい。規約上、接触は罰金件警察のお世話になるらしいが…。
「だが僕はそんなことはどうでもいい。アルミ!君のためになる話でもあるんだよ!」
「…話が見えないんだが。」
「…まあでも、クリアすれば大体わかるよ。」
アレクは指を鳴らすと、背景は東京へ変わった。
「後ろを向いて。」
アレクの指示通り後ろを見ると、そこにはこれまで出会って来た人達が立っていた。
「アルミ、この中で一人だけ残せると言われたら誰を残す?」
「…何だよ突然。」
「いいから答えろ。」
アレクの表情は、これまでで一番険しい剣幕で俺を睨んでいた。
段々意味分からなくなってきた?
大丈夫!面白い展開用意してます!
次回もお楽しみに!




