【カナディアンロッキー~謎の女~編】Stage6-1 大自然
新章が始まりました!
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【カナダ~オタワ~】
カナダの首都オタワは、主に「政治の中心地」として国会議事堂や政府機関が集まる場所。 古典的な建造物も多く点在する中、都会の賑わいと自然が融合した街。 トロントやバンクーバー、モントリオール等の方が都市の規模としては大きい為、首都として間違われやすい。
アメリカより比較的治安は良いと言われるカナダの中でも、他の都市に比べてもオタワは治安が良い街。勉強をしていたり、新しくできた外国人の友達と夜ご飯を食べたりと夜に出歩いても安心できるのは大きなメリットなのだ。
「…。」
俺はカナダの街並みに魅了されていた。
「サン隊長、お兄ちゃん感激して泣いてる。」
「…大袈裟なんだよ。いつでも来れるって分かったろ?」
サン隊長は呑気にビーバーテイルズを頬張る。
俺はサン隊長の「いつでも来れる」に反応し、トラウマを植え付けられた事を思い出した。
「あのね!まさか飛んで来るとは思わないでしょ!」
「…お前が言ったんだろ?飛ぶのが相場って。」
「言いました!言いましたけど思ってた飛ぶじゃ無かった!」
サン隊長は、敏捷力と跳躍力を底上げ。そして、ロックオンという魔法で目的地を大まかに設定。あとは全員で掴まりながら勢い良く空高く飛んでいくという方法だったのだが。
「俺が真ん中じゃなくたって良かっただろうが!」
「……小せぇ男。ち〇こ付いてんのか。」
サン隊長はボソボソと聴こえる範囲内で悪口を言った。
俺は無言でサン隊長の胸ぐらを掴み持ち上げた。
「あのさぁ、てめぇの為に此処来てんのね?行かなくていいならさ、ぶっちゃけ行かねぇんだよ。どう考えてもセンターはてめぇだろうが。」
サン隊長はバタバタと足を動かしながら「悪かった!」と連呼していた。
「…ビーバーテイルズ全部出してやろうか。」
「…それだけは勘弁してくれ。」
俺とサン隊長が揉めている中、なんくるが間に入る。
「まぁまぁ。とりあえずカナディアンロッキーのバンフ国立公園に行くんだろ?」
僅かばかり不穏な空気の中、「いってみよぉー!」とメグミは明るく振舞った。
年下の女の子に気を使わせる情けない男二人は握手を交わしたのだった。
俺たちはバンフ国立公園行きの車に乗った。
車に揺られていると広大な山々や草原に囲まれ始め、徐々にロッキー山脈が見えてくる。
「すごぉーい!でっかーい!」
メグミは窓から顔を出して興奮状態だ。
「…情けない話だ。女一人の手掛かりが全くねぇ。」
「それだけ情報を漏らさないって事だろ。」
落ち込むサン隊長をさり気なくフォローする。しかし、これだけ情報がないと広範囲で探さなければいけないのは事実だ。
「凄い能力者は狙われやすいからな。悪く使おうと思えば何でも使える世界だ。探すのにも根気が必要だな。」
なんくるに現実を叩きつけられ、俺とサン隊長は溜め息を吐いた。
「…いつ帰るつもりだ?」
俺は小声でサン隊長へ話し掛けた。
「…この一件が終わったら転移するつもりだ。一緒に帰るだろ?」
「…まあそのつもりなんだけどさ。」
何故かは分からないが、まだ帰ってはいけない気がしていた。決して元の世界に戻っては行けないと言われている訳ではない。ゲーマーの勘なのだろうか?
確かに歯車はまだ二つ不足している。だが、誰が所持しているのかも分からない為、それについては逆に一度元の世界に戻って調べる必要がある。
…俺は何かを見逃しているのか?
結局何も分からないまま、俺達は車のエンジン音と共に大自然の中へと消えていった。
次回もお楽しみに!




