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今世は幸せでありますように!  作者: ゆる


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Stage5-26 悪魔討伐編 果てない空


空はどこまでも繋がっている。

それが晴天であれ、曇天であれ。

途中で途切れる空など無いのだ。

明日、いや未来でさえも繋がっている。

空とは人生のようだ。

終わりが何時なのか、どこまでなのか分からない世界。

果てない空の向こうはどんな風になっているのだろう。



曇天の空をボーッと見つめる。

全ての力を使い果たし、身体は微動だにしない。

意識が清明になると同時に、身体への激痛を感じ取る。

次第にそれは肋骨や足の骨が折れている事へと繋がった。

背骨も折れているせいか、起き上がろうとしても不可能だった。


僅かに見えた会場はほぼ全壊している。

観客や選手も散らかった玩具のように散乱している。

全員死んでいてもおかしくない状況だ。

天壊という技は、簡単に言えば自爆技だ。

今の所市村の姿は見えないが、これで生きていたら完全に俺の負けだ。

すると、遠くの山となった瓦礫が動き、土煙が舞った。


「…ア…アル…ミ…。…殺す。」

「…市村。」


市村は生きていた。

顔の半分を失い、脳や骨は見えている。身体も内臓も一部見えていたり、腸はぷらぷらと揺れている。

「…バケモノめ。」

俺は全身の力が抜けた。気が緩んだのではなく、死を覚悟したのだ。

すると市村の足が止まる。辛うじて見えたのは、メグミとダイスが市村の足を掴んでいた。


「…やめろ…もうやめてくれ。」

市村は怒りの表情を露わにし、ダイスを思い切り踏み付けた。虫を潰すかのように何度も何度も。

次第にダイスの頬の形が変わり始め、皮膚や口腔内から出血がみられた。

「もうやめてくれ!頼むから!」

市村は俺の存在に気付いたと思えば、嬉しそうにニヤリと笑った。それは不気味なフランス人形のようであった。


ダイスが再びふみつけられよつとした瞬間、市村の脚が斬れ落ちた。

痛みで悶絶する市村の背後には、血だらけになった日本刀を構える女性が立っていた。

「…アイネ。」

「…私の子供に…手を…。」

アイネは倒れ込み、メグミとダイスを抱き抱えた。

しかし、痛みや屈辱的感情を抱いた市村の怒りはエスカレートした。

市村はアイネを龍の手で握り、目の前へと連れてきた。

「…コロスッ!!」

アイネはニヤリと笑い、念力で市村の右眼に日本刀を突き刺した。

再び苦しみ始める市村、龍の手から手放されたアイネは少し離れた所へ落ちる。

右眼と左下肢を失った市村は、人間に近い姿へ戻った。恐らく、魔力量と少なく龍の姿でいることが難しくなったのだ。


「…どいつもこいつもッ!殺すッ!」

そう言った市村にちむじゅらが背後から抱きついた。

「…市村よ。もう終わりだ。」

「離せッ!裏切り者ッ!」

「…確かに裏切り者かもしれない。だが、わしはもうお主と一生を共にする事を決めたんじゃ。」

ちむじゅらと市村を囲むように、複数の呪縛が描かれた。

「…またやり直すんじゃ。」

「やめろおぉぉぉぉぉぉッ!」


俺やなんくるは見ている事しか出来なかった。

ちむじゅらは市村を抱えたまま姿を消した。市村は後半、諦めたのか微動だにしなくなっていた。

突如静まり返る会場には、以前のような空間は無かった。


長い闘いが終わり、俺となんくるは再び眼を閉じた。

俺達が再び目を覚ましたのは、二日後であった。


次回もお楽しみ!

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