Stage5-10 悪魔討伐編 本当の主人公
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「…もう一度聞く。カバネ、私と契約してくれない?」
「おい、さーたー!お前は何を言ってるんだ!」
「…もう一度聞く。カバネ、私と契約してくれない?」
「おい、さーたー!本当にお前は何を言ってるんだ!」
カバネは羽を広げ、さーたーの目の前まで寄って来た。
「…なんじゃ?その契約とは。」
「…私に協力してくれない?勿論報酬も払うわ。」
「協力?」
カバネは不思議そうな表情でさーたーを見ていた。
「私はあなたの力を買ったの!その力があるなら、あなたが悪魔会のトップにだってなれるのよ!」
「…なんじゃと?」
カバネは険しい表情をしている。
なんくるは、これは怒らせてしまったんじゃないかと警戒しながらカバネの出方を伺っていた。
「…我が市村様に勝てるとでも?」
「…えぇ、私があなたをトップにしてあげる。」
「…ふむ、面白そうじゃの。」
カバネは再び王座に戻り、足を組み直した。
「…さーたーと言ったか?その契約とは具体的になんじゃ?報酬も込みで申してみよ。」
さーたーは深呼吸しながらカバネに近づいていく。
「…私のとある魔法をかける事で悪魔を強くさせる事ができるの。ただ相当な強さを持ってないと普通の悪魔は耐えられずに消えてしまうの。でも、カバネならもしかしたら耐えられるんじゃないかと思うの!」
「ほぉ、それは分かった。では、そなたが我にそれをするメリットはなんじゃ?」
さーたーは黙り込んでしまった。
「…あの馬鹿。絶対何も考えてなかっただろ。」
なんくるは呆れながら、静かにナックルを装備した。
「そ、そのぉ。い、市村様〜より、カ、カバネの方が脅威的に感じちゃった的な?」
なんくるは、カバネの表情が曇り始めていたように感じた。
しかし…。
「…そうじゃの。そろそろここの暮らしにも飽きたし、お主に力を貸す事にしようかの。」
……えっ?
「いやいや、我も思っておったのじゃ。もしかすると市村様より強いのではないかとな!」
「…そ、そうよ!その通りよ!」
「では、さーたー。魔法をかけると良いぞ。どんな魔法でも耐えてみせるからのぉ!それが終わったら契約じゃ。」
さーたーは笑顔で魔法の詠唱を始めた。
「汝、己の力を解放すべし時来たりて。我が主をさーたーとし、その身を捧げよ。悪なる心を浄化し、聖霊として目覚めるのだ!」
カバネの周囲には魔法陣が描かれ、緑の光がカバネを包み込む。
「さぁ、来るのじゃ。どんな力でも…浄化?聖霊?」
カバネが気づいた時にはもう遅かった。
「ホーリーシールッ!!!」
「ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ッ!!!!!」
カバネは叫ぶと同時に身体が消え始めていた。
悪魔の弱点の一つである聖霊魔法を使えたさーたーは、難なく悪魔四天王のカバネを上手く誘導したのだ。
「…おのれ、さーたー!許さん!許さんぞォッ!!!」
抵抗も虚しく、カバネは浄化された。
そして、天使の姿として再び魔法陣の中へと現れた。
魔法陣は次第に消え、さーたーは天使に近づく。
「…カバネ?」
「はい、さーたー様。私はもう悪魔四天王のカバネではありません。主であるさーたー様に、新たな名付けをお願いしたく思います。」
なんくるはさーたーに駆け寄った。
「お、おい!やったのか?カバネをあんな一瞬でやっちまったのか?」
「な、なんかそうみたい。」
さーたーは改めて天使に向かい合った。
「…あなたは今日からパワーよ!よろしくね!」
「…有り難き幸せ。本日より能天使パワー、さーたー様をお守り致します。」
「…なんか、すんげぇ特典貰ったな。」
「でも、私があの悪魔四天王を倒したんだよね。嘘みたい。」
二人の視線は一人の青年へと向けられた。
なんくるは、溜息を吐きながらアルミに近付いた。
「おい、アルミ。いつまで寝てるんだ。」
しかし、アルミの返事はない。
「…おい!いい加減に……は?」
アルミは息をしていなかった。
「ちょ、ちょっと待て…。さーたー。こいつ息してないぞッ!」
さーたーは急いでアルミの状態を確認した。
しかし、首を横に振った。
「…おい。嘘だろ?ここで終わりなのかよ。」
「…私、蘇生魔法は使えないの。ごめんなさい、ごめんなさいアルミ。」
なんくるはアルミの遺体を抱えながら悪魔城を降りていった。
途中リズとは合流したが、まくとぅやユウヤの姿はどこにも無かった。
リズが言うにはまくとぅは敵を道連れにして倒したらしい。
恐らくユウヤも悪魔と闘い、滅んでしまったのだろう。
ちゅーばー様やでぃきやー様、他の討伐捜索連合体は倉庫や裏口の穴から遺体として発見された。
三人は全員の埋葬をした。
今回の悪魔討伐生還者は、さーたー、なんくる、リズで幕を閉じた。
三人は号泣しながら悪魔城を出て村へと帰った。
一方その頃…
山梨県のキャンプ地に悪魔四天王のサスラーが降り立った。
「…プレシャスッ!カバネが死んだ!」
「…何の冗談にゃ。」
「冗談ではない!魔術師に天使に変えられたのだ…っておい、お前。この娘、前に言ってた人の娘では無いのか!?」
そこには焦げて部分的に灰になりかけている子供の遺体があった。
「名はメグミにゃん。扱い方を間違えてしまったにゃん。悲しいにゃん。」
プレシャスは遺体へ手を合わせた。
「…で?」
プレシャスの目は殺意で溢れていた。
次回
Stage5ー11 悪魔討伐編 ???




