Stage5-7 悪魔討伐編 ユウヤVSディープ
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ユウヤ、なんくるないさー、まくとぅそーけー、さーたー、そして俺…
硬くて頑丈で無駄に大きな扉を俺となんくるでこじ開ける。
そして、この五人で悪魔城へと乗り込んでいった。
中に入ると、壁掛け松明で照らされているが、充分な明かりは行き渡っていない。
この薄暗く不気味な雰囲気、それはまるでク○パ城のようだった。
しかし、歩みを進めるも、敵の気配が全くしない。
「静か過ぎやしないか?」
なんくるはさーたーに問い掛ける。
「…おかしいな。あんなに沢山居たのに。」
「何もいないならそれでいいだろ?さっさと三十階に行こうぜ!」
俺はこんなに熱血キャラだったかと、我ながら一瞬戸惑った。そして、二人も困惑していた。
その後二階…三階…と上がるが同じ状況が続いた。
「…やっぱりおかしいよ。」
「だよな。各階に魔物を配置していたなら、討伐された分は補充するはず。アンデットモンスターなら蘇生する可能性はあるが。」
「勿論アンデットモンスターはいたけど、聖水を使いながら闘ったから復活はないわ。他に考えられるのは…」
「私達の前に誰かが進んでいるのでは?」
さーたーとなんくるの会話にユウヤがボソッと言い、話に割って入る。
「確かにそれなら納得はいくが、でも一体誰が?」
俺はユウヤに問い掛ける。
「…なるほど。」
ユウヤは既に千里眼を使っていた。
「大丈夫です。敵ではありません、むしろ味方寄りですよ。ちなみにこのペースでいけば、三十階まで闘いは無さそうですよ。」
その後、ユウヤへ何度問い詰めても、誰がいるのかは教えてくれなかった。
そして、何事もなく二十九階に到達した。
何やら上の階から激しい音が聴こえる。
「…本当に誰かが龍の悪魔と闘っている。」
「おい、この音の感じ…一人なんじゃねぇか?」
さーたーとなんくるの会話を聞いて、全員が耳をすませる。
「急いで助太刀しましょう!」
まくとぅの一言で全員走り出した。
三十階
扉を開けると、竜の悪魔と何者かが闘っている。
見た感じ女の子だろうか。その女の子は金髪で、ライトグリーンの戦闘服を着ていた。
「おいおい、女の子じゃねぇか!」
「しかも、竜の悪魔に短剣じゃ分が悪すぎる!」
なんくるとさーたーは、闘っている女の子に声を掛けるも届いてはいなかった。
確かに優勢なのは竜の悪魔だった。
竜の悪魔は黒龍へと変身し、蒼い瞳と炎を纏っている。
そして、蒼い炎の咆哮を繰り出した。
「きゃあああああああああああッ!」
その女性は、大ダメージを受けて動けなくなっていた。
同時に戦闘服の色が赤に変わっていた。
「あれは…。」
戦闘服の色によってのパラメーター表示、あれはまさか。
遠くでよく見えないが、ここまで来れる実力はあったのだろう。
だが、見るからに竜の悪魔との相性が最悪な様だ。
こんな無茶な事をしでかす金髪はあいつくらいだ。
気付けば俺は飛び出し、遅れてなんくるも着いてきていた。
「…死ね。」
黒龍は、再び蒼炎の咆哮を繰り出そうとしていた。
もう少し早く出ていれば助けられた。
気が付くのが遅かった。
「…蒼炎の咆哮!」
黒龍からブレスが放たれるも、何者かが空中で蒼炎を弾き返した。
弾き返した蒼炎は建物を突き抜け、空へと消えていった。
それを見上げていた竜の悪魔はこちらを睨み返す。
「…なんだ貴様。」
煙と中から現れたのは、見覚えのある元天使様だった。
「…通りすがりの天使です♪」
黒龍は人間のような姿に戻り、地に降り立った。
それについて行くようにユウヤも地に降りた。
竜の悪魔は灰色の髪の毛で額に一本角がある。
「俺の闘いの邪魔をするとは、貴様覚悟はできているのだろうな。」
「翼が折れてようと、下位の悪魔には負けません♪」
「…その言葉を我への侮辱と捉える!」
俺はすぐに金髪の女の子に駆け寄った。
「…やっぱりお前だったか……リズ。」
「お兄ちゃん…やっと会えた。」
リズは俺に抱き付いて離れなくなった。
「偶然だったけど、助かって良かった。」
「うん…あの天使様に感謝しなきゃ。」
すると、ユウヤは額に怒りマークを浮かべてこちらに振り返る。
「感動の再会中申し訳ありませんが、さっさと先に進んでくれませんか?邪魔で仕方がありません。」
顔は笑っているのに言葉が怒り丸出して恐怖を感じた。
「…死ぬなよ。」
そう告げるとユウヤは手をあげて返事をした。
俺はリズを抱えて、他の仲間と共に階段へと急いだ。
「焦らなくとも止めはせぬ。これより先も簡単には上がれぬだろうからな。」
「ご心配なく。私の仲間は強いので。」
「フンッ、強がりも今のうちぞ!」
龍の悪魔は槍を構えた。
「我が名はディープ!龍と悪魔の力を持つ者!その力、全て貴様にぶつけてしんぜよう!」
ディープは高速移動しながら、ユウヤに槍を向けて近づいて行く。
「はぁぁぁっ!」
ユウヤは瞬時に高速移動で対抗する。
目にも追い付かない早さで刀と槍がぶつかり合っている。
ディープは少し距離を取り、息を吸い込むように口内で蒼炎を作り出している。
それを見たユウヤも距離を取り、刀を天に掲げた。そして、刀の先端から全身に送り込まれるように、金色の光を吸収していた。
そして、ユウヤの頭上には雷鳴が轟く。
刀をディープの方向へ向け、金色の光は刀に集中する。
「青天の霹靂ッ!」
光は一直線にディープに向かっていき、同時に雷が光に包み込まれるように落ちる。
「蒼炎の咆哮ッ!」
対してディープも力を凝縮させ、ブレスをユウヤに向けて放った。
二つの力は張り合う事なく、青天の霹靂は蒼炎の咆哮を貫通した。
そして、ディープの肩へ直撃した。
「どぅわぁぁぁぁぁぁぁッ!」
青天の霹靂。刀に集中させた光は、光の刃となり放たれる。それは高速で刀を貫かれたような痛みとなる。さらに雷を纏わせる事で身体に電撃を走らせる事もできるのだ。
ディープは身体が麻痺状態となり、行動に制限が掛かる。そして、全ての技力も半減してしまう。
しかし、蒼炎の咆哮はユウヤに向かい続けている。
「ば、馬鹿め…貫通したからと言って…蒼炎は…消えた…り…しないのさ。」
ユウヤは向かってくる蒼炎に刀を構えた。
「一刀両断!」
蒼炎の咆哮は真っ二つに切られ、ユウヤを避けるように壁へぶつかった。
「な…なに!?」
「言ったでしょ?下位の悪魔には負けないと。」
ディープは高らかに笑い出す。
「下位?下位だと?笑わせるなぁ。」
ディープの下には魔法陣が描かれていた。
魔法陣から次第に煙が上がり始めた。
「…それは、禁忌魔法!?」
「今気づいても遅いぜッ!」
ディープは再び黒龍の姿となるも、先程よりも何倍もの大きさであった。
更に全身に蒼炎を纏い、ユウヤに襲い掛かる。
ユウヤは黒龍姿のディープに勢いよく吹き飛ばされた。
「…私より速いだと!?」
ユウヤはディープの速さについていけず四方八方から攻撃を受け続けた。
気がつくとユウヤの周りには青黒く光る球体が無数に浮いていた。
「…なんだこれは。」
ディープは馬鹿にするように笑う。
「上位悪将がたかが天使に負けるかよ。」
「…上位悪将だと?」
すると、青黒い光の球体がユウヤの左肘に当たる。
「うわぁあああああああッ!!!!!」
青黒い光はユウヤの左肘に当たった瞬間に爆発した。
左肘からは大量の出血。
更には魔力も減少していた。
「さぁ…天使様。此処で落ちてくれ。」
無数の青黒い光は、ユウヤに襲い掛かる。
ユウヤはボロボロの翼を広げ、自身を守るように防御した。
一つ、また一つと爆発を繰り返す。
「…今が一番美しいよ、天使様。いや、元かな。」
爆発が終わると煙の中からは血塗れのユウヤが現れた。
「…あ…あ…っ。」
ユウヤの天使の翼は全ての羽を失い、地面へと落下した。
一方その頃…。
三十五階
なんくるは、聖水をナックルにかけつつアンデットモンスターを殴り倒している。
「メテオ・ストライク!」
その陰から、リズが双剣で援護する。
「花弁の舞!」
さーたーは、後衛で遠距離魔法をメインに援護をしている。
「ファイアーストーム!」
俺もさーたー同様後衛だが、超能力で相手の動きを止めたり妨害をしている。
「テレキネシス!」
そして、まくとぅは…。
「アンデットモンスター…なら、おいで。」
まくとぅの周りには、少し大きめの蜂が五匹現れた。
だが、その蜂は水色に輝いている。
「いきなさい!聖蜂!」
蜂はアンデットモンスターを次々と刺し、体内の液体を注入する。
すると、一匹で五体ものアンデットモンスターが消滅した。
まくとぅそーけー、レベル97の昆虫魔法使い。
状況に応じて無数の昆虫を呼び出せる。
今回呼び出したのは、聖蜂という聖水を体内に持つ蜂である。
「…一度限りの命に感謝致します。」
五匹の聖蜂は、体内の聖水を失うと消滅してしまう。
「…さぁ、道を開けなさい。さもなくば殺しますよ。」
四人は、アンデットモンスターを次々と倒していったのだった。
次回
Stage5-8 悪魔討伐編 アークエンジェル




