Stage4-1 地球の底編 新世界より
Stage4は地球の底編です。
これからの展開に乞うご期待!
ポチャッポチャンッと雫が落ちる音が響き渡る。
頬にひんやりとした冷たさを感じ、俺は目を覚ました。
手足を動かすと僅かばかりか関節に痛みが生じる。
周囲を見渡すと、此処は岩に囲まれた洞窟のようだ。
所々ライトブルー色のクリスタルが刺さっており、洞窟内は鮮やかに照らされている
俺はゆっくりと身体を起こし、隣で倒れているユウヤにも声を掛ける。
ユウヤは声を掛けるとゆっくりと目を覚ました。
「……アルミ?……ここは。」
どうやらまだ意識が朦朧としているようだ。
「…そうか、悪魔にやられて地球の底に落ちたのか。」
突然ハッと思い出し、ユウヤは我に返る。
すると、ユウヤは俺に頭を下げてきた。
「アルミ、ごめん。こんな事に巻き込んでしまって。」
俺はユウヤの肩に手を置き、「気にするな、守ってくれてありがとう。」と声を掛けた。
そして、新たにユウヤとの間に友情の芽が生えたような気がした。
俺達は洞窟内を捜索する事にした。
「ところで、地上に出るまでどれくらい掛かるんだ?」
「地球の中心から地上までは、約6400キロメートル。あまり考えても意味が無いレベルの時間はかかりますね。」
「そもそも地球の中心なんか来れるわけないだろ。6000℃の熱で溶けちまうよ。」
「まあ、普通ならそうなんですが。」
現実では説明できないが、ゲームの中なら何でもありということか。
ユウヤは口篭って何も話さない、思いもよらない質問で引き起こしたバグであろうか。
しばらく歩くと洞窟を抜け、広い空間へと出た。
ユウヤはその場で上を見上げた。
「千里眼ッ!」
ユウヤはしばらく上を見上げたまま動かない。
少しすると、千里眼で見た光景に驚きを隠せなくなっていた。
「…マズい。地球が悪魔に占領され始めています。」
「…マジかよ。」
「このままじゃ…僕達が地上に出る頃には…。」
考えたくはなかった。
地球が悪魔の世界になろうとしている。
「ちょっと待ってくれ、歯車はどうなったんだ。」
「…一応まだ残っている。でも崩されるのは時間の問題。」
何か手はないのだろうか。
すると奥の洞窟から魔物の声が聞こえてきた。
「隠れよう!」
ユウヤに手を引かれ大きな岩に身を隠す。
洞窟からぞろぞろと出て来たのは、ゴブリンであった。
緑色の身体で耳が尖っている。手には木で出来た棍棒を持っている。
「…こんな時にゴブリンの群れとは。」
ざっと見て十体はいるだろうか。
「あれくらいの数なら…。アルミ、いけますか?」
「…多分。」
でも俺、テレキネシスしか使えないんだよな。
そう考えているうちに「行こうッ!」とユウヤは飛び出していった。
翼を広げ猛スピードでゴブリン二体の首を掴み、洞窟の上の方まで高く飛び上がった。
「大回天落としッ!」
何度も回転されたゴブリンは、そのまま地面に勢い良く落とされた。
俺は、ユウヤが良いヒントをくれたと閃いた。
残ったゴブリンの前に立ちはだかり、超能力を発動した。
「テレキネシスッ!」
そう、残ったゴブリンを全て浮かせて、高い所から落とせば一気に決着が着くと気づいたのだ。
念を送り続けると八体のゴブリンは宙に浮き始めた。
「このまま高い所まで…」
ドクンッ。
心臓の音が脳に響く。
言わなくとも分かった。
これは、覚醒であった。
俺は、再びゴブリンに念を送ると、先程までとは比べ物にならない程の念力であった。
「ヘディック!」
ゴブリン達は宙に浮いたまま頭を押さえて苦しみ始めた。
俺はゆっくりと掌を握りしめた。
すると、ゴブリン達の頭だけが弾け飛んだ。
ユウヤは、空を飛んだまま開いた口が塞がらない様子だった。
こうして俺は、闘える事を証明したのだった。
次回
Stage4-2 崩壊