Stage3-3 【赤の呪文書】後編
いよいよStage3完結です!
俺は【赤の呪文書】を手に取った。
魔導書を開くと禁断の魔術や錬金術についての記載があった。
他にも悪魔直伝の魔術に禁書庫の存在も書かれている。
俺は【赤の呪文書】を持って、大理石の部屋へと戻った。
通路を抜けると大理石の部屋には市村清子が立っていた。
市村清子は満面の笑みでこちらを見つめていた。
「清子さん!さっきなんで落としたんすか!」
「アルミさん!【赤の呪文書】手に入れたんですね♥」
市村清子は俺の話を聞かずに手を掴んだ。
「ありがとうございます、本当に。」
そして市村清子は、俺から力強く【赤の呪文書】を奪い取った。
「おい、何を。」
「天使や悪魔はあそこには近付けないのよ。取ってくれてありがと♥」
市村清子は、祭壇の部屋へと向かった。
後を追い掛けると、【青の魔導書】に向かって炎魔法を放った。
しかし、祭壇にはバリアが張られている為そのまま炎を跳ね返した。
「…忌々しい!」
市村清子は、悪魔の羽を広げて天井の穴へと飛び立って行った。
「クソッ!テレキネシス!」
俺は自身の身体を浮かせて、市村清子の後を追った。
火山洞窟の入口に出ると溶岩が全て黒く固まっていた。
そのまま火山を出ると、最初に入った森は無くなっていた。
「ここは…与那国島?」
何故か俺は与那国島の火山から出てきたのだ。
しかし、与那国島周囲の海水は無くなり、既に干からびている状態だった。
その為、港に止めてあった船は全て落下してしまっている。
火山洞窟から出た俺は、一先ず目に入った海底遺跡に着陸した。
すると、こちらを見上げる白い服の少年らしき人物が立っていた。
「君は?…てか、なんなんだよこれ。何が起こったんだよ。」
「初めましてアルミ、僕は天使のユウヤって言います。これらの災害は全て悪魔の仕業です。」
ユウヤの言葉と同時に、目の前の地面に攻撃魔法が放たれた。
落ちてきた方角を見ると黒のローブに身を包んだ女性がこちらを見下ろしていた。
「…市村清子。」
「クッソ、やっぱ悪魔なんか信じるんじゃなかった。歯車の件解決すると思ったらこれかよ。」
「…まさかもう目覚めているとは。」
市村清子は黒のローブを脱ぎ捨て、眼鏡を外した。
「ユウヤちゃんじゃない。その様子だと【青の魔導書】取りに行ったのね。」
「…お前に話すことは何も無い。四季の森に封印されていたお前が何故ここにいる。」
「貴方に話す事は何も無い♥」
「…極悪人が!」
市村清子は高らかに笑い始める。
「私が極悪人なら、あの時人々を見殺しにした貴方はどうなのかしら♥」
「違う!僕は見殺しなんかしていない!」
「まあどちらでも良いわぁ。ユウヤとアルミさん、貴方達には消えて貰います♥」
市村清子は手を上に向けて、呪文を唱え始めた。
「マズいッ!アルミッ!」
空一面を覆い尽くす程の球体は、赤黒く燃えていた。
「真紅の黒炎!デビルバーニングッ!」
赤黒い球体は勢い良くこちらへと放たれた。
俺はユウヤの翼に身を包まれた。
赤黒い球体は、地面に着くと同時に大爆発した。
大地は割れ、金色の翼に包まれた俺とユウヤは、地球の底へと落ちていった。
「邪魔者は消えた…。さぁ、今から我々の時代だッ!」
隠れていた多くの魔物達は雄叫びを上げた。
魔物達の士気は上がり、市村清子は悪魔の微笑みを浮かべるのであった。
次回
Stage4-1 新世界より